[Japan In-depth編集部]【クラウドファンディングの歴史に新たな1ページ】~「マギーズ東京プロジェクト」がん患者を支える社会の実現に向けて~
<上写真:maggie’s tokyo×READYFOR? カウントダウンパーティー終了の瞬間>
又一つ、日本のクラウドファンディングの歴史に新たな1ページが刻まれた。22日23時に”マギーズ東京プロジェクト“(注1)のクラウドファンディングが終了、1,100人のパトロンから、2,206万8,000円を調達したのだ。
この額は、同プロジェクトが利用したクラウドファンディングサイト”readyfor?“の最高支援額を約900万円も上回り、歴代一位を記録したという。当初の目標は、マギーズ東京の内装費700万円だったからその3倍超に当たる。
これはサイバーエージェント・クラウドファンディングが運営するMakuakeが今年4月、男性化粧品「BULK HOMME」プロジェクトで国内最高額の3,000万の資金調達に成功した例に次ぐ規模だ。
2,200万円を集めたと言っても、マギーズセンターを東京に作るには、総額3,500万円かかるという。まだ資金調達は道半ばである。加えて、センターを運営していくには人件費を含めランニングコストもかかるであろう。このプロジェクトを持続可能なものにしていくためには、引き続き支援の輪が広がっていくことが必要だ。
それにしても、プロジェクトが発足してから半年余り、鈴木氏を中心とした若いパワーが結集し、すさまじいスピードで多くの支援者を集めたことは注目に値する。SNSの存在が大きかったことは言うまでもないが、国民の3人に1人ががんで死亡するという日本。多くの人が自らの健康に漠たる不安を抱いていることの証左でもあるのではないか。
<共同代表の鈴木美穂さん、秋山正子さん>
がんだけにとどまらず、多くの人が病に倒れ、家族も含め苦しんでいる現状がある。医療は進化すれど、人の心のケアまでカバーすることは出来ない。マギーズセンターは、病に苦しむ人々のケアに対する、社会の一つの解である。しかし、それは一つの解でしかない。マギーズセンターが単なる一つの“家”で終わることのないように、その”家“を中心として、豊かな寛容の精神が広く社会に広がっていくこと。それが病に苦しむ人々を癒し、生きる喜びを与え、そして一歩でも前に進む勇気を与えることになると信じる。”マギーズ東京プロジェクト“はそんな思いを多くの人に抱かせたに違いない。
<maggie’s tokyo×READYFOR? カウントダウンパーティーを見守る支援者>
(注1) マギーズ東京プロジェクト
20年の看護師経験と姉のがん闘病から「暮らしの保健室」を立ち上げた秋山正子氏と、自らのがん経験を活かして患者支援活動を行う鈴木美穂氏を中心に、英国発の「マギーズセンター」というがん患者と、彼らを支える人たちのための相談支援センターを日本に実現させようというプロジェクト。
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