[山田厚俊] 【安全保障法制、与党協議に不協和音】~“驕る平家”の安倍政権~
山田厚俊(ジャーナリスト)
「山田厚俊の永田町ミザルイワザルキカザル」
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2月13日、自公両党による安全保障法制の整備に向けた与党協議が再開された。集団的自衛権の行使、多国籍軍への後方支援活動など、どこまで自衛隊の活動を認めるかが焦点となるもので、3月中の取りまとめを目指すものとしている。
しかし、昨年7月に行われた集団的自衛権行使の憲法解釈を容認する閣議決定では、艦船防護については対象を「米軍部隊」としてあるのに対し、政府は「多国籍軍」と広げる考えを示したことから公明党が「拡大解釈だ」と反発。今後、推進派の自民党と慎重派の公明党のせめぎ合いが焦点となる。
そもそも、閣議決定の手順からおかしかった。国会での議論を避け、閉会後に臨時召集して閣議決定を行った。
「以前の自民党では、あり得ない“手順”だ。」自民党関係者はこう顔を曇らし、こう続ける。
「数が圧倒的に多い。支持率が高い。そんなときこそ慎重に、丁寧に議論を重ねていく。そんな“文化”がかつての自民党にはあった。“驕る平家は久しからず”というだろう。しかし、今の安倍政権にはそれはない。」
反対派勢力から見れば、閣議決定自体も“騙し打ち”のような格好に映る。しかもその後、12月の衆院選でも安保法制は議論の俎上に乗ることはなく、自民党はアベノミクス継続を唯一の争点として掲げて戦った。
古びた法律を現代の国際情勢に合わせて改正しようとするのは理解できる。しかし、安倍政権が進めてきた安保法制に関わる手順は、手駒を隠しながら打つ将棋のような“後ろめたさ”を感じずにはいられない。
掛け違ったボタン。その言葉の意味を今一度噛みしめて、丁寧な議論を望んで止まない。