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.国際  投稿日:2017/3/23

安倍首相は「スケベ」と評する朝日新聞


古森義久(ジャーナリスト・麗澤大学特別教授)

「古森義久の内外透視」

【まとめ】

朝日新聞、コラムで安倍首相と森友学園籠池泰典理事長を「スケベ」と表現

・「スケベ」は卑語・俗語で新聞用語とはいえない。

・昨年の「だまってトイレはつまらせろ」というコラムの筆者が執筆。

 

「スケベ」という言葉が堂々と見出しになっているのに、驚いた。朝日新聞3月19日(国際版)の政治面のコラム記事だった。その内容を読んで、さらにびっくりした。スケベという語をごくふつうの表現にように使用して、しかも安倍晋三首相をスケベと決めつけていたからだ。

スケベとは辞書によると、「助平、異性に対して異常に好奇心を示すこと、及びそうした人、つまり異性を異常なほど好きな好色、好色漢」を指す。しかも言葉自体が下品であり、卑俗である。公式の場で使う人はまずいない。このへんは主観の違いがあるだろうが、なにか汚らしい、いやらしい言葉でもある。他者を「彼はスケベだ」と呼べば、ののしりやからかいに近いだろう。

だからだろう、私は長い新聞記者生活で「スケベ(助平)」が大手新聞の記事中にふつうの記述として出てきたことや、まして見出しになっていたのをみた記憶がない。ふつうの社会の礼儀にのっとれば、卑語、俗語の範疇だから、新聞で避けられても、ふしぎはない。

だが朝日新聞のこのコラム記事では以下のような記述があった。

 ≪人間は基本、スケベだ。私の人生、内なるスケベ心との闘いだったと言ってもよい。小さな拍手をもらったら、もっと大きな拍手が欲しくなる。≫

この文脈で読めば、スケベという語は「いい思いをしたいという気持ち」というような間接の意味で使われているとも受け取れる。ところがそんな説明はないから、本来の「好色」という意味で使われているととられてもしかたないだろう。

そしてこのコラム記事は安倍晋三首相と森友学園の籠池泰典氏の批判へと移っていく。

安倍首相は最高権力者で、褒められることを喜び、籠池氏も権力者を喜ばすことに夢中になると述べていく。安倍、籠池両氏の間には緊密なつながりがあったという前提での記述なのだ。安倍氏はそれを否定するが。

そのうえでこのコラム記事は≪スケベはスケベを呼ぶ≫と断じ、安倍、籠池両氏をスケベだと断定していた。このへんは論理不明、意味不明の記述も多いのだが、安倍首相を「スケベ」とののしっていることは明確である。

朝日新聞記者たちがあらゆる表現で安倍首相をけなし、叩くこと自体はふしぎではない。反安倍の政治的スタンスは朝日新聞の社論のような基調だからだ。

だがその手法に一般ではまず使わない汚い言葉の「スケベ」を、べちゃりとしたレッテルとしてあえて首相に貼りつけるところは、異様、いや病的ななにかまで感じさせられる。スケベという言葉はふつうの意味での常識的な新聞用語の外にあるからだ。

このコラム記事の筆者は「政治部次長の高橋純子」とされていた。この名前、どこかでかつてみたと思い、調べてみた。

やはりそうだった。2016年2月28日朝日新聞に載った「だまってトイレはつまらせろ」という見出しのコラム記事の筆者だった。安倍政権に抵抗するためには公共のトイレで尻を拭く際に新聞紙をわざと使って、そのトイレをつまらせろ、という趣旨の記事だった。この記事は今回よりも、もっとびっくり仰天だった。朝日新聞、ご乱心?といぶかったものだった。

それからちょうど一年ほど後のまた春間近、へんに、なるほど、なるほど、とも感じるのだった。


この記事を書いた人
古森義久ジャーナリスト/麗澤大学特別教授

産経新聞ワシントン駐在客員特派員、麗澤大学特別教授。1963年慶應大学卒、ワシントン大学留学、毎日新聞社会部、政治部、ベトナム、ワシントン両特派員、米国カーネギー国際平和財団上級研究員、産経新聞中国総局長、ワシントン支局長などを歴任。ベトナム報道でボーン国際記者賞、ライシャワー核持込発言報道で日本新聞協会賞、日米関係など報道で日本記者クラブ賞、著書「ベトナム報道1300日」で講談社ノンフィクション賞をそれぞれ受賞。著書は「ODA幻想」「韓国の奈落」「米中激突と日本の針路」「新型コロナウイルスが世界を滅ぼす」など多数。

古森義久

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