2017総選挙ファクトチェックプロジェクト
国際  投稿日:2017/10/3

歴史的役割終えた「左派リベラル」

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宮家邦彦(立命館大学 客員教授・外交政策研究所代表)

宮家邦彦の外交・安保カレンダー2017#402017年10月2日-8日)

 

【まとめ】

・日本では「左派リベラル」勢力が歴史的役割を終えた。「新党ブーム」3度目の正直となるか。

米中間で朝鮮半島の将来に関する妥協が成立する可能性は低い。

・スペインカタルーニャの独立派指導者ら独立宣言する可能性もある

 

【注:この記事には複数の写真が含まれています。サイトによっては全て表示されず、写真の説明と出典のみ記載されていることがあります。全て見るには、http://japan-indepth.jp/?p=36467でお読みください。】

 

 

 今週筆者が最も気になったのは米国務長官の訪中だった。予想通り、北朝鮮問題で大きな進展はなかったようだ。米大統領は国務長官に「時間の無駄」だと伝え、長官は長官で大統領のツイート発言などが米国政府の基本的政策から逸脱しないよう、必死でバランスを取ろうとしている。驚くべきことだが・・。

考えてみれば当然だろう。中国が今、核ミサイル問題で北朝鮮に対し態度を硬化させる可能性は低い。5年に一度の党大会を18日に控え、米国からの圧力に簡単に屈する訳にはいかないからだ。少なくとも10月は、そして恐らくは年内は、米中間で朝鮮半島の将来に関する妥協が成立する可能性は低いだろう。

 一方、今週日本での最大のハイライトは衆議院解散後の民進党に起きたゴタゴタではなかろうか。この政治現象、どうやら新しい要素と古い要素が混じり合っているようだ。それらを区別せずに議論するから、混乱が一層拡大しているのだろう。筆者の現時点での見立ては次の通りだ。

 まずは、古い要素から始める。「新党ブーム」といえば、1990年代と2000年代にそれぞれ起きたが、その後一体何が改善したか。90年代には新政権が短期間続いた後、自民党・社会党の連立が始まった。2009年にも政権交代が実現したが、新政権では3人の総理大臣が生まれたものの、3年しか続かなかった。

新しい要素は、何と言っても、戦後の「左派リベラル」勢力がその歴史的役割を終え、本格的な淘汰の時代に入ったらしいことだ。左右の様々な勢力が合体して出来た民主党・民進党は、結果的に、本格的な統治能力を示すことができなかった。されば、同党の事実上の分裂は時間の問題だったのだろう。

「新党ブーム」自体、悪いとは言わない。問題は「二度あることは三度ある」を避け、如何にして「三度目の正直」を実現するかだ。最近の一連の動きはポピュリズムだが、それ自体悪いとも思わない。問題は現在日本で起きているポピュリズムがここ数年欧米で起きているポピュリズムとは異なっていることだ。

〇 欧州・ロシア

 

 10月1日のスペイン・カタルーニャ自治州で行われた住民投票について混乱が続いている。スペイン中央政府は違憲と判断された同州の住民投票阻止に向け現地警察がとった行動は「模範的」と賞賛した。カタルーニャの独立派指導者らが数日内にも独立を宣言する可能性があるというから、まだ問題は解決していない。

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▲写真)スペイン・カタルーニャ地方の独立運動 2013年  Photo by Josep Renalias Lohen11

 

先週はイラク・クルド自治区での住民投票が逆に同地域の安定を損なう可能性に言及したが、この種の住民投票や国民投票は必ずしも適切なものとは限らない。英国のEU離脱しかり、イタリアの憲法改正しかり。この種のことを国民投票で決めようとするとロクなことは起きないということなのだろうか。

〇 東アジア・大洋州

 今週中国と朝鮮半島は休日。2日からミャンマーがロヒンギャ問題に関する国連の調査団を受け入れる。一度は拒否したミャンマー政府だが、今回は拒否できなかったということか。6日からは10日間の予定で、カンボジア、ブルネイ、ラオス、ミャンマー、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナムと日本の沿岸警備隊が共同訓練を行う。

〇 南北アメリカ

 ラスベガスで1日、再び銃の乱射があり、多数の犠牲者が出た。犯行の詳細は不明であり、現時点で即断はできない。だが、もしこれがイスラム国などの犯行でなければ、米国ではいわゆるイスラム主義者・聖戦主義者のテロよりもはるかに多くの犠牲者が銃規制の不備で生まれていることになる。どう考えても異常だ。

〇 中東・アフリカ

4日にトルコ大統領がイランを訪問する。最近のエルドアンの欧米離れは顕著であり、今回もトルコ独自の中東外交の一環なのだろう。中東ではアラブも大事だが、非アラブ、すなわちペルシャ、トルコ、ユダヤにも注目すべしというのが筆者の持論だが、今回のような非アラブ2カ国の連携は潜在的脅威だ。

〇 インド亜大陸

 特記事項なし。今週はこのくらいにしておこう。いつものとおり、この続きはキヤノングローバル戦略研究所のウェブサイトに掲載する。

 

TOP画像:代表選前に会見する前原誠司候補と枝野幸男候補 2017年8月29日 外国特派員協会 

出典)民進党HP

 

 

 

 

 

 

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