【日本の大学、国際評価低い訳】~国際社会に発信する力つけよ~
ulala(ライター・ブロガー)
フランスでは移民がフランスの教育レベルを下げていると言われているが、ined(注1)のデーターによると、確かにいくつかの地域から移民は親が先生とのコミュニケーションがうまく取れてないとういうような理由もあり、成功できないことがあるらしい。だか、驚いたのが東南アジアから来た移民は、フランスのシステムをよく理解しているフランス地元民よりも成功率が高いそうだ。
実際、一番身近な子供達の小・中学校を見まわしてみても、アジア系の人数は全体に比べてかなり少ないのにもかかわらず学校のトップには日本を含むアジア系が多かったりする。かと言ってフランス人達が思っているようなガリ勉をしているわけでもなく授業だけで成績がよくなっているようで、理解力が高いのだろうと感心する。
日本についてのみ考えてみると、OECDのPISA(注2)によると15歳未満の教育の平均値はトップクラスだ。日本はできる子の層が厚いため全体の平均値が高いと考えられる。同様に、成人に対して行われた調査PIAAC(注3)でも、日本はトップクラスだ。
アメリカの大学に入れるレベルがあるかを確かめるSAT(注4)の数学のテストは、日本の中学を卒業レベルで、英語ができれば十分な点が取れると言っている人もいる。さすがにそれは日本でも上位の子についての話だとは思うが、こういったことからでも、決して世界的に見ても日本人の学力が低いと言う事はなく、どちらかと言うと上位に位置すると思えてくる。しかし、なぜだか不思議なことに、大学のレベルランキングでは日本は上位に入る大学が少ないのだ。
ランキングの調査元によって順位は変わっては来るが、有名なランキングの一つ「TIMES HIGHER EDUCATION(タイムズ・ハイヤー・エデュケーション) 世界大学ランキング2013-14」を見てみると、上位は英語圏の大学が多いことが見て取れる。それは英語の論文の数や、大学内の英語の使用頻度などがランキングに影響してくるそうなのでしょうがないとしても、英語圏ではないフランスと比較しても日本の大学の上位ランクイン数が少ないことが解る。
東京大学、京都大学の二校は、フランスのトップ校を大きく上回って上位ランクインしており、それはさすがと言わざるをえないだろう。ところが、200位以内に入る大学の数を見てみると、フランスは8大学が入っているのに対して、驚くことに日本は5大学しかランクインしていないのだ。
習得度が高い子供達の層が厚いはずの日本。しかし、できる大学の層は厚くないようだ。フランスと比べてもどうしてここまで差がでるのだろうか?多分野に渡っていろいろ理由はあると思うのだが、教育に関して筆者が特に違いを感じるのは以下の3点である。
1.個人、世界へのネットワークが作られてる
こちらの学生は大学内や、他分野、企業などへの研修を通しての知り合い作りにも精を出す。人とのネットワークによって仕事を探したり、情報を得たり、ヒントを得たり、日本にいるよりコネクションの重要性を認識させられる。同様に研究の国際協力など、海外にもネットワークができており世界の通常が見えやすく自分の勉強・研究の目標設定も明確だ。
2.表現力を十分教育されている
日本の学校教育は知識の詰め込み、暗記することが中心だ。論文を要約しろと言う問いには完璧にこなせるが「それについてどう思う」と問われると答えに詰まる。詰め込んだ知識を使って答えなければいけないが、その使い方、表現方法をうまく身に着けてないことも理由の一つだろう。
欧米では子供の頃から討論し発表する授業が充実している。クラスでは盛んに手を上げて発言する。自分の意見をもち、自分の能力を自信を持って発表する方法を知っているので研究成果に対しても、仕事でも積極的に発言できる。
3.やはり英語力
上記の二つの点でも、やはり英語力が基本になってくる。アジア内でもシンガポールは英語が広く使われているので国際化と言う点では評価が高くなり、ランキングにも次々と上位に上がってきている。フランスは確かに英語が苦手な人が多いが、英語で講義を行う大学やグランドゼコール(注5)も増え、エリートへの英語教育には余念がない。また、英語で講義を行うため海外からの留学生も増えそこで国際化も広がっていっている。
「国内だけで満足する環境からもっと世界に目を向け、国際社会に発信する力を付ける」そんな教育の場が増えることが日本には重要なことだろう。安倍首相は世界の大学ランキング100位以内に10大学以上をランクインさせることを目標として掲げており、日本の大学は年々順位を上げていることも確かだ。もうすぐ発表される今年の大学ランキングに期待したい。
注1 ined : Institut National Etudes Démographiques
注2 PISA (学習到達度調査) :Programme for International Student Assessment
注3 PIAAC(国際成人力調査):Programme for the International Assessment of Adult Competencies
注4 SAT (大学進学適性試験) : Scholastic Assessment Test
注5 グランゼコール(grandes écoles)フランス独自の高等教育専門機関。
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