.社会  投稿日:2013/12/6

[朝比奈一郎]リーダーシップとは「指導力」ではなく「始動力」〜「広さ」と「深さ」に向けた「始動」にエール

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朝比奈一郎(青山社中筆頭代表CEO/中央大学客員教授)

執筆記事BlogWebsite

 

「えっ、、、」と思わず絶句したことを昨日のことのように思い出す。

10月下旬に、安倍さんが弊社を訪問され、開口一番、「今度、フジテレビを退社し、新しいジャーナリズムのあり方を目指して新サイト等を立ち上げることになった」とおっしゃられた時のことである。

約14年間勤務した霞が関は経済産業省を離れて、見方によっては意味不明な日本活性化のための会社(青山社中)を3年前に立ち上げた私としては、或いはこんな感想を述べる立場にはないかもしれない。だが、フジテレビで看板番組である「ニュースJAPAN」のキャスターをあの滝川クリステルさんと共に務められ、その後も経済部長や解説委員としてご活躍だった安倍さんとしては、フジテレビに残り続けていれば、安泰な人生が待っていたはずである。最初は、思わず耳を疑った。

ただ、そこは、本質を常に鋭くえぐる頭の回転と、歯に衣を着せぬ舌鋒と、それでいて義侠心に満ちた温かい人間性が絶妙に調和されている超人安倍さんである。今の日本のあり方、就中、メディアのあり方に大いなる疑問と可能性を見出され、「義を見てせざるは勇なきなり」とばかりに、チャレンジをされるのだと、すぐに得心がいった。

私は、リーダーシップについて私塾で教えたり、著書を出したりしているが、その本質は、同じ「しどうりょく」という発音でも、正しくは「指導力」ではなく「始動力」だと思っている。「始動者」の構想力に共感すれば、心ある人は必ず付いて来る。まさに、安倍さんの試みは、リーダーシップの発揮に他ならないと感じた。

それから約一か月が経ち、「新サイト」である「Japan In-Depth」を覗いて見ると、わずかの期間によくぞここまで、との充実ぶりに驚かされる。執筆陣には、まさに老若男女が名を連ね、テーマも、キャリア論・ライフスタイル的なものから、政治・外交にいたるまで幅広く、どの論考も、安倍さんがこれまでに「本物」と認めた各界の方々ならではの深さを持っている。一度、このサイトに入ると、なかなか離れがたくなるだけの魅力を持っている。

経済産業省に勤務していた頃、ある尊敬する先輩が、ジェネラリストとしてのキャリア官僚のあり方について、「広さとは深さであり、深さとは広さ」であるという禅問答のような話をしていたことを興味深く思い出す。真のジェネラリストには、現場や特定世界についての深さも必要だし、同時に幅広さも重要であると。職人的に、法案や国会答弁案が書ければ仕事はできるが、それは国民が真に望んでいる姿ではないはずだと。始動するリーダーにとって必要不可欠な視点ではないかと思う。

広さと深さを兼ね備えることで、広さが深さにも転じ、また深さが広さにも転ずる新メディアの誕生に心からのエールを送らせていただくとともに、再度、「えっ、、、」と絶句してしまうような安倍さんならではの絶え間ないチャレンジにも期待したい。

 

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【プロフィール】

gazou172

朝比奈一郎(あさひな・いちろう)青山社中株式会社 筆頭代表(CEO)、中央大学(公共政策研究科)客員教授

1973年、東京都生まれ。東京大学法学部卒業。ハーバード大行政大学院修了(修士)。経済産業省でエネルギー政策、インフラ輸出政策などを担当。アジア等の新興国へのインフラ・システム輸出では省内で中心的役割を果たす。小泉内閣では内閣官房に出向。特殊法人・独立行政法人改革に携わる。外務省「世界の中の日本:30人委員会」委員。(2006年)プロジェクトK(新しい霞ヶ関を創る若手の会) 初代代表。主な著書に「やり過ぎる力」(ディスカヴァー・トゥエンティワン・単著)「霞ヶ関構造改革・プロジェクトK」(東洋経済新報社・共著)「霞ヶ関維新」(英治出版・共著)

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