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.政治  投稿日:2018/4/25

全拉致被害者帰国に全力尽くせ


Japan In-depth編集部 小寺直子

 

 

【まとめ】

・全拉致被害者救出を求める国民大集会が開催された。

・安倍首相は「南北、米朝首脳会談の際、拉致問題が前進するよう司令塔となり取り組む」と述べた。

・全拉致被害者の即時一括帰国を求める姿勢を貫くことが重要。

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4月22日、「北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会(以下救う会)」と「北朝鮮による拉致被害者家族連絡会(以下家族会)」らの主催による『政府に今年中の全被害者救出を求める 国民大集会』が都内で行われた。安倍晋三内閣総理大臣をはじめ、国会議員、地方議員、家族会の代表者らが登壇し、会場には1000名を上回る聴衆が詰めかけた。

 

先の日米首脳会談後、トランプ大統領は「米朝首脳会談で拉致問題を提起する、拉致被害者を日本に連れ戻せるよう、できることはすべてやる」と語ったばかり。史上初となる米朝首脳会談でアメリカ大統領が拉致問題について取り上げると明言したのは大きな前進だ。

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写真)会場の様子
©Japan In-depth編集部

 

まず、家族会代表の飯塚繁雄氏が現在の状況について、「今、拉致問題がようやくクローズアップされている。この問題が解決しなければ、核問題等は解決しない。会談が始められるからよし、ではない。被害者がいつ帰れるかに焦点を当ててほしい。北朝鮮はずっと嘘をつきっぱなし。どうなるかわからない。安倍首相の力量を注視しながら頑張ってきたが、今が一番盛り上がるチャンス。あまりに長い間、我慢だったがようやく少し光が見えてきた。」と述べた。

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家族会代表 飯塚繁雄氏
©Japan In-depth編集部

 

続いて、衆議院議員拉致議連会長古屋圭司氏が「安倍首相は同盟国以上にトランプ大統領と信頼関係を築いている。2人きりで一時間以上会談した。今こそ千載一遇のチャンス対話のための対話ではない。分析をしっかりし、制裁も緩めない。

ゴールデンウィークに超党派で訪米する。日米首脳会談のフォローアップをするために関係者と具体的な会談をするために最大限の努力をする。」と意気込みを語った。

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写真)衆議院議員 拉致議連会長 古屋圭司氏
©Japan In-depth 編集部

 

そして、アメリカから帰国したばかりの安倍首相は「今、北朝鮮から対話を求める動きがある。これは我が国が米韓両国を協力し、中国、ロシアといった関係諸国と緊密に連携をしながら北朝鮮に対し最大限の圧力をかけてきた成果だ。」

 

「またアメリカはあらゆる手段を用いて圧力をかけてきた。経済制裁をし、抜け道は許さないという確固たる決意で国際社会をリードしてきた。今回北朝鮮は核実験とICBM発射を停止し、そして核実験場を廃棄する旨を発表したが、大切なことは核実験を含む全ての大量破壊兵器、あらゆる弾道ミサイルの完全、検証可能、かつ不可逆的な方法での廃棄に向けた具体的な方法につながっていくことである。」

 

「そして情報収集、分析を行い注視していく。南北首脳会談の次は、史上初めての米朝首脳会談が予定されている。これらの会談を契機に日本としては何よりも大切な拉致問題の解決に向け進めていく局面にきた。」

 

「ご家族の切なる思いを胸に17日から20日にかけてトランプ大統領と会談を行った。初日の2人だけの会談、その後の少人数での会談もほとんどを北朝鮮の問題について費やした。特に、2人だけの会談では、拉致問題の重要性についてトランプ大統領に伝えた。トランプ大統領は家族の気持ちをよく理解していた。大統領は身を乗り出し目を見ながら真剣に聞いていた。そして『米朝首脳会談では、拉致問題について取り上げる、ベストを尽くす』と力強く約束してくれた。」

 

「そして記者会見においても、(トランプ大統領は)『できる限り早期にご家族の再開を望む。被害者の帰国に向け可能な限り全てのことをし、彼らを日本に帰国させる。あなたに約束する。』とテレビカメラの前で表明してくれた。この共同記者会見は、CNN等で全米にライブで放映された。これは北朝鮮の人々も見ている。米国の大統領が、この問題を世界向けて解決する、被害者を家族の元に帰すということを約束してくれた。しかし、大事なのは北朝鮮がどう行動していくかだ。まさに拉致問題は日本が主体的に行動していかなくてはいけない。韓国文在寅大統領とも先月16日に電話会談を行い、拉致問題解決に向け協力してくれることで一致している。中国、ロシアとも協力しあらゆる策で解決に向け取り組んでいく。」

