「新型コロナウイルスから命を守る」 木原誠二衆議院議員
細川珠生(政治ジャーナリスト)
「細川珠生モーニングトーク」2020年4月4日放送
Japan In-depth編集部(髙橋十詠)
【まとめ】
・自民党、新型コロナウイルス経済対策として(1)GDP10%以上の規模(2)時期を分けた対策(3)現金給付を提言。
・現金給付の開始は6月頃になる見込み。
・感染症対策は国民全員の協力あってこそ。
新型コロナウイルス感染者の急増が懸念される中、政府は一刻も早い対策が求められている。今回は、自民党衆議院議員で自民党新型コロナウイルス関連対策本部の本部長代理である木原 誠二氏をゲストとして迎え、政治ジャーナリスト細川珠生が話を聞いた。
まず木原氏は、自民党の提言として、以下の2点をあげた。
・コロナウィルスから命を守る。
・経済の苦境から命を守る。
後者について木原氏は、それは「雇用を守る」ことであり、そのために「企業と需要を守る」ということであるとした。対策のポイントとして木原氏は以下の3点をあげた。
(1)規模
リーマンショック以上の経済対策が必要とされる。具体的には財政で20兆円、民間の様々な事業をいれて60兆円、現在日本のGDPが500兆円ちょっとであるから、「GDPの10%以上は対策をすべき」だと木原氏は述べた。
(2)時期を分けた対策
最初は感染拡大期、次に反転攻勢期(V字回復期)、そして中長期。木原氏は「なんでもかんでもごちゃまぜにやっても効果がないので、しっかり3つの時期に分けてやっていく」ことがポイントだと示した。
(3)キャッシュを届ける
木原氏は「このような危機時は手元にお金があるというのが重要」であるとし、しっかりキャッシュを届ける意向を述べた。
これに対し細川氏は、国民の関心度が高い現金給付と消費税の減税についてどのような議論があったのか聞いた。これに対し木原氏は以下のとおり説明した。
■ 現金給付について
現金給付は確実に実行するという。
「ただし現金給付を一律皆に数万円とやるよりは、本当に困っている人にむしろその分を多く渡し支える方が良い」と木原氏は述べた。
理由としては、感染の拡大防止時、経済活動は縮小する。活動自粛を呼びかけている今、国民全体に広く現金を配布したところで、使い道がかなり限られている。さらに経済活動の縮小により失職し、生活困難な人が現れる。その人たちの生活を確実に支えるには、それなりの金額を渡す必要があるからだと木原氏は述べた。
また、今回は事業者や企業にも現金給付(調整金)する意向を示した。これまでの対策はお金をより借り易くする、無利子、無担保、無保証の融資であった。しかし、現場からすれば無利子であっても融資は融資である。
「そういう意味では、返さなくていいお金というのはどうしても必要になる。」と木原氏は指摘し、今回特にダメージを受けた企業や事業者に、10兆円を超える規模で調整金を出すことを表明した。
▲写真 ©Japan In-depth編集部
■ 消費税減税について
消費税減税をすべきとの声は強い。なぜ実施に踏み切れないのか。
木原氏は「消費税は税収の中で一番大きく、社会保障や子育て、教育などに使用されており、国の生活を支える膨大な税金だ。従って、なくすわけにはいかない」と述べた。
「一時的な減税」も厳しいのだろうか。
木原氏は、「我々は今回なるべく早めに有事のモードから脱却して平時に戻りたい。消費税は、駆け込み需要とその反動減が繰り返し起きる税金だ」と、減税時の効果はあるものの平時に戻すタイミングが難しいとの考えを示した。
現金給付に当てる金額が10兆円というのは、消費税5%分が大体10兆円相当であるからである。木原氏は、「(消費税)5%は下げないが、5%分国民の皆さんにお返しして、使って頂こうという意味だ」と述べた。
次に細川氏は、「生活が困難になる人たち」の対象者を絞るのに、どのくらいの期間を見込んでいるのか聞いた。
木原氏は、ゴールデンウィーク前後に予算がまず成立し、その後自治体が6月ごろ議会に諮るというプロセスを踏むことを説明し、国民全員に現金を一律に給付するには時間がかかることを改めて強調した。
したがって、現金給付は早くても8月、9月頃になるという。マイナンバーが普及していないが故、国民の住所や世帯単位の情報、銀行口座などの情報を保持している自治体に実行してもらうしかなく、それを国民全員に知らせるために1回は申請書を送る必要がある。それだけで3,4ヶ月はかかってしまうという。したがって「今回は困っている人に手を挙げてもらい、こちらからお知らせする」ことで時間を短縮する考えを示した。
反転攻勢期に旅行券や賑わい補助金を出し地域活性化を目指すことについて、細川氏は、使途が限定された対策で得られる効果についてどう考えているのか訪ねた。
木原氏はその目的として以下2点を答えた。
(1)皆に消費を喚起してもらうもの
使途は関係なく、とにかくお金を使ってもらう。別途現金給付や、デジタル商品券、キャッシュレスによるポイント還元など、幅広く実施しても良い。
(2)業界限定のもの
新型コロナウイルスで最も影響を受けている業界、業種(ホテルや旅館、観光業、飲食店、イベントなど)に使ってもらうもの。
木原氏は「全国民、全業種が皆等しく傷んでおり、それなりに我慢も協力もしている」と述べた。
最後に細川氏は、東日本大震災時に行った「国会議員の給料を10%返上し、対策費に当てた」ことに言及し、今回行われる予定はないのか聞いた。
これに対して木原氏は、「感染症対策は国民全員の協力がないとできない。国民皆さんの行動にかかっている。それを理解してもらうために我々が身を削ることは大切なことだ」と述べた。
(この記事はラジオ日本「細川珠生のモーニングトーク」2020年4月4日放送の要約です。)
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ラジオ日本 毎週土曜日午前7時05分~7時20分
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この記事を書いた人
細川珠生政治ジャーナリスト
1991年聖心女子大学卒。米・ペパーダイン大学政治学部留学。1995年「娘のいいぶん~ガンコ親父にうまく育てられる法」で第15回日本文芸大賞女流文学新人賞受賞。「細川珠生のモーニングトーク」(ラジオ日本、毎土7時5分)は現在放送20年目。2004年~2011年まで品川区教育委員。文部科学省、国土交通省、警察庁等の審議会等委員を歴任。星槎大学非常勤講師(現代政治論)。著書「自治体の挑戦」他多数。日本舞踊岩井流師範。熊本藩主・細川家の末裔。カトリック信者で洗礼名はガラシャ。政治評論家・故・細川隆一郎は父、故・細川隆元は大叔父。