2017総選挙ファクトチェックプロジェクト
国際  投稿日:2017/10/20

巧妙化する朝鮮総連のメディア工作(下)

三宅議員
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                                                   朴斗鎮(コリア国際研究所所長)

 

【まとめ】

・朝鮮総連からの根回しにより出演NGになった4名の有識者がいるとのスクープがかつて週刊誌に掲載。

・その朝鮮総連のテレビ報道介入について、故・三宅 博議員が国会で追及を行った。

・映像料や北朝鮮取材料などの徴収問題は、朝鮮総連サッカー協会とも大きく関わっている。

【注:この記事には複数の写真が含まれています。サイトによっては全て表示されず、写真の説明と出典のみ記載されていることがあります。その場合はhttp://japan-indepth.jp/?p=36814 で記事をお読みください。】

 

■朝鮮総連のテレビ報道介入に対する三宅議員による国会での追及

この事態を深刻にとらえた三宅博議員(当時、日本維新の会)は、朝鮮総連の報道介入問題を国会に持ち込んだ。国会での三宅博議員の「北朝鮮による拉致問題等に関する特別委員会」での質問(2014/5/9 PM3:17から)は以下の通りだ。

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委員長:三宅君。

三宅博議員:「日本維新の会」の三宅博でございます。拉致問題について質問させていただきたいと思います。

まずはじめにですね、日本維新の会に与えられた時間は合計で35分間、事前に私が申し上げているのは、私、三宅博が20分で、田村さんが15分ということなんですが、若干私のほうが延びるかもわからないので、ご諒解をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

朝鮮総連の報道機関に対する圧力、この問題についてお聞きしたいのですけども。

今年の2月13日付週刊新潮で、ここで「朝鮮総連が出演NG根回しで、画面から消えた4人の有識者」という資料を皆さんにもお渡ししていますが、この朝鮮総連がですね、まあ言ってみれば、報道機関に対して圧力をかけているということなんですね。これはね、あの単に週刊誌の記事を読んで、私がそのまま受け売りしているのではないんですよ。当事者の人に私はお会いして聞いたんです、確かめたんです。

あのー、これはね、この記事のなかでも書いてますけど、その4人というのは、関西大学の李英和(リ・ヨンファ)教授、デイリーNKの高英起(コ・ヨンギ)東京支局長、それからコリア国際研究所の朴斗鎮(パク・トゥジン)所長、そしてアジアプレスの石丸次郎記者、この4名をテレビに出すな、と言ってどうも朝鮮総連のほうの徐局長が、各メディアに圧力をかけているという記事なんですね。

どうもテレビ局は、報道機関は、この圧力に屈伏してこういった方々、指名された4人の方々をテレビに出していないようなんですね。これは、報道機関の使命と責任からしてゆゆしき問題じゃないかなあと私自身は考えております。

でね、えー、パク・トゥジンさんですね、コリア国際研究所のパク・トゥジンさんですね、この人にお会いして資料もいただいたんですけでも、2013年に主にフジテレビ系列で彼はいろいろと取材を受けたり出演したりということで1年間にテレビ出演・録画・監修等83回も取材を受けているのですね。ところが13年の後半からバサッと途絶えてきたと、2014年からは全面出演停止措置が取られたというふうなことなんですね。常連だった「新報道2001」も出れなくなったということなんですね。今年の4カ月で生出演は2件、ほとんどが電話取材、それも用いられることがないということなんですね。

パク所長がフジテレビに問い合わせたんですね。問い合わせたところ、「朝鮮総連からの圧力で出演させることができない」という風におっしゃったと、パクさんから教えていただきました。このことをお聞きになって、いかがお思いになりますか? これ本来はですね放送法のこともありますんで総務省ということなんですけども、はい。

委員長:藤川(ふじかわ)総務大臣政務官

藤川政人総務大臣政務官:えー、ご指摘の件についてお答させていただきます。初めてお聞きしたお話でもございますし、事実関係を承知していないということから、コメントは申し訳ないですけれども差し控えさせていただきたいと存じますが、ただ、先生おっしゃる放送事業者の取材・番組制作についての事項につきましては、番組事業者の個別の取材、番組制作の関わる事項について政府として承知する立場にはございません。

委員長:三宅君

三宅博議員:お応えできなかったら、私が事実をお話ししますので、答えていただけなかったら結構です。時間も限られていますので答弁は簡潔で結構です。知らないことは知らないと、率直におっしゃってくだされば結構です。

それで、放送法の第4条の観点からして、これは非常に問題があると、もちろん第4条の内容についてはご存じでしょうけど、第4条では政治的に公平であること。ところがですね、朝鮮総連からの圧力ですよ。各報道機関が自粛か屈服か知りませんよ。自らこうゆうふうに、むこうの指名した人たちについては出演をさせていないという事実があるんですよ。これ、とんでもない話でしょ。

これね、昔、日中国交回復の後ですね、各新聞社が支局を設置しました。そのあと産経新聞が中国にとって都合の悪い報道をしたんですが、そしたら中国共産党は、産経支局を追放したんです。それでその後、やむなく産経新聞社は北京支局がないのだけれども、しかしその後の中国報道は、支局のない産経のほうが公平だったんですな。非常に客観的に、また事実もなんらとらわれることもなく報道をしたということなんです。じゃあ言ってみればですね、中国共産党の圧力の時もそうだった。今回もそうなんですよ。

