[細川珠生]【安倍政権の教育改革~下村文科相に聞く 2】~大学入試にこれまでにない大改革~
「細川珠生のモーニングトーク」2015年1月10日放送
今回のゲストは、先週に引き続き文部科学大臣の下村博文氏。今回は大学など高等教育の抱えている問題について聞いた。
大学は専門性を磨くための大切な場であるが、日本の大学生は他国に比べて生ぬるい環境にいるという声を耳にする。これを受けて大学入試から改善していこうという動きが進んでいる。
昨年12月、中央教育審議会より大学入試の在り方について答申が出され、文科省内で検討中だ。下村大臣は「日本始まって以来の大改革をしようとしている」と述べ、改革に省を上げて取り組むとの考えを示した。
又、下村大臣は、これまでの大学入試は、暗記中心であったが、これを抜本的に見直すという。暗記にいくら力を入れてもコンピューターには勝てない。また、子供たちが大人になった時、そのような能力が必要なのだろうか。アメリカの研究によると、現在の小学一年生が大人になったときには、今の職業の60%はなくなっているという。与えられた仕事を続けていくだけでは、変化していく社会に対応していくことはできない、と下村氏は強調した。
こうしたことから、下村大臣は、これから問われる能力について、①課題解決能力 ②クリエイティブな能力 ③優しさなどの感情を伴う能力の3つを教育機関が伸ばすことが重要との考えを強調した。
しかし、メディアからは「このような能力は確かに必要だが、本当に実現できるのか」と疑問の声も上がっている。これに対し、下村大臣は「高校以下の学習指導要領も全て変えるという計画が2年前から進んでいる」と述べ、実現のために大学以下の教育から見直しているということを明らかにした。
大学入試改革に大きなヒントを与えたのが、ノーベル生理学・医学賞受賞者の利根川進氏だという。利根川氏の関わっているシカゴ大学では、ペーパーの入学試験は行っていない。入学の難易度で言えば、東京大学の方が上だが、シカゴ大学はノーベル賞受賞者を69人も輩出している。
何故なら、シカゴ大学は、学生が大学に入って何をしたいかを重視し、意欲と伸びしろのある生徒を入学させているからだという。下村大臣は「社会で必要なのは頑張ろうという子供たちをもっと伸ばすような教育だ」と述べ、そのような教育を日本で実現したい、と意欲を示した。
東大、京大など一部の大学では、今年から一定人数を、暗記だけではない新しい入学試験の形式で合格させるようになる。そのような試験に積極的に取り組む大学には、「財政的な支援で国が応援するようにしていきたい」と下村大臣は述べ、国によるサポート体制を整えていく考えを示した。
最後に、下村氏は日本の制度の問題を取り上げ、世界170か国では18歳から成人とされている事実を紹介、「18歳から大人だという制度設計と教育が必要」だと述べ、早くから大人の責任を身につけさせることが重要だとした。
(この記事は、ラジオ日本「細川珠生のモーニングトーク」(2015年1月10日放送)の内容を要約して原稿化したものです。)
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