[宮家邦彦]【イタリアはスト三昧の年末】〜ロシアは経済制裁破りに必死〜
宮家邦彦(立命館大学 客員教授/外交政策研究所代表)
宮家邦彦の外交・安保カレンダー(12月8-14日)
今週も欧州ではEUの会合、特に閣僚級会合が目白押しだ。
これが終わればクリスマス休暇のだろう。同時期、 イタリアでは9日に裁判官と郵便局職員が、11- 12日に某鉄道会社の貨物部門と旅客部門が、13- 14日には全鉄道労働者が、 それぞれストライキを行うのだそうだ。この点に関する限り、 イタリアは大国としか言いようがない。 その点、ロシアは今週も仕事をしている。
プーチン大統領は11日にインドを訪問する。 訪印は一日だけだが、モディ首相とは7月以来、 三回目の首脳会談となる。先週はトルコで、 今週がインドということか。 プーチンも経済制裁破りに必死なのだろう。 クリスマスのないイスラム諸国では結構仕事をしている。9-
10日にドーハでGCC首脳会議があるから、 カタルをめぐる一時の軋轢は解消したのか。 10日にはレバノンで15回やっても結果の出ない「大統領選挙」 が再開される。やはり中東は相変わらずだ。 東アジアでは、
3日から六者協議の米国特別代表が10日まで韓国、日本、 中国を訪問し協議を行っている。韓国日刊紙は韓米両国が、「 金正恩の特使としてロシアを訪問した北朝鮮の崔竜海労働党秘書の 活動」などにつき協議する模様だと報じた。 この特別代表とはソン・キム前駐韓米大使のことで、
国務省の次官補代理のはずだが、 最近は特別代表も兼任しているらしい。 彼は確か2008年にもこのポストを担当していた筈だから、 要するに出戻り、米政府内はかなりの人材難ということだろう。 キム氏に個人的恨みはないが、彼のおかげで筆者の友人の「
在韓国大使」の芽が消えたという噂話を以前聞いたことがある。 いやむしろ、 友人の話が消えたためにキム大使が実現したのかもしれない。 いずれにせよ、米国でも人事は悲喜交々だ。 日本ではやはり14日の衆議院選挙の投開票が要注目だろう。
各種世論調査が既に公表されているが、 筆者は信じないことにしている。 各社が公表しない調査や各政党が独自に行っている調査こそが知り たいのだが、それでも選挙結果は判らない。 とにかく皆さんには投票してほしい。選挙権は投票して何ぼ、
である。どんな結果が出るにせよ、 民主主義の基本は有権者の投票だ。 今週はこのくらいにしておこう。いつものとおり、 この続きはキヤノングローバル戦略研究所のウェブサイトに掲載す る。 【あわせて読みたい】
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