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.政治  投稿日:2019/1/28

「レーダー照射問題、実務者協議打ち切り妥当」松川るい参議院議員


安倍宏行(Japan In-depth編集長・ジャーナリスト)

佐藤瑞樹(Japan In-depth 編集部)

編集長が聞く!」

 

【まとめ】

・レーダー照射は軍事当局間で処理すべきだが、日韓関係が破綻しておりできなかったのだろう。

・徴用工判決の具体的執行がなされる場合は対抗措置をとるべき。

・米朝会談は良い動き。米韓同盟の維持、米朝関係の改善が重要。

 

【注:この記事には複数の写真が含まれています。サイトによっては全て表示されないことがあります。その場合はJapan In-depthのサイトでお読みください。】

 

昨年末から日韓両国で懸念となっているレーダー照射問題。両国の主張は平行線のまま、ついに日本は実務者協議を打ち切った。このまま幕引きとなるのか。今回は参議院議員の松川るい氏に話を伺った。

 

レーダー照射問題について、松川氏は「本来なら軍事当局間で処理すべき問題。友好国間なら可能なはずだったが、徴用工判決をはじめ、日韓関係が破綻している中で起きたので、できなかったのだろう。」と述べ、実務者協議の打ち切りに関しては、「評価する。日韓関係が冷え込むことで利するのは中国と北朝鮮。世界に日本の正当性を伝えた上で幕引きを図ったのは妥当だ。」と話した。

 

一方、韓国に報復措置を求めるべきだとの声が強まっていることに対して松川氏は、「レーダー照射問題はこれで終わらせるべき。」とした上で、「不快の意を示すことは必要だが、制裁措置は具体的かつ差し迫った侵害がなされる時にすべきもの。よって、徴用工判決の具体的執行がなされるとなった時に行うべきだ。ただ、対抗措置は、韓国により大きな痛みを伴うものでなければあまり意味がないが、実際にできるものは少ない。韓国資産の差し押さえというが根拠法がないと難しいだろう。関税引き上げ・ビザの遅延等の措置はできると思うが、グローバル経済の中で制裁を行うということは、自国もマイナスを伴うということ。その覚悟なくして対抗措置はできない。例えばビザの遅延・停止という措置をとると、インバウンドに影響し、国内で困る人も出てくる。但し、実際に日本企業に対する差押えがあれば、(日本にとって)マイナスを伴っても(対抗措置を)やるべきなのではないか。」と述べた。

 

写真)松川るい氏

©Japan In-depth編集部

 

昨今の東アジアをめぐる国際情勢を踏まえて、松川氏は「日本は韓国と対立し続けることは避けるべきだ。日韓関係が悪化して喜ぶのは、中国と北朝鮮ぐらいなのだから。韓国は南北融和しか考えていない状況にあるが、朝鮮半島が日本にとって脅威とならないようにするために最大のレバレッジは、強固な米韓同盟が維持されることである。そのためには在韓米軍の存在が重要だ。」と述べた。

 

また、2月末に開催予定の米朝会談については、「良い動きだと思う。トランプ大統領には、第一に米韓同盟の維持、第二に良好な米朝関係を築いてもらうことが重要だ。北朝鮮の核が残る可能性がある以上、プランBは米朝関係が良好であることである。」と述べ、期待感を示した。

 

一方、「北朝鮮の核はゼロにはならないだろう。(トランプ大統領は)ICBMの廃棄やメジャーな核の廃棄などで自国への脅威がなくなれば良しとするかもしれない。しかし、核が完全に北朝鮮からなくならず、中距離ミサイルが残れば、日本にとっては脅威だ。それは東アジアの安全保障への脅威でもある。これをアメリカに常にリマインドすることが重要だ。」と述べた。

 

また、「トランプ大統領とアメリカのエスタブリッシュメントの考え方はそもそも異なる可能性がある。トランプ氏は朝鮮半島への関与は米国にとって何の意味もないと考えている可能性が高い。日本としてはアメリカが韓国から撤退するのは困るわけだが、同盟重視で朝鮮半島関与の意義についても理解があったマティス国防長官が辞任したこともあり、在韓米軍縮小撤退の可能性は高まっていると懸念している。日本の安全保障政策はそのような可能性も念頭に置きながら強化していく必要がある。」と述べた。

 

トップ画像:©Japan In-depth編集部


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