.国際  投稿日:2017/2/25

極右候補トップ、仏大統領選

JB170225ulala01
Pocket

Ulala(ライター・ブロガー)

フランス Ulala の視点」

2月6日のニューヨーク為替市場はいつもと何かが違いました。

原因の一つとしてアメリカのトランプ大統領の政策に対する不安感も市場に影響してはいるでしょうが、6日の動きはアメリカと言うよりも週末に開かれたフランス大統領選挙戦に向けての選挙集会の影響も大きかったようです。

フランスでは、4~5月の大統領選に向けて本格的な選挙戦が始まり、2月の4日、5日はその第一回目となる週末であり、それぞれの候補者により大規模な選挙集会が開かれました。戦後フランス政治を支えた中道二大政党は今回は苦戦を強いられおり、今だかつてない展開を見せているフランスの大統領選。この週末に多くの人気を集めていたのは、市民運動「前進」を率いるエマニュエル・マクロン前経済相と極右政党・国民戦線(FN)のルペン党首だったのです。

現在、オランド大統領の与党・社会党候補であるブノワ・アモン前国民教育相は、現時点では中道左派をうまくまとめきれない状態であり、5日の集会にもマニュエル・バルス前首相とベルナール・カズヌーブ現首相の姿も見られず、今後を心配する声もありましたが、同じく大統領選候補者の極左政党「左翼党」のジャンリュック・メランション氏がアモン氏と一緒に仕事をしていきたいと歩み寄りを見せるなどの動きが見られました。

一方、中道右派候補で有力視されてきたフィヨン元首相は、ペネロプ夫人が実際には働いていないにもかかわらずフィヨン氏の議員秘書の名目で給与を受け取っていたうえ退職金までもらっており、その他にも2人の子どもを雇用していたなど、公金から総額約100万ユーロ(約1億2000万円)を受け取っていた疑惑が浮上し急激に支持率を落とし、この週末は集会で姿を見ることはなく、現在釈明に追われています。

代わりにマクロン氏が短期間の間に人気が急上昇。4日のリヨンでの集会にはなんと1万6000人が集まり、会場に人が入りきれないほどの盛況ぶりでした。大勢の支持者に囲まれたマクロン氏は、左派、右派に分裂したフランスを団結させると力説したうえ、ヨーロッパ一体としての平和と繁栄を目指すべきだとしてEU離脱を呼びかける勢力をけん制し、会場は盛大な拍手で盛り上がったのです。

同じく盛況ぶりを見せたのが「フランス第一」を唱えるルペン氏の国民戦線。「フランスのEU残留か離脱かを問う国民投票の実施」「ユーロ廃止と自国通貨の再導入」などの反グローバリゼーション化を掲げ、「対移民」の政策には、スタンディングオベーションで答える支持者たち。

現時点で、ルペン氏は、第1回投票でトップになることが予想されており、Ifop-Fiducial世論調査(注1)(1月31~2月3日実施)でも、一位は、ルペン氏 25%、2位 マクロン氏 20.5%、3位 フィヨン氏 18.5%。アモン氏 16.5%。メランション氏 10%と続いています。

こういった公約を約束するルペン氏がこのままフランスの大統領になれば、欧州連合(EU)の崩壊をうながしかねず、欧州の債券市場ではフランスの国債が売られると言う動きにもつながりました。

フランス資産の下落を見込んだ取引状況を受け、フランスのサパン財務・公会計相は、7日のロイターのインタビューで「投資家はルペン氏の勝利を見込んだ取引を行えば損失を被ることになる」ことを警告しています  

ルペン氏が世論調査でいくら一位を飾っても、それはあくまでも第一回目の選挙の予想でしかないからです。フランスの大統領選は第一回目でトップになっても過半数に票が達しない限り二回目の決戦に持ち込まれ、通常では最終的に反極右の政党が一致団結し票がまとまるため、ルペン氏以外の上位候補者、つまりマクロン氏が大統領になるという予想が有力です。

サパン財務・公会計相は、「イギリスのEU離脱決定やアメリカ大統領選でのトランプ氏の勝利時の予想が外れたからと言ってルペン氏についても見方を誤っていると考えるのは、フランスのことを全く理解していないということだ」とも続けます。

とは言っても、今年の選挙は従来と比べるととても特殊な状況になっていることは確か。今まで注目をここまで浴びることがなかったルペン氏が大統領選挙の第一回投票で一位を予測されることも史上初、中道2大政党が上位に入らない、また通常なら2回目決戦に行く候補者は世論調査で25%以上の票を獲得していたのにもかかわらず、今回は25%以下の水準の候補者が決戦に行くことが予想されるなど異例なことばかり。3月に行われるオランダ議会選挙がフランスの大統領選挙に影響する可能性もあり、投資家が不安に思う材料が豊富であることは間違いないでしょう。

いずれにしろフランスの本格的な選挙戦は始まったばかりで、正確な結果はふたをあけてみなければわかりません。結果によっては世界に大きく影響を与えるかもしれない今年の大統領選挙。今後の動向にまだまだ目が離せません。

(注1) Rolling 2017 L’élection présidentielle en temps réel 3 février 2017

http://cdn1-new-parismatch.ladmedia.fr/var/ifop/03-02-2017.pdf

Pocket

この記事を書いた人
Ulalaライター・ブロガー

日本では大手メーカーでエンジニアとして勤務後、フランスに渡り、パリでWEB関係でプログラマー、システム管理者として勤務。現在は二人の子育ての傍ら、ブログの運営、ライターとして活動中。ほとんど日本人がいない町で、フランス人社会にどっぷり入って生活している体験をふまえたフランスの生活、子育て、教育に関することを中心に書いてます。

Ulala

copyright2014-"ABE,Inc. 2014 All rights reserved.No reproduction or republication without written permission."