 

「まずは南北、そして米朝首脳会談の際に拉致問題が前進するよう私が司令塔となって全力で取り組んでいく。」

 

「拉致問題解決のためには国民が一致して拉致被害者を日本に返すとの強い声を伝えていくことが必要。その声が国際社会を動かし、そして北朝鮮を動かすことにつながっていく。」と述べた。

 

加藤勝信拉致問題担当大臣は、今後の拉致問題の国内外の啓発活動について以下のように述べた。「政府としても拉致問題の啓発に取り組んでいるが、特に今まで拉致問題に触れることがすくなかった若い世代への啓発が重要であるという認識のもと、アニメ「めぐみの積極的な視聴や作文コンクールへの参加を全国の教育委員会に要請した。また、今年度は小中の教員を対象に拉致問題の取り上げ方に対する研修も行っていく。最近ロンドンでは日本人の拉致問題を題材にした「The Grate Wave」がナショナルシアターにて1ヶ月上映され、拉致問題を知らなかった英国の人々にも衝撃と感動を与え好評を得たと聞いている。こうした機会を逃さず拉致問題の国際啓発にも取り組んでいく。」

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写真)拉致問題担当大臣 加藤勝信氏
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また、各党の代表が超党派での連携を強めていくことを語ったほか、上田清司埼玉県知事をはじめ拉致問題地方議会協議会からも33都道府県の79名が参加した。

 

 

そして、家族会からは、横田早紀江さん、横田拓也さん、横田哲也さん、飯塚耕一郎さん、本間勝さん、有本明弘さん、市川健一さん、増元照明さん、斉藤文代さん、松木信宏さん、松本猛さん、寺越昭男さん、北野政男さん、内田美津夫さん、浜本七郎さんが改めて早期解決を訴えた。

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写真)家族会の方々
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13歳の時に中学からの帰宅途中で拉致された横田めぐみさんの母、早紀江さんは、「皆の思いが結集して40年経ってようやくこのように形に現れてきたんだなと思う。主人も体調が悪くなり皆さまの前には出られなくなったが、彼は彼なりに1000回を超える講演会を行い全身全霊をかけてやってきたので、お互いもうこれでいいね、と言っているが、会えるまで頑張ろうね、と励ましている。どうか、誰にもこのようなことが二度と起きないように、日本のために一緒に戦ってください。」と述べた。 

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写真)横田早紀江さん(左)と横田拓也さん(右)
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22歳の時にベビーホテルに2歳の娘と1歳の娘を預けたまま拉致された田口八重子さんの兄、本間勝さんは、「私の隣にいるのは八重子の息子の耕一郎ですが、いなくなった当時1歳でした。八重子にも幸せな家庭があったということなんです。それが40年も帰ってこられなくて悲しい思いをしている。ハガディアメリカ大使にそれを伝えたところを、真剣にうなづいておられた。とにかくこのような悲劇を二度と起こさないようにしてほしい。」

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写真)拉致された田口八重子さんの長男飯塚耕一郎さん(左)と田口さんの兄、本間勝さん(右)
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最後に救う会会長の西岡力氏が、全拉致被害者の即時一括帰国を求める姿勢を貫くことこそが重要だと述べ、今後可能性がある展開を3つ挙げた。

1  米が北朝鮮に対し中途半端な譲歩をする可能性

 

アメリカ本土に届く兵器のみ放棄させるなどの譲歩の可能性があったが、『中途半端な譲歩は絶対にダメだ』と言っているジョンボルトンさんが安保担当補佐官になった。彼には6回以上会ったが拉致問題について深く理解している。米朝首脳会談が決まった後に、彼を事実上の安全保障の最高責任者にしたということは、この可能性は極めて低いだろう。

 

2  北朝鮮が大幅に譲歩してくる可能性

 

いわゆるリビア型完全に撤去するまで見返りを与えない。金正恩はこれを飲むかもしれない。彼が状況を冷静に判断し、生き残るために何を選択しなければいけないかわかれば大幅な譲歩が起きるかかもしれない。

 

3       決裂の可能性

 

そうなれば緊張が高まる。情報が重要になる。我々はどこに被害者がいるのかという情報を必死に集めなければいけない。

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写真)救う会代表 西岡力氏
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すでに北朝鮮による拉致問題が解決せぬまま40年の月日が流れた。現在政府が認める拉致被害者は17名、特定失踪者は800名に及ぶ。このあまりにも非道な人権侵害に対し、政府のみならず私たちひとりひとりが被害者救出への強い意思を持つことが必要だ。拉致問題は今、最大の局面を迎えている。 

トップ写真)安倍晋三内閣総理大臣
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