「IR実施法案、参院で徹底議論へ」 熊野正士参議院議員
「細川珠生のモーニングトーク」2018年6月23放送
細川珠生(政治ジャーナリスト)
Japan In-depth編集部(石田桃子)
【まとめ】
・ギャンブル依存症などの懸念、十分な議論による対策が必要。
・人口減少の日本は、観光振興に力を入れるべき。
・参議院での審議は、国民にわかりやすい深い議論を目指す。
今月19日、「カジノを含む統合型リゾート(IR)実施法案」が衆議院本会議で可決された。国会は、1か月余り会期を延長して、参議院での法案審議を行うことを予定している。今回は、公明党の熊野正士参議院議員をゲストに迎え、IR法案について、政治ジャーナリストの細川珠生氏が話を聞いた。
■ ギャンブル依存症
まず、細川氏は、IR法案をめぐる議論の争点となっているギャンブル依存症について、懸念を示した。これを受けて熊野氏は、カジノの射幸性と、依存症への対策の必要性を認めた上で、検討されている規制について説明した。法案は、「一週間に3日、28日に10日」という他国にはない厳しい入場制限や、本人や家族の申請によって入場を禁止するといった措置を、対策として設けているという。
■ 特定金融業務
細川氏はさらに、カジノ事業者が利用者に金を貸し付ける「特定金融業務」について、ギャンブル依存を助長するものではないかとの懸念を示した。熊野氏は、「特定金融業務」は個人の資力に見合う額を短期返済を条件に無利子で貸し付ける仕組みであり、貸す側・借りる側両者に対して、非合理な額の金の貸借を抑制することができると述べ、理解を求めた。
■ IRの経済的効果
細川氏は、IR設置には懸念材料が多くあるにも関わらず、観光客誘致や景気浮揚効果への期待を重視することに疑問を呈した。これに対して熊野氏は、IRによって景気を回復、向上させたシンガポールや韓国の例に言及。人口減少が進む日本においても観光に力を入れて消費拡大、国の活力向上を目指すことが大切だと述べた。しかし、そのメリットが課題に見合うかどうかについては、議論の重要性を述べるにとどめた。
■ 参議院での議論
熊野氏の所属する公明党は、2016年12月、臨時国会でIR推進法が成立した直後に「ギャンブル等依存症対策検討プロジェクトチーム」を設置。IR推進法の議論によって表面化した、既存の公営ギャンブルへの依存症について対策の検討を開始。熊野氏も事務局長として深く関わった。
さらに2017年7月には、「IR実施法検討プロジェクトチーム」を設置するなどの取り組みを行ってきた。熊野氏は、これらを例に挙げて、公明党がどの政党よりも深い議論を行ってきたと述べ、参議院の審議においても、国民にわかりやすい、深く掘り下げた議論を進めていく考えを示した。
注:IRとは
「IRは、カジノのほか、国際園児場・会議場、劇場や遊園地といったアミューズメント施設、ホテルなどが一体となって運営される施設。」『朝日キーワード2019』朝日新聞出版
(この記事はラジオ日本「細川珠生のモーニングトーク」2018年6月23日放送の要約です)
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ラジオ日本 毎週土曜日午前7時05分~7時20分
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この記事を書いた人
細川珠生政治ジャーナリスト
1991年聖心女子大学卒。米・ペパーダイン大学政治学部留学。1995年「娘のいいぶん~ガンコ親父にうまく育てられる法」で第15回日本文芸大賞女流文学新人賞受賞。「細川珠生のモーニングトーク」(ラジオ日本、毎土7時5分)は現在放送20年目。2004年~2011年まで品川区教育委員。文部科学省、国土交通省、警察庁等の審議会等委員を歴任。星槎大学非常勤講師(現代政治論)。著書「自治体の挑戦」他多数。日本舞踊岩井流師範。熊本藩主・細川家の末裔。カトリック信者で洗礼名はガラシャ。政治評論家・故・細川隆一郎は父、故・細川隆元は大叔父。