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.経済  投稿日:2014/3/4

<保守化する就活男子>結婚後に「共働き」を望むのは男子55%、女子75%


Japan In-Depth編集長

安倍宏行(ジャーナリスト)

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結婚したら「共働き」を望む男子就活生は約55%に止まる。そんなアンケート結果(注1)を見て意外に思った。一方で、女子就活生の75%は共働きを望んでいるとの結果を見ると、男子は女子に比べて随分と保守的なようだ。

さらに、専業主婦を望む男子就活生にその理由を尋ねたら、

  • 「結婚相手には家を守って自分や家族を支えてほしい」(34.1%)
  • 「結婚相手には家事や子育てに専念してほしい」(30.2%)
  • 「仕事が終わって家に帰ったら誰かに待っていてほしいから」(20.6%)

だという。

厳しい社会に出たら妻という精神的支えが必要だ、ということなのだろうか。男子のナイーブさが表れているようだ。しかし、これはまだ社会に出ていない学生の話。実際に社会人になれば、自分1人の収入で家族を養えるかどうか、直ぐに現実を直視しなければいけなくなる。よって5年後も同じ事を言っているとは到底思えない。

そうした中、男性の未婚率は上昇傾向にあり、30代前半の男性の未婚率は47.3%(2010年国勢調査)、2人に1人近くが結婚していない。生涯未婚率(50歳時の未婚率、2010年)も男は20.1%と、女性の倍だ。男性が60歳を過ぎた時、伴侶がいなかったらどうなるか? まず、自分の健康に不安が付きまとう。独身男性の死亡率は既婚男性よりもはるかに高いという調査結果もある。親の介護も始まっていよう。老老介護は体力的にも金銭的にもきつい。こうした事実を考えれば、男性はまずは結婚することがリスクヘッジになるし、共働きならなおさら経済的リスクは減少するだろう。

一方、予想より少ないとは言うものの、女子就活生のおよそ2割が専業主婦を望んでいることも気がかりだ。専業主婦志向の女子就活生にその理由を聞くと、

  • 「家事や子育てに専念したい」(50.7%)
  • 「親が共働きではなかったので自分もそうしたいと思うから」(15.3%)
  • 「家を守って家族を支えたい」(12.8%)

だという。

これも、子育てに専念できる位の高収入男子と結婚出来ればいいが、年収1000万円超の男性給与取得者の割合は5.8%しかない(国税庁・平成24年 民間給与実態統計調査結果による)という事実をしれば、如何にそれが困難かわかるであろう。

割合は違えど男子も女子も保守的な層は、多かれ少なかれ親の影響を受けているようだ。専業主婦の母親を見て育ち、自分もそんな家庭を築ければ、と無意識に思っているのではないか。しかし、高度成長時代と違って、今の経済状況下では、その願いは現実的でない事がお分かり頂けるだろう。

IT革命は企業の寿命を早める一方で、チャレンジする者に大いなるチャンスを与えた。

「早く地元に戻っておいで」「いつまでも親元に居ていいんだよ」と子供を甘やかすことは、子供のチャレンジ精神を削ぎ、チャンスを奪う事に他ならない。男の子であれ、女の子であれ、現代は、リスクを取らない事が最大のリスクだと、親は知るべきである。

(注1)マイナビキャリアサポート「2015年卒マイナビ 大学生のライフスタイル調査」

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