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.国際  投稿日:2020/7/19

中国の香港への横暴を許すな


安倍宏行(Japan In-depth編集長・ジャーナリスト)

【まとめ】

・「香港国家安全維持法」今月施行、立法会議員選挙立候補受付開始。

・「国安法」に反対する国際的な動き、加速。

・日本でも超党派議員連盟発足。香港市民へのサポート政府に求める。

 

香港国家安全維持法」(以下、国安法)が7月1日に施行され、中国による香港への統制が強まる中、今年9月6日に行われる立法会議員選挙に向け、18日から立候補受付が始まっている。

▲写真 香港立法議会 出典:Tksteven

立法会の定数は70で、昨年の区議会選挙で大勝した民主派は議席過半数を目指しているが、民主派の候補者の立候補を選挙管理当局が認めない可能性があり、緊張が高まっている。

▲写真 民主活動家の黄之鋒(Joshua Wong)氏(左)と周庭(Agnes Chow)氏(右) 出典:@joshuawongcf

■ 「国安法」に反対する国際社会の動き

「国安法」成立の動きをにらみ、国際社会の動きは速かった。6月4日には「対中政策に関する関する列国議会連盟: Inter-Parliamentary Alliance on China、IPAC」が結成された。政党や国境を超えた議会人の連帯で香港市民を支え、基本的人権と国際秩序を守る国際的な枠組みだ。

米国、英国、豪州、フランス、ドイツ、イタリア、カナダ、チェコ、スイス、欧州議会、日本、リトアニア、オランダ、ニュージーランド、ノルウェー、スウェーデン、ウガンダの17カ国の議員が参加している。日本の参加者代表は自民党中谷元元防衛大臣と、国民民主党山尾志桜里議員が務める。

両氏は、7月1日、在日香港人民主運動グループ「香港の夜明け」の緊急記者会見に臨んだ。香港人3名はマスクをしたり、パーカのフードをかぶったりして登場、海外においても反中国的な活動をすることが如何に危険か、訴えた。

▲写真 記者会見をする在日香港人民主化グループ「香港の夜明け」メンバー 202年7月1日 衆議院議員会館にて ⒸJapan In-depth編集部

中谷・山尾両氏と共に自民党山田宏参議院議員も参加した。山尾議員は「国際社会が声を上げるべきであり、内政干渉に値しない」と述べた。

▲写真 在日香港人による緊急記者会見に臨む中谷元議員、山田宏議員、山尾志桜里議員 ⒸJapan In-depth編集部

■ 中国の領海侵犯、過去最長

こうしている間にも、中国は日本への領海侵犯を繰り返している。尖閣諸島周辺で中国公船が確認されるのは7月18日で「96日連続」という異常さで、2012年9月の国有化以降、最長日数を更新中だ。

▲図 尖閣諸島周辺海域における中国公船等の動向(接続水域内確認隻数) 出典:海上保安庁

▲写真 尖閣諸島魚釣島屏風岳 出典:国土地理院

こうしたことを受け、自民党外交部会は、政府が進めている習近平国家主席の国賓訪日の中止を求める決議文を7月8日に官邸に提出した。(関連記事:「習主席来日反対決議で日本の意志示せた」自民党外交部会会長中山泰秀氏

中山泰秀自民党外交部会長は、Japan In-depthのインタビューの中で、「香港から脱出する人が日本に来た場合、対諜報戦の観点も踏まえた上で、その人を支援するための知恵を、政府には積極的に考え、出して欲しい」とした上で、日本ではすでに3ケタ台の香港人が就労ビザを取って働いていることなどを踏まえ、「現行法での受け入れは十分に可能」だとの認識を示した。

▲写真 自民党外交部会長中山泰秀衆議院議員 ⒸJapan In-depth編集部

■ 日本の議連の動き

先のIPACと呼応して、日本にも香港市民の保護を目指す超党派の議連が発足した。「対中政策に関する議員連盟」がそれで、7月16日に準備会合が開かれた。設立総会は今月29日に開催される。

中谷元衆議院議員は自身のfacebookで、「日本はアジアの人権と民主主義を大事にする国家として存在感を示し、香港市民をサポートすべきであり、こうした侵害について国際社会が声を上げ、自制が望めないときは国際社会が制御役を担わなければなりません」と述べ、同議員連盟として、「国際的な人権侵害を国会で調査・公表・制裁・救済する『グローバル人権法』を成立させ、政府に人権侵害の調査と制裁を求める議員立法の成立を目指す」事を表明した。

同法は、「香港市民を弾圧した個人や組織への入国制限・資産凍結や国際組織への働きかけ、国際司法裁判所への訴訟提起、国連特使・特別報告員の派遣要求。また、経済、対中貿易協定に人権保護条項を盛り込み、米国や英国連邦と連携を強め、国際社会において看過しえない重大深刻な人権侵害の疑いがある場合に、国会が主導して、内閣に対して調査を要求し、結果に基づいて必要な制裁ないし救済措置を求めるもの」としている。

また中谷氏は、「香港ライフボート政策として『入国後14日間の隔離とPCR検査』を条件に、緊急避難が必要な香港人の来日を可能にすることや、ビザなし滞在可能期間(現在は3カ月)の延長、民間組織の経済力担保を条件に留学申請条件を柔軟に運用し、就労ビザ条件の職業限定を緩和すること」等、香港市民に対して実効的なサポートを政府に求めていくと述べた。

 

■ 加速する米の対中制裁

アメリカの対中制裁の動きも加速している。トランプ米大統領は7月14日、香港に対する優遇措置を廃止する大統領令に署名した。翌15日、アメリカ政府は、ファーウェイなど中国のハイテク企業5社の製品を使用する企業との取り引きを禁じる法律を8月13日に施行することを決めた。

日本政府も対応を急ぐ必要がある。基本的人権や国際秩序を守る気が毛頭ない中国に対して、主権国家たる日本の存在感を示さねばならない。中国の脅威に直面しているアジア各国とも連携を強め、中国に対する圧力を強めていく必要があろう。まさしく、今がそのタイミングである。

トップ写真:民主派のデモを警戒する香港警察 2020年7月1日 出典:flickr : Studio Incendo


この記事を書いた人
安倍宏行ジャーナリスト/元・フジテレビ報道局 解説委員

1955年東京生まれ。ジャーナリスト、産業能率大学客員教授。慶応義塾大学経済学部、国際大学大学院卒。


1979年日産自動車入社。海外輸出・事業計画等。


1992年フジテレビ入社。総理官邸等政治経済キャップ、NY支局長、経済部長、ニュースジャパンキャスター、解説委員、BSフジプライムニュース解説キャスター。


2013年ウェブメディア“Japan in-depth”創刊。危機管理コンサルタント、ブランディングコンサルタント。

安倍宏行

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