[山田厚俊]【自民3連敗、佐賀県知事選の敗因】~ネガキャンより個人の資質~
山田厚俊(ジャーナリスト)「山田厚俊の永田町ミザルイワザルキカザル」
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安倍晋三首相は1月13日、自民党役員会で「大変残念な結果だ。敗因をしっかり分析し、統一地方選に生かしていきたい」と語った。11日投開票の佐賀県知事選で、自公推薦の前武雄市長の樋渡啓祐氏が落選したことを受けての発言だ。
自民党衆院議員の中からは「なぜ、あんなヤツを推薦したんだ」と、訝る声も出ている。というのは、総務官僚出身の山口祥義氏も推薦候補に挙がっていたからだ。自民党関係者は語る。
「事前の県内世論調査で、樋渡氏と山口氏は30ポイントの大差がつくほど、樋渡氏の知名度が高かった。よもや、自公推薦で負けるとは思わなかった」
しかし、樋渡氏が出馬を決めて以降、ネットでのバッシングが酷かった。それが影響したのか。(株)ダイアログ代表で、選挙プランナーの松田馨氏はこう分析する。「ネットのネガティブキャンペーンは凄まじかったが、さほど影響したとは思えません。それより、候補者個人の資質の問題といっていいのではないか」
樋渡氏は、地方の改革の旗手としてマスコミで持てはやされたが、傲岸不遜な言動が周囲との軋轢を何度も起こしている。同じ首長、行政職員、マスコミ関係者……。自分より下だと感じると横柄な態度を取り、周りを辟易させることがしばしばあったというのだ。それが、出馬と同時に、周囲の首長をはじめ、選挙のキーマンたちが反旗を翻し、落選の憂き目に遭った要因だと指摘する。
「しかも、自公推薦で県知事選出馬は、武雄市を“踏み台”にしたと受け取られた。せめて、完全無所属なら結果は違っていたかもしれません」(前出・松田氏)
折角の改革の旗手も、普段の自らの言動が落選の要因になるとは思いもよらなかったことだろう。自民党OBの一人はこう嘆く。
「最後は“人間力”。そこを見極めていかずに表面の実績だけで判断すると今回のような痛い目に遭う。統一地方選は心してかからないといけない」
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