[藤田正美]日本国債暴落の足音が聞こえる〜外資ヘッジファンドは、日本国債を売って儲けるチャンスを虎視眈々と狙っている!
Japan In-Depth副編集長(国際・外交担当)
藤田正美(ジャーナリスト)
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2011年、日本が32年ぶりに貿易赤字になったときはショックを受けたものだ。なにせ資源も何もないわが国が成り立つためには、資源を輸入して製品を作り、それを海外に売って外貨を稼ぎ、その外貨でまた資源を買うという「貿易立国」でなければならない。われわれはそう教えられてきたからだ。
その年は東日本大震災があり、タイで洪水が発生した。日本企業のサプライチェーンがずたずたにされ、輸出するべき製品が十分に作れなかった。さらに輸入のほうでは、原発が停まって、電力会社は必死に燃料にするガスを手当てした。そのため輸入が増え、結果、貿易赤字に陥った。
しかし、残念ながら貿易赤字は一過性のものではなかった。2011年には2.6兆円だったが、2012年には6.9兆円、そして2013年は10兆円を超えた。円安で輸出競争力が高まったのに、輸出数量が増えないのが大きな原因である。言葉を換えれば、日本企業は日本で生産して輸出するというビジネスモデルから離れつつあるということだ。
ただ、貿易赤字がこれだけ膨らんでも、そのほかの収支を合わせた経常収支はまだ黒字を維持している。日本企業の直接投資(海外子会社からの配当収入など)や証券投資の利息などの受け取りが増えているからである。その差し引きは3.3兆円の黒字だ。
問題は、この黒字をいつまで維持できるのかということだ。もし貿易赤字がさらに膨らんでいくとすれば、やがて所得収支でカバーできなくなる日がくる。そのときに何が起こるのか。国際収支がマイナスになるということは、財政赤字を自分たちでファイナンスできなくなるということだ、とあるヘッジファンドのマネジャーは言う。
これまで日本は巨額の政府借金を抱えているのに、南欧の国のように政府債務危機(国の資金繰りが行き詰まる)に陥らずにすんでいる。日銀が大量の国債を買い入れていることもあり、金利は安い。しかし国際収支が赤字になれば、そのファイナンスは外国の資金に頼ることになる。そうなると日本の財政再建が進まないと判断されれば、国債は売り浴びせられることになるというのだ。
もちろん、それは最悪のシナリオに近い。そうなれば長期金利は上昇し、もちろん企業に悪影響を与える。また国債の値下がりは、地銀を中心に評価損をもたらし、その結果、地銀は信用供与を大幅に縮小せざるをえないだろう。すなわち貸し渋り、貸し剥がしである。中小企業は大打撃を受ける。
この流れはいったん始まったら止めることはほぼ不可能に近い。そうならないために、いったい何ができるのか、それが最大の問題である。第一は、財政再建の道筋を示すこと、そして第二は、日本の潜在成長力を高めるために、規制緩和を通じて新しい産業を創出することだ。この二つにどれだけ具体性を与えることができるか、それが今年の安倍政権の課題だ。しかし外資系のヘッジファンドは、日本国債を売って儲けるチャンスを虎視眈々と狙っている。
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