ゴーンと司法
.社会  投稿日:2015/1/2

[楊井人文]【2015年は「報道改革」元年】~メディアは、ファクトに対し謙虚で誠実たれ~


楊井人文(日本報道検証機構・弁護士)

執筆記事プロフィール

 2014年はマスメディアの報道の存在意義を問い直す事件が相次いだ一年だった。1月にSTAP細胞発見の大ニュースはその後捏造疑惑が浮上し、年末に調査委員会が論文成果を否定することで幕を閉じたが、科学報道のあり方に大きな課題を残した。

冬季五輪直前には、“音を失った作曲家”ともてはやされた佐村河内守氏にゴーストライターの存在が判明。新聞は過去の記事を取消し、NHKスペシャルなどいくつものドキュメンタリー・報道番組が放送倫理・番組向上機構(BPO)の審理にかけられた。

そして、激震に見舞われた朝日新聞。5月の「吉田調書」スクープ記事の誤報疑惑、32年ぶりに「慰安婦狩り」証言を取り消した8月の検証記事への批判、池上彰氏のコラム掲載見送り問題という3点セットで火だるま状態となった。

結局、3つの第三者機関に検証を委ねて社長は退いたが、一連の稚拙な危機管理対応でメディアへの社会的信頼が深く傷ついた。9月には、テレビ朝日が九州電力川内原発の審査をめぐる誤報を出して社長が謝罪したが、BPOで調査されることになった。

メディア側にもわずかながら変化の兆しがある。まず、読売新聞が12月1日の紙面から、従来決まった面に掲載していなかった訂正記事を全て社会面に集約し、誤りの理由も説明するように改めた。朝日新聞の不祥事で新聞報道全体への信頼が揺らぎかねないと危機感を抱いたようだ。

その朝日新聞も12月に就任した新社長が訂正報道の改革に乗り出すと表明。まず、訂正に必ずおわびを入れ、理由もできるだけ示す取組みを始めた。長年手つかずになっていた訂正報道の見直しに最大手2紙が着手したことは画期的なことだった。
だが、いずれも読者からみれば当たり前の取組みにすぎない。2015年はメディアが本格的な「報道改革」に乗り出せるか試される一年となる。「報道改革」というアジェンダは、2014年10月に亡くなった元共同通信論説副委員長の藤田博司さんが唱えたものだが、一言でいえば、真の意味で読者に信頼される、国民・読者の立場に根ざしたジャーナリズムを再生するということだ。

特定の体制・勢力を利する報道、特定の主義主張を担う唱道的ジャーナリズムは「誰でも検証できる時代」では生き残れない。メディアは、ファクトに対して謙虚で誠実な、事実をして語らしめるジャーナリズムの担い手に生まれ変われるか。

まず、朝日新聞が1月5日に発表する、再生に向けた行動計画が注目される。他紙も注視しているだろう。GoHooは2015年も、メディアの報道改革を促す触媒となるよう地道に情報を発信していく。

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