正しい都知事候補の選び方 その選定基準 東京都長期ビジョンを読み解く!【特別編】
西村健(NPO法人日本公共利益研究所代表)
「西村健の地方自治ウォッチング」
舛添東京都知事の辞職を受け、東京都知事選挙が告示された。多くの方が立候補されたこの選挙。自民党内の争いやタレント議員の巧みな発言など、メディアの報道だけ見ているだけだと全体構造が見えなくなり、わけが分からなくなるので、正しい候補者を選ぶためのガイドを提示したいと思う。
まず今回の候補者選出過程に対して触れておきたい。残念ながら資格や能力も十分満たす都内の首長、都議会議員といった専門家から名前が出てこなく、著名人の方々が出馬する事態となった。たしかに、選挙区としては非常に大きいので知名度が鍵になることは確か。
ただ、この事実に私はかなりの危機感を感じる。都民の関心の低さか、「勝てる候補を」という政党の利益に目が眩んだのか、少し都民をバカにした態度か、メディアがこれまで都政に関心を喚起しなかったツケか、既得権益の構造を守りたかったのか、原因はわからない。だからこそ、都政とは何か、都知事に何を求めるのかが考える必要がある。
大きく分けて、実績(予想とこれまでの経歴からの類推)、能力、政治状況が判断する要素である(*の印がつくのは可能性や期待度で考えるしかない)。
1 問われる実績
(1) 政策や課題における成果*
・都民の幸福度・満足度の向上*
・問題の解決度合*
・重点政策の成果*
・各種指標の変動(外部要因が強い政策・課題を除く)
(2) 東京都長期ビジョン、地方創生戦略における各種項目
・東京都長期ビジョンの各政策分野に対する方向性・目標
・各政策分野に対する課題認識
・提案した政策による課題解決の度合*
(3) 過去の行政実績・リーダーシップ実績
・行政機関での実績(経営・マネジメント、成果創出、発信など)
・企業・NPO・専門組織での実績(経営・マネジメント、成果創出、発信など)
2 問われる資質・能力
(1) 基礎能力
・情報発信力
・現状分析力・判断力
・政策理解力
・コミュニケーション能力・説得力
・リーダーシップ
・マネジメント力
(2) 態度・姿勢
・規律・法令順守
・積極性・粘り強さ
・協調性
・威厳
・人間としての信頼性(行動、言動、振る舞い)
・他人への敬意、リスペクト
3 政治・利害関係面
(1) 支援団体
・支援団体名、そことの結びつき度合い
・支援団体の受益の度合い
・支援団体による影響を受ける度合
(2) 政党との関係
・政党が掲げる政策との親和性
・政党の力を借りることによる政策実行可能性
・政府や党の中央からの指示や命令への従属度・自立性
(3) 政治資金
・政治資金の法的な適正さ
・政治資金の使い道・用途の適切さ
上記は、政治家をあまりにも政治やイメージで選んでないか?という政治家選出プロセスに対する問題提起である。
これらの視点で、ABCDEという基準で選ぶ方法、点数をつける方法、総合点方式などで「都知事にふさわしいか」評価してみてはいかがだろう。それぞれの配点は自由に設定すると面白い。
それぞれが価値観や自分の政策志向に従って考えてみて、周りと話し合うことが東京都政再生の第一歩ではないか。
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この記事を書いた人
西村健人材育成コンサルタント/未来学者
経営コンサルタント/政策アナリスト/社会起業家
NPO法人日本公共利益研究所(JIPII:ジピー)代表、株式会社ターンアラウンド研究所代表取締役社長。
慶應義塾大学院修了後、アクセンチュア株式会社入社。その後、株式会社日本能率協会コンサルティング(JMAC)にて地方自治体の行財政改革、行政評価や人事評価の導入・運用、業務改善を支援。独立後、企業の組織改革、人的資本、人事評価、SDGs、新規事業企画の支援を進めている。
専門は、公共政策、人事評価やリーダーシップ、SDGs。