「躊躇せず消費税減税を」国民民主党代表玉木雄一郎衆議院議員
安倍宏行(Japan In-depth編集長・ジャーナリスト)
「編集長が聞く!」
【まとめ】
・野党統一会派結成。リアリティーのある対案を明確に示す。
・消費税減税含む家計第一の経済政策。国民の尊厳守る社会保障政策。
・在韓米軍撤退想定した安全保障戦略を。米中に加え英との関係を外交の軸に。
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■ 立憲民主党との統一会派
安倍: 衆参両院で立憲民主党との統一会派を結成する方針は、何とかまとまったようだが今後の課題は?
玉木: 私は(野党同士)力を結集することがずっと必要だと言ってきたし、一歩一歩そうなってきている。問題は、集まった上で何をするかだ。野党が結集して何を実現するのか、きちんと国民に示さなければ、結局、民主党への「先祖帰り」とか、「選挙目的の互助会」とか言われて終わる。課題はむしろこれからだ。
2つ大事なことがある。1つは、これは、ある種の民主党の再結集だから、民主党時代の悪かったことをきちんと反省し、国民にお詫びをすること。(もう一つは)その上で何か新しいことをする(が大事だ)。私は経済政策と、社会保障政策(をすること)だと思う。
憲法とか原発もちろん大事だが、国民にアンケート取ると憲法(への関心)は3%、原発だって高くない。国民の関心があまり高くないところで、違いを出そうといっても意味がない。
老後の不安や、日本の国際競争力が落ちていて賃金が上がらない。アベノミクスの限界が来ている。でも対案はどこからも出てこない。ここに対して野党が結集してしっかりと答えていく。
「私たちの方が本当に皆さんの暮らしを良くできるんだ」と言うリアリティーのある対案を明確に示すことが、(野党)結集の中で求められる1番大事なことだと思う。逆にそれができなければ、国民からはやはり足元を見透かされるだろう。
結集した上で、アベノミクスに代わる経済政策や、みんなが将来不安を感じている社会保障改革、こういう、まさに国民の懐に響く話をきちんと出せるかどうか、それが1番問われていると思う。
安倍: そのことは、立憲民主党の枝野代表も理解している?
玉木: 理解してくれている。一緒に税制や経済政策をきちんと出していこうという話をしている。そう遠くないうちに、アべノミクスの対案としての経済政策を出していきたい。
■ 「リアリティーのある対案」
安倍: 政策提言の目玉は?
玉木: やはり、消費税増税をやってはだめだということ。
安倍: れいわ新撰組の山本太郎代表の主張と同じようだが?
玉木: 私が今回参院選で訴えたのは、家計第一の経済政策。経済の好循環の作り方を180度変えなくてはいけない。基本的に、お金が回らないと好循環は生み出せない。私は、企業が儲かることや景気回復など、(いわゆる)経済成長は否定しない。やはりある程度経済成長は必要だし、良くならないといけない。
ただ、今までは、経済の好循環のスタート地点が常に大企業だった。輸出関連企業が豊かになれば、中小企業が良くなって、労働者も良くなって、地方も良くなって、というように循環すると考えていた。しかし、(家庭には)なかなか恩恵がいかなかった。(安倍政権は)「しばらくお待ちください、道半ばです。」とずっと言い続けている。いつまで「道半ば」なのか。
安倍: アベノミクスもとうとう7年目になってしまった。
玉木: (アベノミクスには)いくつか限界がある。企業業績は確かに過去最高になった。しかし、いくら企業が稼いでも、内部留保が積み上がるばかり。稼いでもその果実は、株主に配当として行く。また、自社株買いで株価は上がり、既存の株主は儲かる。でも働く人にはお金はいかない。
設備投資は、国内市場が縮小しているから、海外へ行く。また、上場企業の株主の多くは外国人だから、稼いでもお金が外に流れていく。さらに上場企業の筆頭株主の4割は日銀だから、政府に還流して、働く人に分配がいかない。労働分配率は、安倍政権になってからどんどん下がっていて、今43年ぶりの低さだ。働く人にお金が行かなくなっている。
それを変えるためには、好循環のスタート地点を大企業ではなく家計にする(事が必要)。可処分所得を増やして家計の消費する力を上げない限り、好循環にはならない。家計を徹底的に豊かにすると買う力ができ、もの買う力があれば初めて企業はモノを売ることができる。買う力がないところにいくらもの作ったって、過剰供給になってデフレが進むだけ。だから、もう一回家計を温める。そのためには、消費税を上げることを止めることだ。
子育て支援や老後の不安対策についても、家計の可処分所得を増やす政策、つまり、出ていくものを減らして入ってくるものを増やす政策を徹底的にやるしかない。そうして初めて経済が回り始める。
また、米中貿易戦争は覇権争いだから1年や2年では終わらない。10年単位だろう。経済は外需に耐えられなくなっていく。もう鍵は内需しかない。そうなると、GDPの6割を占めている消費を、とにかく落ちないように、あるいは活性化するように、全てを注ぐしかない。
安倍: では、消費税増税なんてとんでもない、減税すべきという立場?
