「総理はスーパーでアルバイトしてきた方がいい」――参政党・神谷宗幣代表が斬る消費税減税という”愚策”
安倍宏行(Japan In-depth編集長・ジャーナリスト)
【本稿のポイント】
・食料品消費税1%引き下げについて、神谷氏は元スーパー経営者としての実体験から「税率が下がっても店頭価格が下がる保証はない」と断言し、「愚策中の愚策」と切り捨てた。
・財源論としては、法人税や輸出還付金(年間12兆円規模)の見直しを提示。給付金頼みの政策運営を「ネズミ駆除」に例え、対症療法的な政治手法を批判した。
・「決められない」批判に対しては「良い政策には賛成する」という立場を強調し、国民民主党・玉木雄一郎代表との共通性にも言及した。
2026年8月、国会閉会を受けて参政党の神谷宗幣代表がJapan In-depthチャンネルに登場した。政治家になる前、食品スーパーの経営に携わっていたという経歴を持つ神谷氏は、食料品消費税1%引き下げをめぐる議論に、他の政治家とは一味違う”現場発”の視点で切り込んだ。
「総理はちょっとスーパーでアルバイトしてきた方がいいね。1週間でも働いたら現場が分かりますよ」――高市早苗総理が国会答弁で、税率引き下げ分が店頭価格に反映されなければ業者側が批判を受けることになる、という趣旨の発言をしたことについて問われた神谷氏は、こう切り返した。「私はあの食品スーパーの経営をしてましたから。パートの方の気持ちも、経営者の気持ちも、業者の気持ちもよく分かっております」。
▶ 本編動画(Japan In-depthチャンネル)=https://www.youtube.com/live/nQffuMHKOb0?si=OVHAWOVV3TrDt1bg
■ 元スーパー経営者が斬る「愚策中の愚策」
神谷氏の主張はシンプルだ。消費税率が10%から1%に下がったからといって、店頭価格が7%も下がることにはならない。値段を決めるのは事業者でありマーケットであり、税率はその一要素にすぎない。しかも実施されるのは食品全体ではなく一部にとどまり、期間も2年間の限定措置だ。「じゃあ、あの1%になったんで皆さん今日から7%安くしますなんてするわけない」と一蹴した。
むしろ懸念するのは逆の動きだという。物価高で利益を削って耐えてきた事業者にとって、税率が下がるタイミングは「今まで値上げできなかった分をちょっと上げさせてもらおう」という好機にもなりかねない。「もう本当に愚策中の愚策ですから」と、神谷氏は繰り返し強調した。
この政策への評価は、党派を超えて厳しいという。減税を掲げてきた自民党内でも「これだったら減税よりも給付の方がいい」という声が少なくないとし、「税を下げようと言ってる政党でも、このやり方は筋が悪すぎる」と述べた。
■ 「ネズミ駆除」の政治――対症療法批判と財源論
神谷氏が繰り返し用いたのが「ネズミ駆除」の比喩だ。町にドブネズミが出るからといって、ネズミを一匹ずつ捕まえる方法ばかり研究していても意味がない。本当にやるべきは、ネズミが発生する原因である町の衛生状態そのものを変えることだ――。給付金や小手先の減税策で物価高対策をしようとする今の政治のあり方を、神谷氏はこう例えた。「小手先のことばかりを政府はやろうとしているように見える」。
その根本にあるのが、中間層の貧困化という構造だという。「失われた30年」で国民の中間層がどんどん貧しくなっているのに、企業は内部留保を積み増し続け、株主への配当は手厚くする一方で労働者には還元しない。この分配構造そのものにメスを入れない限り、給付や小手先の減税を繰り返しても状況は変わらない、というのが神谷氏の見立てだ。
具体的な財源論としては、輸出企業向けの消費税還付金(年間約12兆円規模)を挙げ、これを半分に圧縮するだけで6兆円規模の財源が生まれると指摘。消費税は「究極的にはゼロを目指すべき」としながらも、急激な変更は市場に混乱を招きかねないとし、法人税など他の税制の見直しを含めて段階的に移行すべきだという立場を示した。
■ 「決められない」批判への神谷流反論
番組では、消費税をめぐる各党の姿勢の”ぶれ”についても議論が及んだ。神谷氏は、国民民主党・玉木雄一郎代表とのスタンスの近さに触れ、「玉木さんと私は今かなりシンパシーをお互い感じてると思いますよ」と述べた。「ふらふらしている」「ぶれている」といった批判については、「別に言ってることはそんなにぶれてない。いい政策だったらいつでも賛成するというだけ」と説明。政権批判のための批判ではなく、制度そのものが国民のためになっているかどうかで判断していると強調した。
また、保守か革新かという従来の軸で物事を語ることにも否定的な姿勢を示し、「国益に叶うかどうかで旗を立ててやっている」と述べた。メディアの役割についても言及し、「本来はメディアがそれ(政策の妥当性)を指摘しなきゃだめでしょう」と苦言を呈した。
▶ 本編動画(Japan In-depthチャンネル)=https://www.youtube.com/live/nQffuMHKOb0?si=OVHAWOVV3TrDt1bg
■番組で語られたそのほかの論点
・[0:26]〜 国会閉会の総括と福祉法案をめぐる他党との関係
・[2:36]〜 選挙制度改革(定数削減・比例代表)をめぐる議論
・[21:04]〜 大阪における維新との対決姿勢とメディア環境
・[33:19]〜 国会議員の待遇論と日本の民主主義・有権者教育
・[43:58]〜 対米外交・安全保障と情報戦をめぐる持論
【よくある質問(FAQ)】
Q1.輸出還付金とは?
A.消費税の仕組み上、輸出取引には税がかからないため、輸出企業が仕入れ時に支払った消費税分が還付される制度。制度の趣旨自体は国際的な二重課税を避けるためのものだが、大企業への還付額の大きさがしばしば議論の対象となる。
Q2.参政党とは?
A.2020年に結成された政党。日本の伝統や国益を重視する立場を掲げつつ、既存の保守・革新の枠組みにとらわれない独自路線を志向しているとされる。神谷宗幣氏は結党時からの代表。
Q3.内部留保とは?
A.企業が得た利益のうち、株主への配当や税金の支払いに充てられず、社内に蓄積された利益の総額。近年、日本企業全体の内部留保の増加とその活用のあり方が政策論争のテーマとなっている。
関連リンク
・Japan In-depthチャンネル(YouTube)=https://www.youtube.com/live/nQffuMHKOb0?si=OVHAWOVV3TrDt1bg
トップ写真:神谷宗幣・参政党代表 ⒸJapan In-depth編集部
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この記事を書いた人
安倍宏行ジャーナリスト/元・フジテレビ報道局 解説委員
1955年東京生まれ。ジャーナリスト。慶応義塾大学経済学部、国際大学大学院卒。
1979年日産自動車入社。海外輸出・事業計画等。
1992年フジテレビ入社。総理官邸等政治経済キャップ、NY支局長、経済部長、ニュースジャパンキャスター、解説委員、BSフジプライムニュース解説キャスター。
2013年ウェブメディア“Japan in-depth”創刊。危機管理コンサルタント、ブランディングコンサルタント。












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