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未分類  投稿日:2019/3/15

「大阪W選に向け全力」日本維新の会幹事長馬場伸幸衆議院議員


安倍宏行(Japan In-depth編集長・ジャーナリスト)
大川聖(Japan In-depth編集部)
 

 

【まとめ】

・大阪都構想実現のためダブル選で民意を問う。

・府市のトップがねじれると政治が進まない。

・大阪都構想は、東京一極集中解消と地方分権のきっかけとなる。

 

【注:この記事には複数の写真が含まれています。サイトによっては全て表示されないことがあります。その場合はJapan In-depthのサイトhttps://japan-indepth.jp/?p=44679でお読みください。】

 

大阪府の松井一郎知事(大阪維新の会代表)と大阪市の吉村洋文市長(同政調会長)はともに任期途中の3月8日に辞職。4月の統一地方選にあわせ、大阪は府知事・市長が立場を入れ替えて出直しダブル選となる。4月7日に投開票。日本維新の会幹事長馬場伸幸衆議院議員に話を聞いた。

 

馬場氏はまず大阪都構想について「大阪維新の会の一丁目一番地の政策。今までの統治機構、行政のシステムを変えること。東京一極集中の是正、地方創生を具現化するためにまず大阪都構想からスタートする。」と述べた。

 

大阪都構想は、住民投票で決着を図る前に、「大都市制度(特別区設置)協議会」(通称、法定協議会)で議論される。(注1)

 

馬場氏は「今までは公明党と是々非々のお付き合いをしてきて、住民投票までは協力するという話があったにもかかわらず、秋で市長の任期が終わるのにその目途がたたない。公明党の協力を得るのは非常に難しいので、あと大阪維新の会が頼れるのは民意。」と述べ、大阪都構想を進めるために民意を問うためのダブル選との考えを示した。

 

安倍編集長は、「国政上の維新の会を存在意義を問う上でもW選は重要だという見方もあるが。」と聞いたのに対し馬場氏は「あまり関係ない」と答えたうえで「前回のダブル選の公約が大阪都構想の住民投票にチャレンジさせてくださいということだったが、任期の秋までにできないからだ」とダブル選を行うことで公約の実現を目指す考えを強調した。

 

安倍編集長は「公明党と合意が形成できなかったのは何故か」と聞いた。馬場氏は「 大阪都構想自体にはある時は賛成ある時は反対だったのに対し、住民投票することについてはサポートする、賛成するといっていた。ところが何故か住民投票すること自体も サポートが出来ない、協力は出来ないということになった。はっきりした理由はわからない」と答えた。さらに「大阪都構想に一番反対しているのは、自治体の仕組みが変わることによって議員バッチがなくなる可能性のある議員。その方々が中心になって無理やり巻き込んで反対するというのが実態。」と述べた。

(c)Japan In-depth編集部

 

4月の統一地方選で改選される議会の見通しについて、馬場氏は「 既に、府議会は過半数、市議会はちょうど半数の候補者を擁立している。」と述べ、過半数獲得に意欲を示した。一方、自民党は府知事選の候補者に小西禎一氏を推薦した。小西氏は橋本府政下で行財政改革のプロジェクトチームのリーダー、総務部長、松井府知事の下でも副知事を歴任している。馬場氏は「ずっと府の中枢で実務的なことをされてきた方が今となって(都構想を)間違っているというのは、自己否定、自分の能力のなさを示しているのでは」と疑問を呈した。

 

大阪維新の会の実績をみて、安倍編集長は「行財政改革は今のままでは難しいのか」と質問した。これに対し馬場氏は「このままでは限度がある。企業で例えると、東京都港区に本社があって隣の渋谷区に本店がある状態。企業ではありえない。一つにするだけで総務・管理的なコストダウンを図ることが出来る。」と答えた。

 

都構想反対派について馬場氏は「反対する議員は自分の保身のため。我々は大阪都構想をやるために立候補した人もいるので現実的にはできなかったということで今回引退する議員もいる。」と述べ、大阪都構想実現に向けて覚悟をもって取り組む姿勢を改めて強調した。

 

安倍編集長は「前回の住民投票も土壇場でネガキャンが行われたが、今回は」と聞くと、馬場氏は「今回も仮に住民投票が可能になったとしても、また反対派はとことんネガティブキャンペーンをやっていくだろう。市営住宅の家賃、水道料金、国民健康保険料が上がるといった、ありもしない同じパターンを繰り返してくるだろう。」と警戒感を示した。

 

安倍編集長が大阪都構想の関心の低さを指摘すると、馬場氏は「松井代表がよく言うのは『バーチャル大阪都』。府知事と市長両方お預かりしている時は、二人が何かをするという時は相談・協議して前に進める。指揮官が事実上一人になっている。その結果実績が出ている。交通インフラが出来たり、G20、大阪万博の招致が成功したりしている。ねじれると府市合わせ(編集部注:不幸せを揶揄した言い方)で喧嘩して生産的なことは全くできなくなる。指揮官が変わって元の木阿弥になることを阻止するために、制度として『大阪都』を成し遂げられるよう、議論していかなければならない」と述べた。

 

最後に、馬場氏は「大阪都構想の住民投票も憲法改正の国民投票も直接民主主義。前回の住民投票で一度経験してもらうことで大阪の民主主義がある意味レベルが上がって政治について真剣に考えるきっかけになっているのでは。」と述べ、政治への関心を高めるためにも民意を問う意義があるとの考えを強調した。

 

注1)大阪都構想のプロセスと法定協議会

大都市地域特別区設置法の規定では、

1知事、市長、府議、市議でつくる法定協議会で区割り等盛り込んだ制度案を作成

2府市両議会で制度案承認

3大阪市民対象の住民投票で過半数の賛成を得る

ことが必要。

維新は2015年、公明党が住民投票実施を容認したのを受け住民投票を行ったが、僅差で反対が賛成上回り否決。橋下徹市長は政界引退した。

法定協は20人で構成され、現在の構成は:

会長今井豊府議(大阪維新の会幹事長)議決権無し

維新       9人(知事、市長含む)

自民党     5人

公明党     4人

共産党     1人

で、反対派(自・公・共)が賛成派(維)を上回っている。

 

トップ写真)馬場伸幸衆議院議員

(c)Japan In-depth編集部

 


この記事を書いた人
安倍宏行ジャーナリスト/元・フジテレビ報道局 解説委員

1955年東京生まれ。ジャーナリスト。慶応義塾大学経済学部、国際大学大学院卒。

1979年日産自動車入社。海外輸出・事業計画等。

1992年フジテレビ入社。総理官邸等政治経済キャップ、NY支局長、経済部長、ニュースジャパンキャスター、解説委員、BSフジプライムニュース解説キャスター。

2013年ウェブメディア“Japan in-depth”創刊。危機管理コンサルタント、ブランディングコンサルタント。

安倍宏行

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