「低所得者向け還付制度導入を」桜井充参議院議員
細川珠生(政治ジャーナリスト)
「細川珠緒モーニングトーク」2019年10月19日放送
Japan In-depth 編集部(坪井恵莉)
【まとめ】
・増税対策として低所得者向けの還付制度を。
・中古住宅市場の拡大など住宅制度改革が必要。
・『子ども貯金』など教育費の無償化に向けた取り組みを。
今回は、参議院議員で元財務副大臣の桜井充氏をゲストに招いた。増税対策や住宅制度、教育制度、更には自身の今後の政治活動について政治ジャーナリストの細川珠生が話を聞いた。
■ 低所得者への対策
細川氏はまず、消費税増税の中で国民生活に対して行うべきことは何か尋ねた。桜井氏は「低所得者対策の練り直しをしなければならない」という考えを示した。具体的には低所得者に向けて支給する還付制度を導入する必要があり、「高額所得者にはそれなりの負担をしていただく必要がある」と述べた。
現在導入されている軽減税率やポイント還元制度はいずれも所得制限がないことに触れ、桜井氏は現在の対策は「十分ではない」と批判した。こうした還付制度について、従来までは「所得の捕捉が不十分」といった問題があるが、「マイナンバー(制度)で所得の把握は出来るようになっている」として、将来的には所得に応じた税制の導入が必要との考えを示した。
細川氏は、日本が早急に取り組むべき問題について桜井氏に聞いた。桜井氏はまず、「国民負担率をどこまで(上げることが)可能なのか議論をしなければならない」と述べた。背景には、日本の国民負担率が現在45%ほどで、欧米諸国に比べて低いことがある。国民負担率を上げるための施策として桜井氏は、住宅制度改革と教育制度改革を上げた。
■ 住宅制度改革
桜井氏は日本の中古住宅市場は住宅市場全体の15%なのに対して、イギリスは88%、アメリカは89%、フランスは66%であると紹介し、欧米諸国は「金融資産として(住宅を)持つことができる」と述べた。これに加えて桜井氏は「住んでいる家がマイナス査定になるのは日本だけ」であり、「新築でなければ建て替える」という日本人の発想を転換させることが必要だとの考えを示した。
住んでいても価値が下がらず「住宅を作ったらそれが老後の生活資金」にできるように、リバースモーゲージなども含めた住宅市場制度の抜本的改革が必要だとの考えを示した。
リバースモーゲージについては、「土地(の価格)はかなり上下することがある」と述べ、これについては国が保証をつけたり、住宅を建てる時から査定を行うことで銀行が安心して融資を行える環境を作るべきだと述べた。
▲写真 ⓒJapan In-depth編集部
■ 教育制度改革
2つ目にあげたのは教育のコストである。桜井氏は日本の教育コストが高いことを指摘し、教育費を無償にするなど「社会全体のありよう、金の流れを変えていかないと何ともならない」と述べた。また、様々な補助金の有効性にも疑問を示した。そのうえで、「子どもが1人生まれたら1000万円か2000万円くらいの『子ども貯金』を作れば良い」として、そこから保育費、給食費などの教育費用を天引きする制度を提案した。
桜井氏は「最初に2000万円を支給するのではなく、使うのは毎年毎年」にすれば、「いっぺんに何十兆円出します、という話にはならない」と述べた。その上で「細かい補助金を整理して、(教育支援制度を)シンプルにしていった方が良いのではないか」という考えを示した。細川氏も現状の制度は「公のものを使った人と使わなかった人で不公平感が生まれる」と改革の必要性に理解を示した。
■ 自身の国会活動について
桜井氏は、国民民主党を離党し無所属となったことについて「自分の力を一番に発揮できる場所はどこなのか考えた結果」だとし、「来年から再スタート」するつもりだと述べた。一部のメディアで報じられている自民党への加入については「否定しない」と答えた。
これに対し、細川氏が「自民党政治にアンチでやって来た。抵抗はないのか」と尋ねると、桜井氏は「全くない」と述べた。桜井氏は、そもそも「自民党を否定してきていない。政策がおかしいと言ってきた」と述べた。そのうえで、自民党の政策について「外から言ってきたが、結局変わらない」と述べ、「(自民党の)中に入って変えていくのは、今までと(立場は)全く変わらない」という考えを示した。
(この記事はラジオ日本「細川珠生のモーニングトーク」2019年10月19日放送の要約です)
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この記事を書いた人
細川珠生政治ジャーナリスト
1991年聖心女子大学卒。米・ペパーダイン大学政治学部留学。1995年「娘のいいぶん~ガンコ親父にうまく育てられる法」で第15回日本文芸大賞女流文学新人賞受賞。「細川珠生のモーニングトーク」(ラジオ日本、毎土7時5分)は現在放送20年目。2004年~2011年まで品川区教育委員。文部科学省、国土交通省、警察庁等の審議会等委員を歴任。星槎大学非常勤講師(現代政治論)。著書「自治体の挑戦」他多数。日本舞踊岩井流師範。熊本藩主・細川家の末裔。カトリック信者で洗礼名はガラシャ。政治評論家・故・細川隆一郎は父、故・細川隆元は大叔父。