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.国際  投稿日:2014/12/23

[宮家邦彦]【北朝鮮のサイバー攻撃、米が強硬な理由】~プロ(軍)ならともかく素人(企業)には手を出すな!~


宮家邦彦(立命館大学 客員教授/外交政策研究所代表)

宮家邦彦の外交・安保カレンダー(12月22-28日)

執筆記事プロフィールblogWeb

 

遂に2014年の第51週目がやってきた。今年もあと9日しかないのか。長いようで短い一年だった。読者の皆さんは如何だったか。さて、今週筆者が一番注目したのは北朝鮮の米国映画企業に対するサイバー攻撃の行方だ。驚くなかれ、今回はオバマ大統領まで出てきて大騒ぎとなったが、この点については後ほど詳しく触れよう。

今週はクリスマスで、欧州は開店休業。その例外がギリシャ議会で、23日に大統領を選ぶという。もう一つの例外が同日モスクワで開かれる最高ユーラシア経済評議会会合だ。興味深いことに、これらの関係国はいずれもイスラムか東方正教会の国ばかり。なるほど、確かに、彼らならクリスマスの直前でも重要な会議を開催できるのだろう。

理由は暦の違いだ。ユリウス暦を使用する正教会は現時点でグレゴリオ暦と13日のずれが生じるらしい。ユリウス暦の12月25日はグレゴリオ暦で1月7日である。要するに正教会のクリスマスは日本では「三が日空け」ということだ。そうでなければ、12月23日にこんな重要な会議など開ける筈がないのである。

さて話を北朝鮮のサイバー攻撃に戻そう。今回、なぜ米国がかくも強硬なのか、という質問を何度も受けた。確かに、対米サイバー攻撃など日常茶飯事であり、一つ一つを大統領が取り上げていたらキリがない。今回大騒ぎになった理由は、相手が北朝鮮軍であり、米国の民間企業が対象となり、しかも言論の自由が絡んだからだろう。

どうやらサイバー攻撃に関する米国のルールは、「プロ(軍)同士ならともかく、素人(企業)には手を出すな」ということらしい。オバマ大統領は北朝鮮がサイバー攻撃により、米国企業の自由、特に表現の自由を制限しようとしたことを重大視した。この点は最近の中国人民解放軍による対米企業サイバー攻撃への反応とほぼ同じだ。

それにしても、北朝鮮の反応は大人げないというか、ちょっと子供じみていないか。先日の国連総会での人権侵害決議といい、今回の(恐らくB級の)コメディ映画といい、いくらメンツに関わるとはいえ、過剰反応もいいとこだ。そんなもの、「ふん」とせせら笑っていれば良いと思うのだが、そんなこと北朝鮮国内では誰も言い出せないのだろう。

今週はこのくらいにしておこう。いつものとおり、この続きはキヤノングローバル戦略研究所のウェブサイトに掲載する。

 

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