山田厚俊（ジャーナリスト）

「山田厚俊の永田町ミザルイワザルキカザル」

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投票率66.83％－－。大阪市を廃止して５つの特別区を設ける「大阪都構想」の賛否を問う住民投票が５月17日行われ、反対が70万5585票で賛成の69万4844票をわずかに上回り、都構想は否決された。つまり、「大阪市」の存続決定となったわけだが、今回の住民投票の一番の“成果”は、投票率の高さだった。

“敗戦の弁”を述べた橋下徹・大阪市長が、それを高く評価したのも印象的だった。「かなり悩まれたと思うし、非常に重い重い判断をされたと思うが、日本の民主主義を相当レベルアップしたかと思う。大阪市民の皆さんが、おそらく全国で一番、政治や行政に精通されている市民ではないかな」

賛成か反対かの二者択一。それも、反対側は自民党と共産党がタッグを組む異例の事態へと発展した。維新側は、“党の存続”を賭けて国政選挙並みどころか、それ以上の力を入れこの住民投票に臨んできた。自民党は、官邸の思惑を真っ向から否定した形で府連が独自に反対を打ち出し、徹底抗戦を展開してきた。 しかし、市民ではない“外野”からは消化不良の感が否めない。

賛成の維新の言い分として「５つの区割り」に対する説明が不足していたように感じたし、反対の側の言い分は、“橋下批判”は分かるが代案不足だったように感じたのだ。これでは、市民も相当悩んだことだろう。想像に難くない。 とりわけ、反対側は「では、このまま大阪市を残して、これまでの負債をどう返済し、どうやって二重行政を解消していくのか」がはっきり伝わってこなかった。

もちろん、発信するメディアにも問題があるのだろうが、“外野”には伝わりにくく、単なるネガティブキャンペーンに近いものに感じられた。 さて、結果が出て、橋下氏は会見で引退を表明。今後の動向が気になるところだが、早くも「嘘くさい」「また出るんじゃない」と、“橋下嫌い”の方々からはいろいろな憶測が出ている。

しかし、ある関係者によれば、芸能関係の仲間に「もうくたびれた」と本音を漏らしていたそうで、その際、「帰って来いよ」と強烈なカムバックの誘いを受けたという。恐らく、引退は揺るがないだろう。

その後を紐解くヒントは、想像の範囲内だが、故・やしきたかじんにあると思う。橋下氏の大阪政界進出の恩人であるやしき氏の足跡を辿るように、自身もテレビに戻り、後継者を見い出してバックアップするというものだ。果たして、本当に“第２のたかじん”になれるかどうか、これからも橋下氏からは目が離せないのだろう。