【仏の消費税:食料品に軽減税率】~生活必需品の割合高い低所得者層に配慮~
Ulala(ライター・ブロガー)「フランスUlalaの視点」
消費税というのはフランスでは「TVA」(付加価値税)にあたり、第2次世界大戦後の立て直し期にフランスで発明された仕組みだ。そのフランスも日本同様に今年は増税が行われた。
日本ではすっかり景気回復のネックになってしまった消費税の増税、フランスはどうだったかと言うと、実際のところ増税されても日常の生活にはあまり影響がなかったように感じる。増税と言っても標準税率と、軽減税率の一項目だけだったからかもしれない。
フランスでは、軽減税率が採用されている。軽減税率と言うのは、低所得者の負担を緩和するため項目を分け、日用品などを標準税率より引く設定するものだ。そのため、増税しても日本のように食料品からぜいたく品まで一律に引き上げられる圧迫感がなかった。特に生活必需品である食料品や書籍、医療品などは今回増税されなかった為、贅沢をしない家庭には大きくは影響を及ぼさなかったのだ。
下記はフランスの増税内容だ。
標準税率は20%で、これだけを見ると日本の消費税8%が少なく見えるが、フランスでは食品などの日用品の税率は5.5%であり、生活必需品は日本の方が税率が高いということになる。
日本でも、アベノミクスが継続されるようなら、消費税が10%になるときに軽減税率が導入するよう検討されるようだが、軽減税率については日本では今だに賛否両論ある。項目の分け方によって導入の負荷が違うし、混乱の状況も変わってきたりと、いろいろ内容を検討しなくてはいけない部分も多く、難しいのは間違いないだろう。
しかし、一億総中流家庭と言われてた時とは時代が違う。正規社員が減り、非正規の数が増え、富裕層とワーキングプアの差が大きくなった。一律に消費税が上がってしまうと、非必需品の購入を減らせばよい層と違って、生活必需品の割合が高い低所者層は生活に直接響くことになる。そうなればある一定の生活水準を保つことができなくなる可能性もあり、すでに8%に増税する時にあったように不安の声も高くなるのだ。
景気は心理に影響を受けると100年以上前から議論されてきている。楽観的になると積極的に投資や消費をするが、悲観的になると消費者が不安になって財布の紐をきつくしたり、銀行も貸し渋りしているように感じる。
そういった内容も含め、アベノミクスは、楽観的になれる材料を作り出しているか?このまま、アベノミクスを進めることで、将来に光が見えるか?見えないのか?そんな問いに対する国民からの答えが出る衆議院選挙。結果が今から楽しみである。
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