さっき鷲尾委員がおっしゃっていたいましたですね。あのー、墓参、北朝鮮に対する日本人の墓参ですね。この引揚者に対するですね、テレビ局はその際に同行取材を認められてむこうの独自映像を撮ることができるんですね。ところが、その窓口となっているのが朝鮮総連なんですよ。だから朝鮮総連が横向いたら、もう向うについていけないと。それを恐れて、まあー、朝鮮総連の要求に屈伏しているということなんですが、これさっき言いましたように報道機関の使命と責任の重さからするととんでもない話でして、こういうことは徹底的に解明して、主管官庁である監督官庁である総務省が厳しくそのへんのところを指導していただきたいと思います(以下省略)。

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朝鮮総連のテレビ報道に対する干渉、この問題は国会で取り上げられただけでなく、さまざまなブログなどでも取り上げられた。この問題は北朝鮮関係のジャーナリストであればほとんどの人たちが知るところとなっている。

テレビ各局でも一部の正義感の強い人たちが内部で異を唱えているというが、テレビ各社の上層部が朝鮮総連の介入を黙認していることから、なかなか是正が進まない状態だ。

日本と北朝鮮の関係が緊張するなかで、こうした朝鮮総連の情報コントロールを許していては、日本国家の安全保障に災いが降りかかることになるだろう。

 ■巧妙化したテレビ局からの資金入手手口

朝鮮総連は、朝鮮中央テレビの映像使用と北朝鮮取材への許可権限を使って日本のテレビ各局への報道干渉を行っているだけでなく、映像料や北朝鮮取材料などを徴収し財源にするという一石二鳥の目的を果たしている。

テレビ各社からの取材費の徴収は、一時「裏金」の提供という形で行われていた。この裏取引で有名なのは、ストックホルム合意後の北朝鮮取材過程で、某在京キー局が朝鮮総連の国際統一局に渡した「賄賂」である。

この事件が明るみに出たのは、その局の女性記者に北朝鮮の担当者がチョッカイをかけたことが発端となっている。このことで朝鮮総連国際統一局副局長が北朝鮮当局から査問を受けたとの内部情報ももたらされた。金銭の授受が北朝鮮当局に報告されていなかったらしい。この事件については、当時週刊文春でも報道された。

この事件で教訓を得た朝鮮総連は、金銭の流れを合法化するために、朝鮮総連国際統一局が在日本朝鮮人体育連合会の蹴球(サッカー)協会を通じて資金を吸い上げる方式に切り替えた。

2010FIFAブラジル北朝鮮

▲写真) 2010 FIFAワールドカップにてブラジル代表と対戦するサッカー北朝鮮代表。出展:ウィキペディア

ちなみに蹴球協会は体育協会のなかで別格の位置づけにあり、東京朝鮮高級学校サッカー部OB会の名誉会長は許宗萬議長となっている。

北朝鮮のワールドカップ再挑戦の過程で、在日サッカー選手が活躍(鄭大世など)し、その後も貢献したこともあり北朝鮮本国での位置付けも高い。

こうした事情を利用して、朝鮮総連はFIFAに代理人登録を行っている株式会社E(以下、E)を通じて映像料や北朝鮮取材料を受け取るようになったとの情報もある。Eは外形的には朝鮮総連から独立しているが、この会社を実質的に支配しているのは朝鮮総連国際統一局である。この会社はマツタケ密輸問題でガサ入れを受けたとも言われている。

ちなみに韓国で北朝鮮映像料の徴収を始めたのは、文在寅政権の大統領秘書室長となった任鍾晳(イム・ジョンソク)氏(国家保安法違反で服役した経歴を持つ)だ。任鍾晳氏は「南北経済文化協力財団」理事長として、北朝鮮がベルヌ条約に署名した2003年4月以降徴収にあたった。現在は文政権秘書室長就任にあたり財団理事長を辞任している。

韓国統一部の集計によると、財団が過去13年間に韓国のテレビ局や出版社から徴収した使用料は187万ドルに上るという。しかし北朝鮮は韓国の映像使用料に対しては一銭も支払っていない。この問題については韓国でいま問題視され始めている。

(この記事は、巧妙化する朝鮮総連のメディア工作()の続きです。全2回)

トップ画像:当時、日本維新の会所属の故・三宅博議員

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この記事を書いた人
朴斗鎮コリア国際研究所 所長

1941年大阪市生まれ。1966年朝鮮大学校政治経済学部卒業。朝鮮問題研究所所員を経て1968年より1975年まで朝鮮大学校政治経済学部教員。その後(株)ソフトバンクを経て、経営コンサルタントとなり、2006年から現職。デイリーNK顧問。朝鮮半島問題、在日朝鮮人問題を研究。テレビ、新聞、雑誌で言論活動。著書に『揺れる北朝鮮 金正恩のゆくえ』(花伝社)など。

朴斗鎮

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