.社会 投稿日：2014/7/17 
［為末大］Twitterで多くの反応がくるのは「学歴・収入・結婚・能力」についてツィートした時
為末大（スポーツコメンテーター・（株）R.project取締役）
経験上、Twitterで反応がくるのは、学歴、収入、結婚、能力、について。学歴で人生は決まらない。能力あるからといって成功するとは限らない。確かにそれはそうなのだけれど、その反応が他の事よりも明らかに多い。
社会には勝ちも負けもない。みんな違ってみんな素晴らしい。聞こえはいいけれど、それを本当に信じている人は少ない。なにしろ社会の側には口に出さなくてもはっきりとした基準があり、それによって自分の扱いが決められる。
自分の成功基準を持つ。自分らしく生きる。簡単に言うけれど、これは社会に認められなくても構わないという事で相当に難しい。人が持っていればそれが羨ましくなるのが人情で、それとどう距離を取るか。徹底的な自己との対峙が必要になる。
比較がよくないと言う。でも無人島にいて誰とも会わずに生きていれば自分の背が高いのか低いのかもわからない。自分らしさとは比較の中で生まれる。他者と比較する事でしか特徴は語れない。自我を確立する事を迫る世の中では、比較から逃げる事はできない。
優劣感は価値観によって決まっている。速い方がいいのか遅い方がいいのか決まっていないレースでは先頭と最後尾のどちらが優れているのかわからない。無意識のうちに刷り込まれた価値観により自分を裁いている。価値観という眼鏡をかけて世の中を見ている事に気づいていない。
社会はたぶん変わらない。地位名誉財産容姿で人の優劣が決まる。そして同じように、あなたの苛立ちも敗北感も有能感も全ては価値観という眼鏡が決めている。私達は現実を生きているのではなく、眼鏡越しの世界を生きている。
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