<フィクション?それとも…?>国民的テレビ番組「24時間テレビ」の裏側を現役テレビマンが暴露?
Japan In-Depth編集部
国民のテレビ離れが叫ばれて久しい。
「情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」(平成24年総務省調べ)によれば、国民の1日にテレビを見る時間は10代・102.9分、20代・121.2分、30代・158.9分、40代・187.4分、50代・219.2分、60代・263.0分。
一方、1日にWEBを見る時間は10代・108.9分、20代・112.5分、30代・76.5分、40代・74.6分、50代・51.3分、60代・33.9分と、10代は逆転したものの、中高年になるほど、まだまだテレビはその覇権を保っているという結果が出た。
そのテレビ象徴する様な人気長寿番組、「24時間テレビ」(8月30日、31日・日本テレビ)の季節が今年もやってきた。
「愛は地球を救う」のスローガンの元、全国から広く募金を募り、24時間特別番組で編成する、日本テレビが誇る国民的テレビ番組と言っても差しつかえないだろう。
今年で放送37回目を迎え、平均視聴率は一昨年は17.2%、去年は18.1%、募金額も一昨年は11億6847万円、去年は15億4523円と、テレビ離れが叫ばれる中でも、堂々たる存在感である。
その24時間テレビを彷彿させるようなテレビの裏側を舞台にして、現役人気放送作家・安達元一が書き下ろした小説『ハイエナたちの25時』(中央公論新社)が話題だ。
「余命3ヶ月の美少女のために手術費用の募金を募ります」……舞台は大東テレビの25時間テレビ、架空の舞台を使った小説である(『ハイエナたちの25時』中央公論新社)。
ストーリーはこうだ。
番組のメインキャラクターとなった薄幸の美少女が、生放送中に謎の失踪をする。犯人から届いたメッセージは「命の重さに違いはあるのか?」。ミステリー仕立てになってはいるが、「テレビが人を救うとは? テレビになにがどこまで出来るのか」というテーマに挑んでいる。
登場人物も、様々なテレビマンの心情を代弁するような個性的で魅力的な素材が揃っている。少しでもテレビ業界に関わったことがある人であれば、より感情移入はしやすいかもしれない。
- 「視聴率さえ取れればなにをやったっていいんだよ!派手に盛り上げてやろうぜ」
- 「いや、テレビは社会の公器だ、娯楽ではない、国民を導く存在であるべきだ」
- 「もっと歴史に残る意義ある番組を作ろう」
- 「テレビは打ち上げ花火さ、放送して消えていく刹那でいい文化なんだよ」
- 「視聴者がテレビをダメにしたんだ!」
- 「悩みながら壁に打ち当たりながら作ってます、もっとテレビを好きになってください」
……などなど。フィクションとはいえ、リアリティにも迫る。
いまテレビがなにを考え、どこに向かっているのか。ベテラン放送作家が問う小説から、その一端を覗き見れるのではないか。
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