ゴーンと司法
.国際  投稿日:2014/12/1

[古森義久]【読売、慰安婦報道で”性奴隷”訂正】〜世紀の冤罪晴らすチャンス〜


古森義久(ジャーナリスト/国際教養大学 客員教授)

「古森義久の内外透視」

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読売新聞が慰安婦問題報道の英語版で「性奴隷」という用語を使ってきたのは間違いだとする謝罪を11月28日、発表した。この動きをアメリカの大手紙2紙が報じた。その報道の基調は米国側でも慰安婦問題への態度に微妙な変化が生まれ始めたことを感じさせた。

読売新聞のこの訂正とお詫びは自社の英字新聞での過去の慰安婦報道で、慰安婦を性奴隷(sex slave)と呼んだことや、慰安婦の強制(forced あるいはcoercive)連行という表現使ったことは不適切だったとしていた。こうした表現は1992年から2013年までの合計97本の英文記事で使われたので、それを謝罪し、該当全記事に表現の不適切さを付記するというのだ。

この措置は明らかに朝日新聞の慰安婦報道訂正に促された動きだった。「日本軍が組織的に20万の女性を強制連行して性的奴隷にしたという主張は虚構だった」という再認識に基づいていた。読売新聞は日本語版ではその認識を明確にしてきたが、今回は手の回らなかった英語版でも同じ修正をしたということである。

だがおもしろいのは、この読売新聞の英語版の訂正をアメリカの大手紙のニューヨーク・タイムズとワシントン・ポストがいずれも東京発で報道したことだった。ニューヨーク・タイムズは「日本の新聞が『性奴隷』という用語を使ったことを謝罪する」という見出しで、読売新聞の説明をそのまま伝えていた。朝日新聞の吉田清治証言の撤回を伝え、読売が朝日攻撃の意図をこめながら、英文新聞での誤報を訂正したと、わりに客観的に報じていたが、その一方、肝心の「強制連行」については読売の見解が「多数の歴史学者や中韓両国の政府の見解へのチャレンジ」だとも書いていた。

なにしろニューヨーク・タイムズは長年、朝日新聞と同様に吉田清治証言や「強制連行」を事実として報じてきたのだから、今回の読売の謝罪には当惑気味であり、その感じがこの記事にも出ていた。

一方、ワシントン・ポストの記事は「日本最大の新聞、読売新聞が『性奴隷』という用語の使用を謝罪する」という同様の見出しを掲げながらも、なおこの読売の動きを「ナショナリストの安倍首相が戦争の歴史を変えようとする広い動きの一部」と評していた。読売の謝罪も日本国内の右派の工作だと示唆して、上智大学の中野晃一教授の「日本政府が慰安婦問題全体を朝日新聞の捏造だとする画策の一環」だという左派的な見解を紹介していた。

しかしこのワシントン・ポストの記事も肝心の「強制連行」については「歴史家の間では、20万人の女性が戦時中、日本の占領軍部隊によって強制的に連行されたというのがコンセンサスだ」という皮相的な記述ですませていた。具体性と説得力に欠ける記述だった。

アメリカのこの二大新聞は過去の年月、もっぱら慰安婦問題を日本の国家犯罪として糾弾してきたのだが、これまでの筆致にくらべると、今回の記事のトーンはきわめて弱い。この変化は日本側には汚辱を晴らす対外発信への貴重な指針だといえよう。官民一致して慰安婦問題での正確な事実を国際的に拡散していけば、日本にとっての世紀の冤罪を晴らすことも十二分に可能だろう。米側の両紙の記事はそんな教訓を語っているようである。

 

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