[相川俊英]【茨城県つくば市、スポーツ施設建設で住民投票】~総合運動公園計画総事業費305億円、一般会計の約4割相当~
相川俊英(ジャーナリスト)
「相川俊英の地方取材行脚録」
事業費が計画段階より大きく膨らみ、需要や便益は想定をはるかに下回るというのが、日本の公共事業のごく一般的な姿である。それはダムや道路といったインフラ整備だけでなく、体育館や文化会館といった箱もの事業においてもだ。巨大な公共施設を造ってはみたものの維持管理や活用に四苦八苦し、持て余し気味になっているという自治体が多い。
それでも立派な箱ものを欲する住民や政治家は後を絶たず、新国立競技場ほどではないにしても、地元に豪華な施設をと力を入れるのである。こうした箱もの建設に対し、地域内から異論が出るケースはめったにない。そもそも地元の要望をきっかけに着手される場合が多く、なによりも迷惑施設ではないからだ。また、事業費の負担や施設の需要、その後の維持管理といった点まで考慮(心配)する住民などそうはいない。箱もの建設は歓迎一色となりがちだ。
ところが、箱もの建設に異を唱える住民が多数現れ、住民投票にまでなった自治体がある。茨城県つくば市で、住民投票は市が推進している総合運動公園計画の是非を問うものだ。7月26日に告示され、今度の日曜日(8月2日)が投票となる。
つくば市が進めている総合運動公園計画は、つくばエクスプレス・つくば駅から約8キロの約46へクタールの土地に総合体育館(観客席5000席)、第2種公認陸上競技場(観客席1万5000席)、屋内プール(観客席1000席)など11のスポーツ施設のほか、宿泊施設(50人)などを整備するものだ。つくば市には小中学生や市民が一堂に会せる総合体育館がなく、公認記録を計測できる陸上競技場もないため、市民から整備の要望が寄せられていた。
それが計画へとつながったのだが、総事業費はなんと約305億円。つくば市の2014年度の一般会計最終予算額は約793億円なの
反対運動を担ってきたある市民は「巨大観客席で高いレベルの競技を観戦する場を提供するのか、市民がスポーツを手軽に行える場を提供するのか、哲学の違いがある」と指摘する。はたしてつくば市民は日曜日にどのような判断を下すだろうか。
(この記事は
【茨城県つくば市、スポーツ施設建設にノー】~住民投票で反対圧倒的多数~
に続きます。)