無料会員募集中
.政治  投稿日:2016/6/2

オバマ広島訪問、日米関係はより強固に ケント・ギルバート氏


「細川珠生のモーニングトーク」2016年5月28日放送

細川珠生(政治ジャーナリスト)

Japan In-depth 編集部(Aya)

先週、伊勢志摩サミットが開催され、G7の首脳たちが日本の歴史ある場所に集まった。その後、オバマ大統領が現役の米大統領として初めて広島を訪問し、注目を集めた。カリフォルニア州弁護士でタレントのケント・ギルバート氏に、この訪問の歴史的な意義と、今後の日米関係の展望について訊いた。

就任以来、核兵器のない社会を訴え続け、ノーベル平和賞を受賞したオバマ大統領が広島を訪問し、哀悼の意を示したことについて、「アメリカ大統領としての行動を評価している。」と細川氏。広島を訪問したいという想いを持ち続けていたが、5年前に訪問を試みた際は、当時の日本の政権によって反対され叶わなかった。

ケント・ギルバート氏は、「彼は本当に核兵器をなくしたいという信念を貫きたい。そのためには、広島を見なくてはわからない。核兵器の恐怖というのは、現場を見なければいけない。(と、考えていた)」と話し、オバマ大統領の胸の内を解説した。

アメリカでは原爆投下を正当化する世論も大きいが、それでもオバマ氏は広島を訪問した。アメリカ国民はどのように思っているのか。ケント・ギルバート氏は、「オバマ氏が広島を見たからといって、(第二次世界大戦での)原爆投下を正当化する人たちを否定するわけではない。」と述べ、ケリー国務長官が訪れたときに国内での反発が少なく、それもあってオバマ大統領の訪問も実現したという経緯を説明した。

細川氏は、「謝ってもらいたいわけではなく、現実を知ってもらってこれからの未来につなげてほしいという日本の被爆者の方たちも立派だと思った。」と述べ、日米関係は、謝罪が付きまとう日中関係、日韓関係とは一線を画すという考えを示した。

ケント・ギルバート氏は、「オバマ氏が自ら(広島を)見に行きたいと言った。日本政府が見てほしいと提案していたら、これはアメリカで反感を買ったと思う。」と述べ、オバマ大統領本人が広島訪問の希望を示したことを評価した。

細川氏が、「日米関係はこれをきっかけにさらに強くなると思うか。」と問いかけると、ケント・ギルバート氏ははっきりと「そう思う。」と答え、「アメリカが日本に基地を持って一方的に守るという体制を、(日米間で)もっと充実したものにしなければならないということを安倍政権も理解し、日本国民もわかるようになってきた。トランプ氏もそう言っているわけで、(日米は)もっと大人同士の関係になっていくのでは。」と述べた。

オバマ氏と良好な関係を築いた日本だが、アメリカ大統領選が迫っている。有力候補とされているのは、駐留経費を全額日本が負担すべきという主張をしているトランプ氏だ。細川氏の懸念に対し、ケント・ギルバート氏は「彼は(駐留経費を)要求してこない。あれはパフォーマンス。」と述べ、トランプ氏は国民感情を代表しているだけだとの見方を示した。

では何故トランプ氏が支持されているのか。「従来の政治家は仕事ができないということが分かった。」とケント・ギルバート氏は解説した。7年間、アメリカの山積みになっている問題は、オバマケア以外何一つ解決していない。オバマケアに対してもそれを取り消す決議案が40回以上議会を通っており、共和党はオバマに反対しかしてこなかった。そこで、政治家ではなく、仕事ができる人ということでトランプ氏に期待が集まった。実際、長年かかって終わらなかったニューヨークの公共事業を彼は6か月で終わらせた実績もある。「色々なことを言っているが、まじめに取り組むという意欲は見えている。国民はそれに期待している」とケント・ギルバート氏は述べた。

民主党のヒラリー候補と共和党のトランプ候補の対立が濃厚になってきた。日本としてはどちらの候補が当選した方がよいのか。ケント・ギルバート氏はトランプ氏だと答え、ヒラリー氏が親中派で、日本パッシングの可能性を語った。「リベラルでも保守でも、日本とアメリカはずっと強い同盟関係を続けなければならない。それが極東を安定させる唯一の方法。どこの政党に所属していようがそれはわかることだが、ヒラリーが親中派だというのがちょっと気になる。」とケント・ギルバート氏。

一方のトランプ氏は中国を敵視しており、日本とは同盟関係であると考えている。「彼は全て国益を考えるだけだと思う。」とケント・ギルバート氏はコメントした。細川氏は、「(オバマ大統領は)日米関係の強化の下地を作った。誰が大統領になってもそれを引き継いでほしい。」と述べた。大統領選は11月、どのような結果になるか目が離せない。

(この記事はラジオ日本「細川珠生のモーニングトー」2016年5月28日放送の要約です)

「細川珠生のモーニングトーク」

ラジオ日本 毎週土曜日午前7時05分~7時20分

ラジオ日本HP http://www.jorf.co.jp/index.php
細川珠生公式HP http://www.cheering.net/tamao/#
細川珠生ブログ  http://tamao-hosokawa.kireiblog.excite.co.jp/

トップ画像:©Japan In-depth 編集部


この記事を書いた人
細川珠生政治ジャーナリスト

1991年聖心女子大学卒。米・ペパーダイン大学政治学部留学。1995年「娘のいいぶん~ガンコ親父にうまく育てられる法」で第15回日本文芸大賞女流文学新人賞受賞。「細川珠生のモーニングトーク」(ラジオ日本、毎土7時5分)は現在放送20年目。2004年~2011年まで品川区教育委員。文部科学省、国土交通省、警察庁等の審議会等委員を歴任。星槎大学非常勤講師(現代政治論)。著書「自治体の挑戦」他多数。日本舞踊岩井流師範。熊本藩主・細川家の末裔。カトリック信者で洗礼名はガラシャ。政治評論家・故・細川隆一郎は父、故・細川隆元は大叔父。

細川珠生

copyright2014-"ABE,Inc. 2014 All rights reserved.No reproduction or republication without written permission."