支持率回復しなければ安倍降ろしも
山田厚俊(ジャーナリスト)
【まとめ】
・第3次安倍改造内閣、各メディア内閣支持率軒並みアップ。
・しかし、毎日新聞など以前3割台も。
・野党の加計学園問題追求続く。支持率低下なら安倍降ろしの動きも。
8月3日、第3次安倍改造内閣が発表された。安倍晋三首相と距離を置いていた野田聖子元総務会長を総務相に起用するなど、これまでの“お友だち優遇”を封印した形で組閣がなされた。
その結果、各メディアの世論調査による内閣支持率は、共同通信が44.4%(前回比8.6ポイント増)、読売新聞が42%(同6ポイント増)、毎日新聞が35%(同9ポイント増)など、なんとかダウンに歯止めがかかった格好だ。
とはいえ、不支持率は共同通信が43.2%、読売新聞が48%、毎日新聞が47%と、それぞれ不支持が支持を上回った状態のまま。共同、読売は“危険水域”とされる支持率3割台を脱したものの、毎日をはじめいくつかのメディアでは3割台にとどまったままだ。
自民党関係者は語る。
「安心できる布陣を敷いた。後は地道に経済政策優先で動けば支持率は回復するだろう。ひとまず解散は封印し、来年にタイミングを見て(解散)するのではないか」
この言葉にはウラがある。不支持が支持を上回っている以上、安倍首相で解散させないとの「意思」が感じられるからだ。都議選で自民党が惨敗した“後遺症”は未だ尾を引きずっている。支持率が下げ止まりをしたからと言って、安倍首相がフリーハンドで解散に打って出られるほど自民党が優位になったわけではないのだ。野党関係者は語る。
「加計学園問題は未だ終わったわけではない。疑問はさらに深まっているなかで、今後どのように説明していくのかが重要だ」
単に「知らなかった」を繰り返し、疑惑隠しを続けるようなら再び支持率は下がることになるだろう。そうなれば、
「安倍内閣は総辞職し、選挙管理内閣が組閣され、一気に解散に向かって走り出す。安倍首相では解散はさせません」(前出・自民党関係者)
と、安倍降ろしが始まるというのだ。
表紙(安倍首相)を替えず、さらに菅義偉官房長官、麻生太郎財務相といった重要閣僚を残してスタートした改造内閣。しかし、その真価が問われるのは、積み残した問題の処理と言われること自体、安倍政権の問題の深さを表しているように見える。
トップ画像:第3次安倍第3次改造内閣 首相官邸HP
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この記事を書いた人
山田厚俊ジャーナリスト
1961年、栃木県生れ。東京工芸大学短期大学部卒業後、建設業界紙、タウン紙の記者を経て95年4月、元大阪読売社会部長の黒田清氏が代表を務める「黒田ジャーナル」に入社。阪神・淡路大震災の取材に加わる。震災取材後、事務所から出向する形でテレビ制作に携わる。黒田氏死去後、大谷昭宏事務所に転籍。2002年から週刊誌で活動を始める。2009年2月、大谷昭宏事務所を退社。フリー活動を開始。週刊誌をはじめ、ビジネス誌、月刊誌で執筆活動中。