創業20年目で残っている企業は52%〜後継社長が経営革新を成功させるための「7つの法則」
野田万起子(インクグロウ株式会社 代表取締役社長)
先日、盛岡で開催された某地方銀行が主催する二世経営者を対象とした「社長の道場」という会合に参加してきました。今年で9年目を迎える会です。
この会は「後継者が地元に戻って来て次期経営者となる仲間がいない。後継者育成と仲間づくりのために支援をしてほしい」という企業の要望を受け、そこの頭取が県内ではいち早く立ち上げた組織です。今ではその評判を聞き、メンバーがも年々増えています。
今回は県内外から100名を超える二世経営者が集まりました。私が講師を担当したのが「事業計画の策定/テーマ:不変の経営理念にもとづく『環境適応したビジネスモデル』にいかに進化させるか」の分科会グループで、参加した二世経営者と実に有意義なディスカッションが行われました。
社長の仕事は「経営戦略の策定」と「人材育成」である、幾度となく話をしていることですが、今回は事業計画の策定がテーマであったため、前者に絞ったアプローチとなりました。帝国データバンクの調べによりますと、創業後、5年目に生存している企業は創業時の82%、10年目が70%、15年目が61%、そして20年目に生存している企業は創業時の52%。
つまり、企業は創業して20年経つと、その数は半分になります。それでは企業はどのようにして存続・発展できるのか。私は世界中どこを探しても創業時の事業だけで存続している企業はないと思います。企業は「環境適応業」である、ダーウィンが進化論で謳っていることは企業も同じこと、その時代背景・経済環境に合わせて自社のビジネスモデルを進化させることができる企業こそが勝ち残っていくのです。
大切なことは「経営理念」は不変であるということ、その上で経営理念を実現する為の「戦略」は、経営環境の変化に伴い「ビジネスモデル」を進化させていくことです。では、その戦略を考える上で後継者が行うべき経営革新の方向性とは何か。業種は違えど同じ悩みをもつ二世経営者同士、有意義な意見交換ができたように感じます。
どのような経営革新に取り組むかは、「目的別」に考えると2つあり、一つは、事業戦略における経営革新であり、これは「売上を増やす」ことを目的とし、二つ目は、経営システムにおける経営革新で「経営体質の強化」が目的となります。いずれにしても、後継者が経営革新を成功させるには7つの法則があるのではないかと思います。
- 法則1.後継者が行う経営革新の原動力は「危機感」と「意地」
- 法則2.世襲後継者だからできる社長就任前の経営革新
- 法則3.何をするかは「市場と商品」で、できるかは「経営資源」から考える
- 法則4.経営革新にはタイミングと順番がある
- 法則5.小さな戦略を描き一つずつ確実にやり遂げる
- 法則6.経営革新は機動的に修正すれば成功率が高まる
- 法則7.経営革新を行い得る後継者には「知識・能力・熱意・人物」が必要
日本に企業が生まれ、20年30年と存続させていくことこそ、日本経済の活性化に繋がる、「不変の経営理念」にもとづき、時代の変化と共にビジネスモデルを進化させていくことこそ後継経営者の役割なのでしょう。
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【プロフィール】
野田万起子(のだ・まきこ)インクグロウ株式会社 代表取締役社長、公益社団法人経済同友会、正会員 一般社団法人日本展示会協会 理事
昭和45年8月、静岡県生まれ。東京国際大学 経済学部卒。米国オレゴン州TIUアメリカ校卒。 平成5年、株式会社ベンチャー・リンク入社、平成16年 同社(東証一部上場)執行役員に就任。平成22年 同社取締役に就任。平成23年 インクグロウ株式会社 代表取締役社長に就任(現職) 金融業界分野で20年以上、全国の地域金融機関への支援業務に携わる。地域金融機関と一緒に、中小企業の活性化に向けたビジネスマッチングの取り組みを中心に、取引先の経営相談から、金融機関の職員研修など幅広く行う。