[古森義久]【朝日新聞“素粒子”、日本政府を激しく非難】~ユネスコへの抗議に対しあてこすり~

古森義久(ジャーナリスト・国際教養大学 客員教授)
「古森義久の内外透視」
朝日新聞の特徴について「朝日新聞はなぜここまで中国を擁護するのだろうか――」という書き出しで始まる報告を私はこのコラムの今年8月30日付に書いた。中国側の天皇陛下への謝罪の要求に関する朝日新聞の記事がいかにも中国側をかばう姿勢に満ちていたからだ。もちろん客観報道の規範に背を向ける特徴だった。この私の考察はやはり正しかったのだと朝日新聞の10月14日夕刊をみて、感じさせられた。一面コラム「素粒子」の記述だった。もっともこのコラムは客観性を建前にせよ、求められるニュース記事ではないが、朝日新聞の中国への一貫した姿勢を嫌でも痛感させる強烈な「親中」の記述だった。そしてつい「反日」という言葉を連想させる、わが日本国政府への激しい非難が込められているのだ。
素粒子の記述は以下だった。
「ユニセフと並んでカタカナで書ける。日本と縁の深いユネスコ。といって金で言うことを聞けという旦那気取り」
さて以上の記述はもちろんユネスコ(国連教育科学文化機関)が「南京大虐殺の文書」を世界記憶遺産に登録したことへの日本政府の反応を論じていた。日本政府や自民党ではこのユネスコの措置を「史実に反する中国の一方的主張だけを受け入れた」として抗議した。その抗議のなかには日本政府が将来、ユネスコへの巨額の分担金や拠出金の支払いを停止するという案も入っていた。
このことをあてこすって、日本側を批判する朝日新聞の「素粒子」の「金で言うことを聞けという旦那気取り」という記述は明らかに以下の立場をとっている。
(1)日本がユネスコに資金の支払い停止を示唆することはけしからん。
(2)日本がユネスコの「南京大虐殺」登録に抗議することはけしからん。
(3)ユネスコの「南京大虐殺」登録は正しかった。
(4)「南京大虐殺」登録を申請した中国の主張は正しい。
(5)ユネスコの世界記憶遺産登録への反応は中国が正しく、日本が間違っている。
以上を総括すると、やはり私の思考はブーメランのように冒頭の「朝日新聞はなぜここまで中国を擁護するのだろうか――」という疑問へと着地するのである。
(写真引用:File:YiJiangGate、User:Farm)







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