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.政治  投稿日:2014/11/24

[安倍宏行]【「どうして解散するんですか?」騒動の本質】~学生だけで判断し行動することの怖さ~


  安倍宏行(Japan In-depth編集長/ジャーナリスト)「編集長の眼」

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青木大和氏は慶應義塾大学の学生である。政治家を志し、若者の声を政治家に届けるべく、2012年にNPO法人「僕らの一歩が日本を変える。」を設立し、同年8月に討論会「高校生100人×国会議員@国会議事堂」を主催したことで一気に知名度がアップした。私も昨年青木氏と知りあい、今年初め、地域FMで一緒に対談したこともある。将来政治家を目指している、と熱く語っていたのが印象的で、応援したいと思っていた。

その青木氏がネット上で炎上中だ。何が起きたかと言うと、今月21日開設され注目を浴びた、「小学4年生の放送部」の中村君が衆議院解散の是非を問うサイト「どうして解散するんですか?」が、小学生が作ったものではないのではないか、との疑問がネット上で呈されたのだ。するとほどなくして青木氏がサイトを作成したのは自分であることを認め、ツイッターで22日夜、以下の通り連投し、謝罪した。

『「【謝罪】 皆さんこの度はお騒がせしてしまい大変申し訳ありませんでした。今回の一連の騒動は全て私1人が行いました。全ての責任は私がとらせて頂きます。多くの皆様に多大なるご迷惑をおかけ致しました。 詳細は、下記サイトに書かせて頂きました。 http://why-kaisan.com/ 

「この度は、多くの皆様に多大なご迷惑をおかけしてしまい本当に申し訳ありませんでした。 小学4年生を名乗って嘘をついたことなど、今回の一件で様々な方々に不快な思いをさせてしまいました。本当に申し訳ありません。皆様の全てのご指摘を受け止めます。」

「また、団体よりも発表されております通り、本日付けで代表を辞職致します。私の個人的な行動により組織の多くのメンバーにもご迷惑をおかけ致しました。 今回の自分の行いを反省し、しばらくの間は情報発信を控えようと思います。皆さま本当に申し訳ありませんでした。 青木大和」』

「どうして解散するんですか?」アカウントからは筆者にもTweetが飛んできた。曰く、「ねぇどうして政治家さんたちは、いま700おく円も使って解散するんですか。どうか教えてほしいです。もしあなたもわからなければ、このサイトで一緒にこたえを探しましょう。Why-kaisan.com #どうして解散するんですか”

正直、このTweetに関しては、なんかのbotかな、ぐらいにしか思わず、全く興味も湧かなかったし、政治家のところに届いたTweetと違って、私には「小学4年生の中村」と名乗っていないので、子供が投稿したとの認識もなかった。

また、サイト構築に関わったのではないか、と指摘されていたTehu氏は、関与を認めたうえで、青木氏同様、多くの人に誤解を与えたことに関し、「不徳の致すところ」として、以下の通り謝罪した。(注1)

『「#どうして解散するんですか?」について

皆様

11月20日夜に公開されたウェブサイト「#どうして解散するんですか?」について、私が関わっているのではないかというご指摘を多くの方々からいただいております。

http://why-kaisan.com/ に掲載されている青木大和君の文章の内容の通りで、私は11月19日に彼からコンセプトの内容を聞き、お声がけを頂き、サイトの構築を技術とデザインの面でお手伝いしました。

結果的に同サイトが、過剰な演出により、衆院解散への問題提起という本来の意図を超えて、多くの方々に大きな誤解を与えてしまう結果となったことについては、僕および青木の不徳の致すところです。心よりお詫び申し上げます。

自らを律することができなかった今回のようなことを今後起こさないよう、気を引き締めて参ります。

Tehu』

さらに関与が疑われたNPO法人「僕らの一歩が日本を変える。」は23日、HP上で、「一切の関与していない」と否定した。(注2)また代表の青木氏が辞任したことで、副代表が当面代表代行を務めると言う。しかし、代表がこうした行動をとったことに対し、法人として責任を取らなくていいのか、との指摘も出ている。

さて筆者は、青木氏にサイトを作った動機や何故小学4年生を名乗ったのか、特定の組織や政党の関与があったのかどうか、などの質問を送ったが、23日23:00までに回答はなかった。

若者が政治に関心を持つことは大事だし、政治の世界に飛び込むことも賛成だ。日本の政治を変えていこうと思ったら、若者が基礎自治体の議員になることが近道だと思っている。

今回、青木氏は一人でこの仕掛けを考えたと言うが、自ら立ち上げた「0党(ゼロトウ)」の支持者を増やそうという思惑があったのかもしれない。しかし、炎上で有名にはなったが、大きなレピュテーション・リスクを負ってしまったのは誤算だったろう。それにしてもわざわざ小学生を名乗るなど、ちょっと考えればどんなリスクが生じるか、わかりそうなものだが、ずいぶんと稚拙なアイデアを思いついたものだ。

青木氏の周りには社会人もたくさんいるだろうに、誰にも相談しなかったのだろうか?社会人は、仕事をしていく上で、絶えずどのようなリスクがあるか、考えながら仕事をしている。周囲には様々なスキルを身に付けたプロがいて、相談しながら慎重に物事を進めていくのが普通であろう。(無論、すべての社会人がそうだとは限らないが)

社会には、思いもよらないリスクがそこかしこに潜んでいる。学生にとってはなおさらだ。メディアに取り上げられたり、おだてられて自惚れることもあろう。それは責められないが、学生を利用しようとたくらむ社会人もいるかもしれない。学生達だけで考えて行動することの怖さを今回の騒動は物語っている。

学生が社会に関わる活動をすることを否定するものではない。むしろ奨励しているが、SNSがこれだけ発達している現在、思わぬリスクが生じる可能性は格段に高まっている。学生には、幅広く周囲の大人の意見を聞き、慎重な上にも慎重に活動していくことが求められている。

(注1)

https://note.mu/tehu/n/ndeaa11ef404e

(注2)

http://boku1.org/index.html

 

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