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.社会  投稿日:2014/3/25

[為末大]<夢を見る事と、不幸せ感>インターネットが加速させる「頑張れば夢は叶う」という感覚


為末大(スポーツコメンテーター・(株)R.project取締役)

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インターネットは世界をつなげ、SNSは人々のつながりを更に強めた。おかげで世界中で何が起きているかを知れるようになり、誰もが自分の意見を発信できるようになった。そして「向こう側」という意識も随分薄れたのだと思う。

みんな機会は平等で、「頑張れば夢は叶う」という感覚はインターネットでより加速したように思う。自分より若い人がミリオネアになり、成功者もさほど自分と変わらないように見える。「だったらいつか自分だって成功できるんじゃないか」と夢を抱く。

しかし、多くの場合、現実は変わらない。SNSを覗けば今日も素晴らしい誰かの人生が見える。ネットで見るのは成功者と、「自分もなれるかも」という希望。けれどもスマートフォンを閉じれば、そこにあるのはひたすらな現実の自分の人生。

比較する対象の中で、自分がどの位置にいるのかという事が幸福感に影響するという話。

金融街で年収3000万だと幸福感が低い。インターネットで比較対象を世界中に広げてしまった。わきまえられない人にとっては辛い。

人生のほとんどの時間は「思い出せもしない退屈」でできている。そして退屈な毎日の方がどちらかというと現実に近い。

 

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