[石川和男] <待機児童問題>社会保障は高齢者対策よりも「子育て」への予算配分を手厚くすべき
石川和男(NPO法人社会保障経済研究所理事長)
先月28日の厚生労働省発表によると、認可保育所への入所を希望しても入れなかった待機児童が、昨年10月1日時点で全国に44,118人であったとのこと。
ここで言う「待機児童」とは、上記の通り、認可保育所に入所希望を出しておきながら入所できなかった児童のこと。
別の寄稿などで何回か書いてきたが、認可保育所への入所申込みをしているかどうかを問わずに私が以前試算した『潜在的待機児童』は、最大で198万世帯・364万人となる。これは私の試算に過ぎないので、厚労省は『潜在的待機児童』の数を把握し、公表すべきだ。
待機児童解消が少子化対策や労働力確保策の点で喫緊の課題であることは論を待たない。政策ターゲットとなるべき真の待機児童数が“認可保育所の入所申込み者”限られるのは、もはや不合理である。
資料1にあるように、毎年4月と10月の待機児童数ですら大きな差異がある。4月集計と10月集計に違いがあるのは、年度途中での認可保育所申込みが4月の新年度入所で大幅に減るといった理由による。
(資料1:3月28日付け厚生労働省資料)
資料2からわかることだが、上記の日経ネット記事にもあるように、認可保育所の待機児童数は3歳未満が約9割を占めている。これは、年齢が低い児童ほど保育サービス供給量が少ないということだ。自分の周囲を見ても言えることだが、児童の年齢で大差がある保育サービス政策では少子化対策にも労働力確保策にもならない。
(資料2:3月28日付け厚生労働省資料)
社会保障分野において高齢者対策分野から子ども子育て分野への予算配分を手厚くしていくとともに、実際の保育ニーズを重々踏まえた保育サービス供給体制を構築していくべきだ。消費増税とは、高齢世代のためではなく、現役若年世代のためのものであると改めて認識していく必要がある。
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