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.政治  投稿日:2017/8/8

民進党分党へ 保守中道新党立上げ 岸本周平衆議院議員


「細川珠生のモーニングトーク」2017年7月29日放送

細川珠生(政治ジャーナリスト)

Japan In-depth 編集部(駒ヶ嶺明日美)

【まとめ】

民進党、次の代表が党をまとめきれなければ分党。

・反自民、反共産で自民党の受け皿となる野党勢力結集へ意欲示す。

・連合、公明党と連携し保守中道穏健路線を取り、社会保障政策で自民との違いを出す。

 

都議選で5議席しか獲得できず惨敗を喫した民進党。この責任を取って25日には野田佳彦民進党幹事長が辞任する意向を示し、これを受けて蓮舫代表は「新世代の民進党をつくりたい。」と執行部刷新に着手していたと見られていたが、27日突然辞任を表明した。

この辞任をどうみるのか、そして今後の民進党の目指すべき道は何であるのか、民進党衆議院議員の岸本周平氏を迎え、政治ジャーナリストの細川珠生氏が話を聞いた。

まず細川氏が蓮舫代表の辞任をどう考えるかと質問すると、岸本氏は「残念だ。」と述べた。岸本氏によると、民進党には3期生以下の議員が10数名おり、このグループは、都議選の結果を受け責任を押し付け合う内輪もめに意味はなく、むしろその事自体が支持率を低下させてしまうと考え、蓮舫氏の代表続投を支持していたとのことだ。

岸本氏は、民進党の代表の任期が2年であるにもかかわらず昨年9月の代表選からまだ1年も経っていないことから、「最後まで(代表を)支えるという姿勢がこれまで無かったから(民進党が)内輪もめ集団と思われている。(蓮舫氏を)支えたかった。」と述べた。

都議選大敗や支持率低迷の責任は「執行部の刷新」という形で、実際に野田氏が幹事長辞任を表明したが、後任を探して蓮舫氏を中心にまとまろうとしている中での代表辞任だった。しかし、「もう終わったこと。蓮舫氏も幹事長とともに都議選や支持率低迷の責任をとった、と考えたい。」との考えを示した。

NHK世論調査では政党支持率で、前の月より自民党は5.7ポイント、民進党は1.9ポイント低下し、自民党30.7パーセント、民進党5.8パーセントとなっている(NHKホームページより)。与党自民党の支持率が低下しても野党第一党の民進党の支持率は上昇せず、むしろ低下している現状だ。

細川氏が「民進党が支持を得られないのは、(蓮舫氏の)2重国籍問題よりも共産党との連携」が原因ではないかと指摘すると、岸本氏は「政権を目指すのであれば、共産党との連携は必要ないはず。少なくとも天皇制、自衛隊を認めない、全く基本理念の違う政党と連携することは国民の理解を得られず、政権を取る気がないと思われてしまう。負けてもいいから、反自民、非共産の理念を持って戦うべき。」と細川氏の考えに賛同した。

細川氏が民進党の今後について、蓮舫氏辞任を一つの契機として、共産党との連携に賛成派と反対派で2分したときに、反対派が今年4月に民進党を離党し現在無所属の長島昭久議員を中心としたグループと合流する可能性はあるかどうか尋ねると、岸本氏は「次の代表が(党を)まとめきれずに、分党することはあり得る。歴史的使命を終えた政党は、消えて無くなるのが建設的。」と述べ、民進党は分党して所属議員はそれぞれの道を行くのが一番良いとの考えを示した。

岸本氏自身が保守を掲げていることに関して細川氏が、「どのように安倍内閣ではない選択肢を示すのか。」との質問に対し岸本氏は、「難しい」としながらも、旧新進党と都民ファーストの会の類似性について言及し、国政で自民党に代わる受け皿となる政党を作る考えを示した。

「都議選でわかったことは、自民党はダメだが民進党はもっとダメ(だと国民が考えている)ということ。国民は(自民党の)受け皿を探していて、そこに小池氏の都民ファーストの会が出て、55議席の大躍進を果たした。これと同じことを国政でも起こせるか。ヒントは都民ファーストの会は“新進党モデル”だということだ。新進党というのは、連合と創価学会と小沢一郎氏の政党だった。野党第一党になって、次は政権も取れるかもしれないというところまで行った。同じように連合と公明党と(連携して)、保守中道路線の穏健な受け皿ができるかどうかだ。」(岸本氏)

岸本氏は、国政レベルで与党である公明党が自民党から分離する難しさはあるとしながらも、「新しい政治の流れを作ることができるか頑張ってみたい。」と新たな野党勢力の結集に意欲を示した。

都民ファーストの会躍進の理由について細川氏は、都議会自民党の“なあなあ政治”文化批判と、安倍政権が加計学園問題を“なあなあで決めたのでは”という批判が一致して、都民ファーストの会が安倍政権への不満の受け皿になったからではないかとの見方を示した。

さらに、細川氏が自民党には無いもので何を目指すかと尋ねると、岸本氏は安倍政権の政治を「独り占めとえこひいき」と表現し、自らは「世界の片隅に追いやられている弱い立場の人に身を寄せる社会保障政策を取ることで違いを出せる。」と述べた。また、国民が「フレッシュで既成の政治家でない人を求めている」ことも重視していると述べた。

細川氏は国民の中に、国政の脇に追いやられた自分たちの生活への“漠然とした不安”が解消されないことへの不満が溜まっていると指摘し、岸本氏の目指す“保守”と旧民主党の“「生活者」の発想”との類似性を指摘した。そして新たな野党勢力結集に尽力する存在として岸本氏に期待感を示した。

 

(この記事は、ラジオ日本「細川珠生のモーニングトーク」2017年7月29日放送の内容を要約したものです)

「細川珠生のモーニングトーク」

ラジオ日本 毎週土曜日午前7時05分~7時20分

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トップ写真:©Japan In-depth 編集部


この記事を書いた人
細川珠生政治ジャーナリスト

1991年聖心女子大学卒。米・ペパーダイン大学政治学部留学。1995年「娘のいいぶん~ガンコ親父にうまく育てられる法」で第15回日本文芸大賞女流文学新人賞受賞。「細川珠生のモーニングトーク」(ラジオ日本、毎土7時5分)は現在放送20年目。2004年~2011年まで品川区教育委員。文部科学省、国土交通省、警察庁等の審議会等委員を歴任。星槎大学非常勤講師(現代政治論)。著書「自治体の挑戦」他多数。日本舞踊岩井流師範。熊本藩主・細川家の末裔。カトリック信者で洗礼名はガラシャ。政治評論家・故・細川隆一郎は父、故・細川隆元は大叔父。

細川珠生

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