.国際  投稿日:2018/7/26

国会閉幕と朝日新聞の歯ぎしり

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古森義久 (ジャーナリスト・麗澤大学特別教授)

「古森義久の内外透視 」

【まとめ】

・国会に「立法」より「言論」活動を優先するよう求める朝日新聞。

・多数決の原理否定し、安倍政権打倒狙う朝日の露骨な政治目的。

・朝日新聞の言動こそ民主主義のルールを踏みにじる暴力的態度。

 

【注:この記事には複数の写真が含まれています。サイトによっては全て表示されず、写真説明と出典のみ記されていることがあります。その場合はJapan In-depthのサイトhttps://japan-indepth.jp/?p=41206でお読み下さい。】

 

あれっ、国会は「立法の府」ではないのか。「言論の府」なのか。

今国会が7月20日に幕を閉じたことへの朝日新聞の一連の記事に目を通して、いぶかった。朝日新聞は国会閉幕とともに、その国会が「森友・加計問題」の論議よりも立法を優先させたことがけしからんと、大々的なキャンペーンを展開し始めた。「森友・加計問題」で安倍晋三首相や安倍政権に大きな傷をつけることができなかったことへの悔しい歯ぎしりが伝わってくるような無理筋の紙面づくりである。

今国会の最後のセッションとなった参議院本会議は7月20日夜、カジノを含む「統合型リゾート(IR)実施法」などを成立させて、幕を閉じた。

▲写真 朝日新聞東京本社 出典 Photo by Kakidai

朝日新聞はこの流れに対して、まず7月21日の朝刊の第一面に「政権、答えず 国会閉幕」「カジノ法強引成立」「森友・加計解明せず」という見出しの大きな記事(リンクはWeb版)を載せた。その中心は見出しから明白なように、「森友・加計問題で安倍晋三首相が説明責任を十分に果たすことはなかった」と、もっぱら安倍首相の答弁の内容に非難のホコ先を向けていた。

朝日新聞のこの日の朝刊はさらに、中のページで「強引国会 最後まで」「対立法案数の力で次々成立」という見出しの記事(リンクはWeb版)を載せて、国会が一連の法案を通したことをすべて「強引」とか「強硬」という言葉で叩いていた。さらに別のページでは「憲政史上最悪の国会になった(立憲・枝野氏)」とか「政権は人の命より賭博優先だ(共産・志位氏)」という野党側のおどろおどろした一方的な糾弾の言葉を大きく紹介していた。

朝日新聞は要するに国会が立法活動を果たしたことが気に入らないというのだ。森友や加計の問題をもっと追及しなかったことがけしからん、というのである。いや、それらの問題の時間が足りなかったというよりも、安倍首相の対応がよくないと断じているといったほうが正確である。

▲写真 参議院予算委員会「内外の諸情勢について」集中審議(平成30年6月25日)出典 参議院ホームページ

国会の衆参両院での森友や加計の問題の論議が時間不十分だったというのは、あまりに無理な主張である。日本の国家や国民にとっての重要な法案を審議し、法律を成立させるという国会の最大使命を無視して、連日のように、地方の教育施設の開設の行政手続きをあれこれ、あれこれ、果てしのないような長さで論じるというのは国政に責任を持つ国会の職務怠慢だった。そう思った国民が圧倒的に多いことは各種の世論調査でも明白だった。

日本は北朝鮮の核兵器や弾道ミサイルの脅威にさらされてきた。日本固有の領土の尖閣諸島の日本領海には中国の武装艦艇が毎週のように侵入してくる。アメリカのトランプ政権からの貿易面での要求も切迫している。そんな重大課題をまったく取り上げずに、森友や加計の些細なあれこれに終始したのが今回の国会だったのだ。

だが朝日新聞は国会で森友や加計の論議にもっと時間を費やすべきだったと主張するのである。その種の主張を露骨に打ち出す一連の記事が毎日の紙面を埋め尽くすようなのだ。7月23日の朝刊には「安倍政権 疑惑解明されていないのに」「採決強行『言論の府』の危機」という見出しの記事(リンクはWeb版)が掲載された。

朝日新聞の主張に従えば、国会は「言論の府」なのだという。だが日本国憲法では国会は「国の唯一の立法機関」と位置づけられている。立法とは法律を作ることである。政府、国会、裁判所が行政、立法、司法という国家の三権であることは、中学校でも学ぶだろう。

だが朝日新聞は国会が「立法」活動を捨てて、「言論」活動をもっとするべきだというのだ。言論といっても森友と加計についてもっと語れ、論ぜよ、と求めるのである。

そして朝日新聞は国会が法案を審議して、表決をして、可決することも、すべて「強行採決」だと否定する。民主主義の根幹である多数決の原理も認めず、「強引」だと断じて、その結果が無効であるかのように扱う。これこそ少数派の乱暴な違法主張である。議会制民主主義の規則に従った多数による審議や決定を認めないのだ。

▲写真 通常国会閉幕を受け、首相官邸で記者会見する安倍晋三首相(平成30年7月20日)出典 首相官邸ホームページ

朝日新聞のこんな子供じみたスタンスの背後には、とにかく安倍首相、安倍政権を傷つけ、倒すという政治目的だけが露骨にちらついてみえる。だが今国会では朝日新聞と野党が組んで、必死になって「安倍たたき」「安倍倒し」を試みたが失敗に終わったといえそうだ。朝日新聞のこんな言動こそ民主主義のルールを踏みにじる暴力的な態度ということになりそうなのである。

トップ画像:IR整備法案を議決(平成30年7月20日)出典 参議院ホームページ

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この記事を書いた人
古森義久ジャーナリスト

産経新聞ワシントン駐在客員特派員、麗澤大学特別教授。1963年慶應大学卒、ワシントン大学留学、毎日新聞社会部、政治部、ベトナム、ワシントン両特派員、米国カーネギー国際平和財団上級研究員、産経新聞中国総局長、ワシントン支局長などを歴任。ベトナム報道でボーン国際記者賞、ライシャワー核持込発言報道で日本新聞協会賞、日米関係など報道で日本記者クラブ賞、著書「ベトナム報道1300日」で講談社ノンフィクション賞をそれぞれ受賞。著書は「危うし!日本の命運」「中・韓『反日ロビー』の実像」「トランプは中国の膨張を許さない!」など多数。

古森義久

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