玉木: 私は、リーマンショック級の本当に大きな景気の落ち込みがひょっとしたら来るかもしれないと思っている。リーマンショック以降100ヶ月位拡大拡大で来ているから、次のショックもでかいと思う。それは早ければ、今年の年末か来年来ると思う。その時には、躊躇なく消費税減税するべきだ。消費にマイナスな事は徹底的に止める。消費にプラスなことは徹底的にやる。基準はこのたった一点。
私は、消費税を上げない、減税する。加えて、国債発行してでも、子育て、特に教育費の負担や、住居費の負担をやったらいいと思う。今も住宅ローン減税はあるが、若い人でローン組めない人もたくさん出てきている。賃貸住宅に住んでいる世帯は1500万ある。住宅の取得に関しては様々な支援があるが、賃貸住宅に住んでいる人への支援はない。生活保護を受給するようになって初めて支援があるが、普通に暮らしてる人の賃貸住宅の家賃補助支援はない。これもやったらいいと思う。
今まで手が届かなかったところをしっかり支援する。日々の生活が大変な人が増えている。そこを応援することが1番だと思う。例えば、シングルマザーやシングルファーザーの半数は、子供が相対的貧困の中にいると言われている。そういうところは徹底的に応援する。尊厳ある生活を保証することが国家の責務だ。
所得の低い人を(支援すればお金は)貯蓄に回るより、消費に使われるので消費が活性化される。いくら企業を豊かにしても、普通の人には回らない仕組みになっているということが明らかになった。
私は、経済の好循環を作る政策は否定しないが、スタート地点を大企業ではなく家計にしろ、と。まず法人税減税して、輸出企業を豊かにして、トリクルダウンでみんなにまわす、というのはもう無理だから。
本人も言わなくなった。あんなに言っていたのに。
■ 発信力
安倍: 新聞には、原発問題や選択制夫婦別姓、同性婚などをめぐる野党間の意見対立を取り上げた記事が目立つ。野党共闘に向けた前進の足取りを発信するべきでは?
▲写真 ©Japan In-depth編集部
玉木: メディアの皆さんは、質問がワンパターンになっていて、「ネタがないのか」という話。そんなものは野合だと言われるし、実際野合だが、我々自身が大義を作って国民に皆さんのために力を合わせる、と言わないと。
安倍: 参院選において、野党は九州で野党候補者の一本化に失敗した。れいわ新撰組やNHKから国民を守る会が新たに結党し、一定の票を集めている。このことを脅威と感じているか?
玉木: 脅威というよりは、ものすごく学んだ。本来は我々がああいうことをやらなければいけなかった。今の生活を変えてほしい、今の安倍政権の経済政策を変えてほしいという声があった。我々はそれを受け止めたつもりでいたが、国民には、「野党間で何か争っていて国民の事なんかそっちのけじゃないか」と思われた。山本さんはちゃんとそこを受け止めた。既存政党は猛烈に反省しないといけない。
NHKから国民を守る会とれいわ新撰組は、1つ共通点がある。2つとも家計負担の軽減を話している。一方は、NHKのスクランブル化。一方は奨学金チャラや消費税ゼロ。いずれにせよ家計負担をもっと軽減できるんじゃないかということを明確に言って、そのことに響いた層がいた。我々も同じ様な事は言ったが、エッジの効き方が弱かった。何より、自分たちのために喧嘩して国民を見てないと思われたのは反省すべきところだ。
■ 防衛政策
安倍: 韓国・文在寅政権は先月、日本との軍事情報包括保護協定(GSOMIA)を破棄。「反米援北」の姿勢を鮮明にした。韓国をホワイト国から除外した日本に、これ以上できることはないように思える。日本は今後、防衛に関してどのように取り組むべきか?
