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.政治  投稿日:2014/11/18

【12月総選挙、地方にマイナス】~地方政治に国政の流れを持ち込むな~


水野ゆうき(千葉県我孫子市議会議員 )

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7-9月期の国内総生産(GDP)成長率が事前予測を下回り、速報値は物価の変動を除いた実質で前の3カ月間と比べてマイナス0.4%、年率に換算してマイナス1.6%となったことが発表され、解散ムードが更に高まっている。

解散に関しては賛否両論で、700億円かけてまで解散をする必要性があるのかなど、その大義名分について議論を呼んでいるが、GDP速報値を受け来年10月に予定していた消費税率10%引き上げを延期し、安倍首相は衆院解散・総選挙に踏み切るとみられている。

12月に解散総選挙となる場合、地方議員として懸念している事項は、地方議会の会期中と選挙が重なることと、今回の総選挙の投票率や風向きがそのまま来年4月に行われる統一地方選に大きく影響を与えるのではないか、ということだ。

地方政治は議院内閣制とは異なる二元代表制であり、政党政治ではない。しかしながら現実的には政党公認議員や推薦をもらっている議員が数多くいることは言うまでもない。その為、多くの政党所属の地方議員は自分の選挙区の衆議院議員・候補者の応援のために選挙の手伝いに入らざるを得ない。しかも準備期間が非常に短い選挙戦となれば、地方議員が駆り出されることは必須である。国政選挙は「風」以外では地方議員の力が大きく左右するのだ。

その結果、選挙に入る地方議員は、地方議会の活動は後回しとなり、選挙優先となることが懸念され、議会自体が停滞ムードとなることだ。こういった観点からも12月の解散総選挙はタイミングとしては地方にとっても芳しくない。

更には今回の投票率が低かった場合、また政治不信が高まるような雰囲気となる結果だった場合、その流れが来年4月の統一地方選まで尾を引くことだ。地方議会は政党同士、与野党での議論ではなく、全議員が集まった議会と市長・市役所との議論の場であり、市のことを決定する場である。しかしながら、この制度や仕組みの理解度が有権者の間で深まらず、国政の空気間が地方にまで浸透してしまい、同じ現象が統一地方選で起きることだ。

国政も都道府県議会も基礎自治体議会も同じ政治ではあるが、地方政治はそもそもの仕組みも国政とは異なり、自分の住んでいる自治体の街づくりをしていく一番身近な政治であることを忘れずに、国政の流れを持ちこまないよう頭の切り替えをしてもらいたいのである。

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