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.政治  投稿日:2017/5/29

ポスト小池を担うのは民進党 松原仁衆院議員


「細川珠生のモーニングトーク」2017年5月20日放送

細川珠生(政治ジャーナリスト)

Japan In-depth編集部(坪井映里香)

【まとめ】

・都議選を控え、民進党は都政改革の「受け皿」となりうる。

・国会は会期延長もありうる。需要法案審議尽くせ。

・都議選は政界の波乱要因となり、都民ファーストに継続性はないと予測。

 

■迫る都議会議員選挙

東京都の一部の地域では、選挙カーや駅頭活動が見られるようになってきた。小池百合子都知事率いる地域政党「都民ファーストの会」が誕生し、注目が集まる東京都議会議員選挙を7月に控え、民進党東京都連会長の松原仁衆議院議員に政治ジャーナリストの細川珠生氏が話を聞いた。

まず細川氏は、小池都知事が進める都政改革に対し「自民党都議団はかなり強硬な態度だが、民進党はどのような立ち位置で選挙に臨むのか、有権者へどのように違いをアピールしていくのか」と質問した。

松原氏は、民進党と他政党との違いは大きく3つあるという。まず松原氏は前提として、小池都知事の都政改革を評価していると述べた。理由として、豊洲新市場に盛り土がされているはずだったのにされていなかったという「ガバナビリティの欠如」を小池都知事が指摘したことや、東京都の予算13兆円のコストカットを行おうとしていることをあげた。また、「伏魔殿といわれる東京都の様々なものを明るみに出す」姿勢もその理由に挙げた。松原氏は、「東京の大掃除を、コストカットや情報公開でやろうという小池さんの姿勢は特に評価している。」と述べた。

 

■民進党の存在意義

それに対し、「自民党は(そうとは)言えない、自分たちがそういう体制にしてきたからだ。」とし、野党として民進党が長く都政改革の必要性を訴えてきたことを他党との違いとして強調した。

また松原氏は、「都政の伏魔殿の大掃除は10年かかる。10年間その大掃除をし続けることができる政党は民進党だ。」と述べた。「都民ファーストが10年間続けてそれをやることは期待するけれども、名古屋市長の河村たかし氏の減税日本を見るとそれは難しい。」と、地域政党の継続性に懸念を示した。そして、「強烈な小池さんのリーダーシップで都政の問題点をあぶりだす突破口は開いた。それを軌道に乗せ、都政の大掃除をやり続けるのは我々だ。」とし、「持続する改革意識」がある点が他政党との違いの一つであると強調した。

2つ目として松原氏は、先日の百条委員会の設置に関して「民進党がリーダーシップをとったという事実」がある点を挙げた。

そして3つ目として松原氏は、「小池都知事はあくまでも都知事として執行者。我々民進党の議員は議会としてそれをチェックする(立場)。」と述べ、「どれだけ優秀な執行者でも権力は急速に劣化することがある。その時にそれをチェックして元の立ち位置に戻すというのは議会がやらなければいけない。」としたうえで、民進党として「こうした形で我々は対峙をするのではなく、ずっと尻をたたき続ける存在でなければいけない。」と述べ、小池都政の次を担う勢力としての民進党の存在意義を強調した。

 

■民進党の国会戦略

次に細川氏は、都民ファーストの会は地域政党だが、有権者である都民は、民進党や自民党に対して国政の動きとどうしてもリンクして見るだろう、と指摘した。その上で、国会において、テロ等準備罪を含む組織犯罪処罰法改正案や安倍総理の加計学園に関する疑惑への追及を民進党は続けているが、今後どういった国会戦略をとっていくかを問うた。

松原氏はまず、「もっと深堀りした議論が必要だ。」と述べた。松原氏は、「法律ができてしまうと作った人間のそのときの思いを超えて動く部分がある。」と述べ、その意味では「20数時間という審議時間での採決は短い。」と批判した。

松原氏は、通常の法案でも重要法案であれば審議時間は30時間を超える、とした上で、「今回の件(テロ等準備罪を含む組織犯罪処罰法)は極めて内心の自由の問題にも踏み込む議論だから慎重にすべき。」と述べた。

また民進党は金田法務大臣への不信任案を提出したが否決。「法務大臣は日本の国際社会における立場から、こうしなければいけないと語るべき人」と述べ、金田法務大臣の適性に疑問を呈した。

細川氏は、あと約一か月の通常国会だが、天皇陛下の譲位に関する特措法をはじめ、重要法案が山積しており審議時間が不足する中、会期延長の可能性を聞いた。

松原氏は国会対策委員長の経験から、「延長するのが常套手段だと思う。」とし、「共謀罪と呼ばれているこの法律を通過させた場合、都議選で票を減らす可能性があるので選挙後まで通常国会を引っ張るのは戦略的にある」、と与党側の思惑を分析した。

 

■都民ファーストの今後

また松原氏は、都民ファーストの会は本当に地域政党でとどまるのか、という点を指摘。「維新のように国政政党を目指す可能性もゼロではない。」と述べた。その上で、「都議会議員選挙の結果を含めそのときが一つのスタートになる。都議選は大きな政界の波乱要因になる。」と、7月以降の政界再編の可能性を示唆した。

細川氏は、組織頼みではなく自分自身で勝負をかけた小池都知事が選ばれた経緯そのものを見ても選挙の大切さを感じたという。これに対し松原氏は自民党支持者の一部は「既成政党ではない枠組みに対する希望」があるものの、新しくできた少数政党はそれに応えきれていない、とした。だからこそ、「有権者というのは枠組みにとらわれない新しい政治勢力を求めている。」と松原氏は指摘した。

(この記事は、ラジオ日本「細川珠生のモーニングトーク」2017年5月20日放送分の要約です)

 

「細川珠生のモーニングトーク」

ラジオ日本 毎週土曜日午前7時05分~7時20分

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トップ画像:©Japan In-depth 編集部


この記事を書いた人
細川珠生政治ジャーナリスト

1991年聖心女子大学卒。米・ペパーダイン大学政治学部留学。1995年「娘のいいぶん~ガンコ親父にうまく育てられる法」で第15回日本文芸大賞女流文学新人賞受賞。「細川珠生のモーニングトーク」(ラジオ日本、毎土7時5分)は現在放送20年目。2004年~2011年まで品川区教育委員。文部科学省、国土交通省、警察庁等の審議会等委員を歴任。星槎大学非常勤講師(現代政治論)。著書「自治体の挑戦」他多数。日本舞踊岩井流師範。熊本藩主・細川家の末裔。カトリック信者で洗礼名はガラシャ。政治評論家・故・細川隆一郎は父、故・細川隆元は大叔父。

細川珠生

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