玉木: 韓国は歴史的に見ると、地理的に見ていろんな国の影響を受けながら存在してきた国なので、我々からしてみたら今回のことは非常に残念なことだ。日米韓の連携がないと、北朝鮮や中国、ロシアが喜ぶだけ。こういった事は、私はいろんなルートを通じて韓国の与野党の議員にしっかり伝えてきた。
韓国は常に時の地政学的な変化に敏感に立場を決めている。今の文政権は、大きな歴史の流れの中でとらえる必要がある。圧倒的にアメリカが強くて、その同盟国として日本があるときには、日米韓の連携の中で、戦後の歴史を作ってきた。
今では、中国が圧倒的に強くなり、北朝鮮は存続をかけてアメリカとディールをしている。その中で韓国は、今まで以上に、中国に軸足を移さざるを得なくなっている。保守派の政権に代わったとしても、これは変わらないのではないか。
日本は、日米韓の連携で押し戻した大陸の影響が、38度線から対馬海峡まで降りてきて在韓米軍が退く、という事態を想定し、防衛・安全保障を考えていかなくてはいけない時代に入ってきている。
安倍: ホルムズ海峡付近で日本などのタンカーが攻撃を受けた際、トランプ米大統領は「自国で防衛すべき」と述べた。現在、日本の防衛費に大きな増加は見られない。日本は考え方を改めるべきか?
玉木: 一定程度、自主防衛の力を強めていくことが必要だと思う。しかし、それを全て防衛費の増強だけに頼っていては限界もある。やはり外交は大事。その意味ではもちろん韓国とどう向き合うかは大事だが、むしろ日中関係がすごく大事だと思う。結局韓国も中国の影響を向けていろんなポジションを決めていくようになる。
日中関係をうまく回していくためにも日米のより緊密な連携が必要。
日本は、中国とアメリカという、2つの大国に振り回されるような時代になってきている。安全保障的にはアメリカだけれども、経済関係では中国が離せない。かつ地政学的にも、北朝鮮や韓国を考えるときには、中国ときちんと結んでおく必要がある。
■ 21世紀の日英同盟
(アメリカと中国の)どちらにつくか、振り回される可能性がある。
その時に、日本はもう一つの外交的な軸をちゃんと持っていなければいけない。それは、イギリスとの関係。
私は21世紀の日英同盟を結べば良いと思っている。イギリスだけでなく、大英帝国の支配下にあった国々との関係を。ニュージーランド・オーストラリア・シンガポール・インド・カナダ。ここは安全保障上も極めて重要な地域だし、それらの国を入れるとGDPもそれなりに大きい。かつ成長著しいインドが入っている。
インド太平洋戦略というのは、アメリカとだけ組み立てるものではない。米中だけでは捉え切れないもう一つの軸を、イギリスときちんと結ぶことによって(持つ)。イギリスも多分大歓迎だと思う。日本を経由して日ーEUでEUにアクセスできる。日本が新しい外交の軸をもう一つ提案していくと言うことが多面的な外交をしていく上では必要だと思う。
単に韓国との関係をどうするか、ということだけではなく、その先に日中関係、さらには日米関係を考える。米中だけではなく、もう一つ軸を入れることによって、多面的で多層的な外交ができる。そのようにして影響力を発揮しながら、外交と最低限の自主防衛を高めていくことの組み合わせでこれからの新しい変化の時代に備えて行くと言うのが現実的なアプローチだと思う。
安倍: EUは経済的にも防衛的にも大事。そして今、ボリス・ジョンソン英首相に、トランプさんが秋波を送っている。
玉木: EUはものすごく大事。既存の枠組みやルールが一旦全部リセットされるのではないかという時代だから、日本から積極的な外交構想を持って新しい世界の秩序を作って行かなければいけない。
現在は、ある種ブロック経済化している。今風に言うとデカップリングだ。アメリカの影響を受ける経済圏と中国の影響を受ける経済圏に分かれていっており、日本は股裂きになる。その時にもう一つの軸を持っていないとダメ。私はイギリスと英連邦との間で1つ持つと言うのがすごく大事ではないかと思っている。
■ 憲法問題
安倍: さて憲法問題。国民の関心は低いとは言うものの、前に進めないわけないわけにはいかない。国民民主党は憲法審査会には前向きだが、立憲民主党がなかなか首を縦に振らない。憲法改正の発議に審査会の全会派一致を必要とする原則を、緩和すればよいという意見もある。もしそういう呼びかけが自民党からあった場合について、どうするか?
