<20年ぶりのニューアルバムで再始動>90年代をもう一度作り始めたポイズン・ガール・フレンドに注目
Japan In-Depth編集部
小学校体育でダンスが必修化されながら、いわゆる「クラブ規制」によるクラブ産業の締め付けが強化されるという日本の矛盾したクラブシーン。残念ながら90年代をピークに、年々その勢いを減速させ「元気を失っている若者産業」の代表的なひとつにさえ思える。
しかしながら、最近の80年代・90年代カルチャーへの関心の高まりといった流れもあり、俄に「失われた90年代クラブシーン」リバイバルの兆しも見え始めている。そういったシーンを牽引しているのは、今や30代後半から40代以上となった「90年代の若者達」だ。
そんな中、90年代初頭からテクノやクラブミュージックシーンに多大な影響を与えてきたnOrikO(ノリコ)によるテクノユニット「POiSON GiRL FRiEND(ポイズン・ガール・フレンド)」のニューアルバム『rondoElectro』が7月14日、20年ぶりにリリースされた。
テクノやクラブという枠を超えて、既にいくつかのメディアでは今回の20年ぶりのニューアルバムが話題になっており、クラブ系ガールズ・ポップの走りとしての再評価の機運もある。
90年代という日本における空前のクラブブーム、テクノブームをリアルタイムに牽引してきた層が、社会の中核層になった今日。ポイズン・ガール・フレンドの復活が意味するもの何か。
ニューアルバム『rondoElectro』のリリースにあたり、ポイズン・ガール・フレンドのnOrik0に聞いた。
ーーこの時期に20年ぶりのニューアルバムをリリースした理由はなんですか?
「女性のミュージシャンが活動を再開すると必ず、離婚とか子育てが終わってとか、そういう理由が多いようなのですが、私の場合そのどちらでもありません。」
「今の若い世代には、信じられないかもしれませんが、20年前は、インターネットさえもなく、レコードショップに置いてあるクラブ・イベントのフライヤーが貴重な情報源。今よりも遥かに情報量も少なく、効率的ではなかったけど、今とは比較にならないほどのエネルギーがありました。あの頃のクラブで、90年代初頭のクラブでかかっていたような曲で踊りたい、それが全ての原動力です。」(nOrikO)
ーー20年で大きく様変わりしてしまった日本のクラブシーンの中で今回のアルバムをどのように届けてゆきたいですか?
「20年ぶりのリリースといっても『ポイズン・ガール・フレンドなんて知らないよ』いう方がほとんどだと思います。そんな『知らないよ』という方々にこそ、何の予備知識もなく、感覚で聴いて頂きたい作品です。」(nOrikO)
ポイズン・ガール・フレンドの20年ぶりの新譜の魅力は、決してノスタルジーでもなければ、同世代だけをターゲットにした「思い出企画」でもない、という部分だ。
自身がオーガナイザーとしてクラブイベント『club hyper-réarythme』を開始するなど、失われた90年代をもう一度、一から作り始めるように、まるで新人アーティストのように生き生きと動き始めたポイズン・ガール・フレンドから目が離せない。
[参考]POiSON GiRL FRiEND(ポイズン・ガール・フレンド)http://www.psychopla.net
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