[石川和男]東京都知事選の争点は「原発」ではなく「待機児童問題」に!〜東京都は日本で最も待機児童数が多い都市である
石川和男(NPO法人社会保障経済研究所理事長)
待機児童問題が全国的な政治的課題になりにくいのは、この連載シリーズ第6回で掲載した「全国待機児童マップ」を見れば一目瞭然だ。明らかに都市問題の一つとしか捉えられていない。これでは、待機児童対策を進めようとの政治的機運が全国大で起こるわけがない。
大都市がない都道府県の地方議員や自治体職員からは、待機児童対策は自分たちには関係ない、との声がよく聴かれる。これが日本の国政の一つの姿であり、国政で捉えるとなると、根源的には国政選挙制度の在り方に行き着く問題となってしまう。
だからこそ、来月9日の東京都知事選の争点にしていくべきだ。日本で最も待機児童数が多いのは、東京都なのである。東京都では、国の認可保育所だけでは対応し切れない保育ニーズに対応するため、独自の「認証保育所」制度を実施している。
厚生労働省が作成した下の資料〔=平成25年1月の保育士の有効求人倍率〕はほんの一例だが、全国的に見ても、東京都の保育政策ニーズが極めて高いことはすぐわかる。都知事選に関しては、原発を争点にしようという政治勢力やマスコミ論調が少なくない。このままでは、都知事選は“脱原発するのかどうか”のワンイシューになってしまう可能性もある。
そもそも原発政策は国政事項であり、都知事には国の原発政策に係わる権限は全くない。都知事選では、待機児童問題など都政が手掛けるべき社会問題などを争点にしてもらいたい。それが、本来のあるべき都知事選の姿だ。
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