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.国際  投稿日:2014/10/6

[李受玟(イ・スミン)]【ソウルの日本語教室が消失?】~“中国フィーバー”で韓国の日本研究は風前のともしび~


李受玟(イ・スミン)(韓国大手経済誌記者)

執筆記事プロフィール

 

ソウルの繁華街カンナム。ここは就職のために外国語を学ぶ20代の韓国人がよく訪ねるところだ。カンナム周辺は市内の中心で、ソウル郊外にある大学からアクセスも便利だから有名な多数の外国語教室(外語学院)が盛業中だ。

最近このあたりの学院は英語と中国語、二つの外国語で収入をあげている。この傾向は年間約800億ウォンの売上げを誇る外語学院P社にも当てはまる。まず、P社のカンナム支店が公開しているタイムテーブルを見てみよう。

中国語は初心者のための段階が細分化されていて、基礎中国語、基礎特別、基礎短期など三つの文法のクラスがある。中国語の会話コースもビギナーと専門家までいろいろあるし、中国語の公認テストHSK(漢語水平考試)に対応するクラスや講師を養成するコースも開設されている。平日を基準として中国語のクラスは155個だ。

一方、日本語のクラスは97個(平日基準)しかない。ビギナーレベルの総合クラスは二つのコースだけだ。日本の大学や大学院に進学する人々が受けているJLPT(日本語能力試験)向けのクラスも中国語のそれに比べて非常に少ない。週末クラスの場合、日本語学習者の選択の幅はさらに狭くなる。受講生の数が減っているからだ。

実は、ここは半年間学生たちの要求にもかかわらず、土曜日の日本語会話上級クラスを開設しなかった。この問題に対して塾はクラスを運営することはできるけど、学生の数が少なくて授業の進行が難しいと語った。しかし、それはわずか2~3人のために講義室を提供することはできないというのが塾の本音だった。

第2外国語として中国語を選択する韓国人が増えていることは、日本語と日本文化、日本社会を専門的に学ぶ人々に影響を及ぼしている。韓国の限定的な外国語学習のシステムの中、日本語と中国語は競合する関係だからだ。

陳昌洙(チンチャンス) 韓国世宗日本研究センター長 は、2012年日本国際交流基金の支援に基づいて作成した<韓国における日本研究:多様化と専門化とのジレンマ>という論文で「韓国の日本学を専攻した研究者が徐々に高齢化している。相対的に若い研究者たちが学界に新たに流入せず、研究者数が徐々に減っている」と指摘した。また、彼は同論文で「2000年代関連学科が開設された規模は(韓国で日本学が始まった)1970年代以前とほぼ同じになるほど縮小した。啓明大学校と光云大学校など計8校で日本語学科は2000年代を前後になくなったり、統廃合された」と語った。

日本語、広くは日本学に関心を持つ韓国人が減少した理由は何か。ある人は長く続いた日本の不況が原因だと分析する。特に経済▪経営分野の研究は日本企業の成果が1990年代をピークに下落し、研究者の脈が途絶えていたという指摘だ。また別の意見は日韓関係の浮き沈みに注目する。頻繁に変わる両国の関係のせいで、韓国の20代は日本に対する関心を失ってしまった、という主張だ

理由はなんであれ、確実なのは、韓国の「親中」は貿易収支という特定分野を越え、若者たちの語学の学習にまで強力な影響を及ぼす要因になったということだ。また、言語を学ぶという行為は特定文化と国家に関する好感を表現する積極的な行為だけに、カンナムの語学塾街で確認した雰囲気は日本学研究者には期限付きの死亡宣告に他ならない。

朝鮮半島に激しく吹く「中国フィバー」の中で日本学はどのような姿に変化してゆくのか、それがこの時代を生きている韓国の日本学研究者たちの悩みだ。

 

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