玉木: 我々はずっと言っている事は同じ。まずは前の前の通常国会から積み残しになっている国民投票法について、議論をきっちりやる。我々は政党の中で唯一対案を出しているCM広告規制や我々の対案も含めて、しっかり議論をしてもらいたいので、1日も早く議論を再開してもらいたい。
ただ、(憲法審査会の開会ルールについては)、中山太郎先生の時からずっと伝統がある。与野党がしっかり合意して、静かな環境の中で議論をしていこう、というルールを丁寧に作ってこられた。まずは野党第一党と自民党の間でそういった環境を整えてもらいたい。我々はいつでも議論したいと思っている。ただ、ワイルドに行こう、とか議長を変えろ、とかとんでもないことを言うから、こっちもなかなか応じられなくなる人が出てくる。
自民党側にもそういったちょっと軽はずみな発言や、野党を逆なでするような事は控えていただきたい。一方で野党側もいたずらに審議拒否するのではなくて、憲法審査会の中で冷静で丁寧な議論を積み重ねていくことが必要だと思う。
中身の議論も、我々は全然否定しない。いわゆる改憲4項目、特に9条の改憲については、私はずっと問題ありと言い続けている。中身には納得しない。反対だ。ただ議論はする。だから強引にやるような事はやめてくれと。私は憲法について丁寧な議論ができる環境になったのかなと思っている。なぜかと言うと(自民党、公明党、日本維新の会の合計議席が)3分の2を割り込んでいるから。
力で押し切ろうと思っても、少なくとも我々の合意を得ない限りは進められない。丁寧に理解を得ながら議論を進めていくというある種絶妙な状況が作り出されたのではないか。
安倍: 憲法審査会を開き議論をする素地はできた。それでも開かれない場合は?
玉木: 議論をちゃんとやらないと、野党の側にも世間から批判が来るということを私はひしひしと感じている。みんな安倍さんの強引なやり方には反対だと。でも審議拒否ばっかりしている野党も税金泥棒なんじゃないか、と。
安倍: 野党統一会派結成の際には、憲法審査会で議論に応じる方針について合意したか?
玉木: する。今までであれば、(議論に)乗ってしまえば、そのまま押し切られてしまう。「審議終わりました、採決。」と持っていかれる心配があった。今回は、われわれの合意を得ない限り進められない。だから出て行って、相手の論点でおかしいところは、徹底的に論争を通じて相手のおかしいところを明らかにしていくこと、またそれを国民の皆さんにわかりやすく伝えることが、国民の求めている本当の憲法議論ではないかと私は思っている。それがやっとできるようになったから、野党もちゃんと議論すべきだと思っている。
安倍: 憲法審査会が開かれる可能性はあると?
