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.国際  投稿日:2015/6/8

[Japan In-depthチャンネルニコ生公式放送リポート]【日本は謝罪し続けるのを止めよ】~安倍首相米上下両院合同議会での演説に期待 古森義久氏に聞く~


2015年4月22日放送

Japan In-depth 編集部(Aya)


4月末の安倍首相訪米。オバマ大統領との会談は勿論だが、日本人として初めて上下両院合同会議で演説を行う。この中で、安倍首相が侵略や植民地支配へのお詫びを口にするかに注目が集まっている。ワシントンに長年駐在している産経新聞の古森義久氏を招き、安倍首相訪米の意義、今後の日米関係の展望を聞いた。

バンドン会議では、反省という言葉は使ったが、謝罪はしなかった。過去に戦争が起こり、世界の国々に迷惑をかけた事実がある限り、古森氏も「言及は必要」とする一方で、「いつまでも謝り続けなくてはいけないのか。」と疑問を口にした。中国や韓国は謝罪を口にすべきだという姿勢を見せ、アメリカでもオバマ政権の立ち位置としてはお詫びを繰り返したほうがよいのではないかという意見寄りだ。

しかし、「海外からも『日本はもう同じことで謝り続けなくてもいい』という意見もある」と古森氏はあまり知られていない事実を語った。米・大手新聞のWall Street Journalではも、海外の日本研究学者からも「日本は謝罪を繰り返さなくてもよい」という意見を載せたが聞かれる。その理由としては以下のようなことが挙げられる。

・謝罪を繰り返すことで日本の中での国論の分裂を呼ぶ。謝罪をするかしないかでいちいち国内でもめることになる。
・次世代の国民に悪影響を与える。自己弁護できない未来の日本の評判を傷つける。
・今まで日本の謝罪外交が成功してきたかというとそうではない。いい影響を与えていない。

「日本はすぐ謝罪する文化、国民性だ」と安倍編集長は指摘する。アメリカでは謝るということは即ち自分の罪を法的に認めることであるので、賠償に直結する。日本のように謝罪のみを続けている国というのは世界的に見ても珍しい。

中国や韓国は日本に謝罪を求めているが、そこにはそれぞれの思惑があることを古森氏は指摘した。中国は日本を非難し続けることで共産党の正統性を守り、国がまとまっている部分がある。韓国も日本が謝り続けても許す日は来ないだろう。韓国は日本に謝罪を求めることに意味がある。韓国人は過激なところもあり、ではデモで安倍首相の顔写真に火をつけたりするような場面も見られる。「戦後70年の実績の中のいいことをしてきたところに比重を置くのか、それともその前の悪いところに比重を置くのか」と古森氏は問いかけ、日本が前向きに進んでいくために重要な決断であるということを示唆した。

オバマ大統領との会談での注目点としては、日米同盟の顕示に加え、AIIBや大詰めを迎えているTPPの最終合意等が挙げられた。古森氏はワシントンでこうした問題をフォローしてきた立場から、沖縄の基地問題にも触れ、翁長知事が辺野古への移設を阻止しようとしていることについて、「翁長氏は、この問題を安全保障の問題だと見ていない。環境問題だとみている。」と指摘し、環境問題だけでこの問題を語るのは不十分だという立場を示した。

日本周辺における有事について、①朝鮮有事②台湾有事の二点をアメリカは想定している。さらに最近では、中国の軍事的な動きや、中東情勢も気になる部分である。「沖縄県民が犠牲になってしまっているが、やはり今のままだと、日米同盟が必要だ」と古森氏は語った。

AIIBについて、古森氏は「日本の慎重な姿勢に賛成だ」と述べた。今までの国際的な枠組みというのは、アメリカが主導することが多かったが「皆でやりましょう」というスタンスだった。しかし、今回は「中国の中国による中国のための銀行」であると言われている。台湾、香港を外していることからもそれが顕著だ。「本来あるべき国際機関の出発としては違うと思う」と古森氏。日本でも財界から「バスに乗り遅れるな」という声も聞かれるが、古森氏は「どこに行くかわからないバス。ましてやバスかどうかすらわからない。」と話した。安易に参加するのではなく、今後もこの動きを注意深く見守っていくことが重要だろう。

安倍首相の米国訪問では様々な点で注目が集まっているが、日本が今後前向きに進めるよう、的確な判断、慎重な言葉選びを期待する。


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