玉木: あると思っている。
安倍: それは期待したい。
■ 日本維新の会との関係
玉木: 日本維新の会も、ある意味自民党としっかり対峙すると言うことであれば、私は野党勢力の1つとして協力できるところは協力していけば良いと思っている。ただ、(維新の会は)予算案に賛成したり、不信任案を否決したりするから、やっぱり与党なのかなと思ってしまう。(与党に対して)是々非々でやっていくことは否定しないし、日本維新の会のおっしゃっている事の中でうなずけることもある。協力できるところはしたいが、単なる与党補完の勢力なのかというところは見極めないと。
日本維新の会に聞きたいのは、本当に自民党・安倍政権に変わる政権を樹立すると言うのであれば、どうやってそれを目指すのか。日本維新の会だけではできないと思う。ある程度野党をまとめなければいけない。そういうときには我々も連携できる連携をすればいいと思う。ただ、今は一体どちらに行かれようとしているのか分からないので、判断しかねる。
■ 都知事選挙
安倍: 少し気が早いが、来年の都知事選について。野党としてどうに考えているか。
玉木: 一義的には、野党第一党がどういう候補を出すかということが重要だと思うが、我々としてはまだ未定。小池百合子現知事を二階自民党幹事長が推すという話もある。だから、そもそも小池さんは国政与党陣営なのか国政野党陣営なのか良く分からない。そういったところも見極めながら、候補者の擁立に向けた動きは、ある程度野党が連携して進めていかなければいけないと思う。
■ 共産党との関係
玉木: 私は、今のままの共産党と政権を一緒にする事は難しいし、国民もなかなか理解しないと思う、と率直に申し上げている。なぜなら自衛隊を違憲だと言ったり、天皇制をなくせと言ったり、日米安保を破棄しろと言ったり、というのはどう考えても現実的ではないと。参議院選挙の時はともかく、衆議院選挙で政権をかけた選挙の時に、天皇をなくせとか、日米同盟をなくせと言っているその塊に託そうとは思わない。私も含めて。
本当に連立政権のようなことを考えるのであれば天皇制、日米安保、そして自衛隊の合憲性についてはやっぱり考え方を変えていただかないとできません。私は共産党にも変わってもらう機会にしていかないといけないと思う。我々が天皇制反対とか自衛隊違憲とか日米同盟破棄のほうに行けるわけがない。
共産党を現実化すれば良い政党になると思う。昔に比べればだいぶ変わってきた。少なくとも新天皇が即位したときの祝詞は、全会一致で共産党も賛成して決めた。やはり政治は時間の関数だから、時代とともに変わっていく。また、変わらなければいけない。
安倍: その変化が一般の人にも見えるようにしていかなくてはいけない。選挙の時は動画やネット戦略にもだいぶこなれてきた。
玉木: 今回(の選挙)は多分、日本で初めてネットがリアルな議席数や政治勢力に影響を与えた選挙だ。やはり私はYouTubeとTwitterだと思う。動画をいかに拡散させたかが、勝敗にある程度相関を持つようになってきている。10代、20代の若い人が私の応援会場に来てるので、「何見てきたの?」と聞いたら、YouTubeの「たまきチャンネル」見て来た、と。
■ これからの戦略
玉木: 単に立憲民主党に吸収されるだけだと面白くない。中道・穏健・保守までをまとめて、このゾーンをちゃんと取らないと。左に左に寄っていったんでは、そんなのは今若い人は全然期待していない。
安倍: 最初は、エッジが効いているように感じたが、反対ばかりではジリ貧になる。
玉木: 新しい政策を国民民主党からバンバン出す。特に経済政策。私は、消費税廃止だってできると思う。他の税を作らないといけないが。法人税を外形標準課税的にして少し課税ベースを変えればいくらでもできる。消費税は、最後は消費者に転化すると言うから消費がすごい冷や水をかけられる。売り上げを課税標準とした第二法人税的に取れば、かなり消費に対するマイナスは弱まる。完全目的税化しても、それは年金の財源にしか使えません、とか言えば(良い)。
もわっと社会保障と言っても、ほとんどを赤字国債の発行抑制に回しているから、プラスのメリットを感じられない。増税分は全部年金の増額にあげますとか、それくらい一対一関係で分かりやすくして、最低限生きていくだけのお金は全員に保証しますというくらい言わないと、増税はできない。
明確な政策で。ぼやっとしてはだめ。それは、NHKから国民を守る会から学んだ。「受信料を下げる!」のように、5秒で言える政策でないと、野党は最初の引っかかりができない。
(このインタビューは2019年8月29日に行われたものです。)
トップ写真:©Japan In-depth編集部
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この記事を書いた人
安倍宏行ジャーナリスト/元・フジテレビ報道局 解説委員
1955年東京生まれ。ジャーナリスト。慶応義塾大学経済学部、国際大学大学院卒。
1979年日産自動車入社。海外輸出・事業計画等。
1992年フジテレビ入社。総理官邸等政治経済キャップ、NY支局長、経済部長、ニュースジャパンキャスター、解説委員、BSフジプライムニュース解説キャスター。
2013年ウェブメディア“Japan in-depth”創刊。危機管理コンサルタント、ブランディングコンサルタント。