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.政治  投稿日:2020/6/12

「香港国家安全法反対の立場を明確にせよ」佐藤正久参議院議員


細川珠生(政治ジャーナリスト)

「細川珠生モーニングトーク」2020年6月6日放送

Japan In-depth 編集部(油井彩姫)

【まとめ】

・日本は香港国家安全法反対の立場明らかにすべき。

・米対中策を支持し、英と連携し中国に圧力を。

・チャイナプラスワンやサプライチェーンの見直し必要。

 

今週は、参議院議員で自民党外交部会長代理、元外務副大臣の佐藤正久氏に、政治ジャーナリストの細川珠生が話を聞いた。

■ 香港国家安全法に対する日本の立場

まず、中国で採択された香港国家安全法をめぐる一連の流れに対して日本はどうすべきかについて取り上げた。香港国家安全法とは、中国が香港に対して、言論や活動の自由、外国との関係における自由などを制限して取り締まる権限を持つ法のことである。この法に対しては、香港が中国に返還された時の一国二制度を覆すものであるとして、世界の先進国が抗議の声を上げている。日本でも、自民党外交部会が外交調査会と合同で中国を非難する決議文をまとめ、官邸に提出した。また、イギリスの団体が世界の議会人に呼びかけた表明に有志で署名するという動きもある。しかし、日本政府としてはこの中国の非民主的な動きに憂慮すると表明しただけにとどまっている。

この日本政府の対応について、佐藤氏は、 「日本政府は、香港の自由と人権を制限する法は認められず反対だ、という立場を明確にすべきだ」と述べ、日本政府は香港国家安全法について反対の立場を明らかにすべきとの考えを示した。

その理由として佐藤氏は、「日本外交の基本は、自由民主主義、基本的人権、法の支配の三本柱であり、この法はこれと相容れない」とした上で、「今回反対しなければ、自由と法の支配を標榜するインド太平洋構想に関する日本の主張が説得力を失う」と述べ、中国の香港支配は、インド太平洋地域における中国の影響力拡大につながるとの懸念を示した。

さらに佐藤氏は「日本が一国二制度を支持するのであれば、一国一制度を担保するような今回の中国政府の決定を絶対認めてはいけない」と述べ、抗議の姿勢を強く打ち出すべきとの考えを示した。

 

■ 日米関係と香港

細川氏は、「日本が強い抗議の姿勢を示せないの理由は、ひとつは米中関係の狭間に置かれているということ、そして日本の中で中国の位置づけをどうするのかという二つがあると私は思う」とした上で、アメリカが香港への優遇措置を見直したりビサを無効にするなど強硬な姿勢を取っていることに触れ、「(アメリカは)当然日本にも強硬な姿勢を期待していると思われる。日米関係を考える上で中国への対応はどうすべきか」と、佐藤氏に聞いた。

佐藤氏は、「日本政府は米国の対抗策を支持することを明言した方がいい」と答えた。「そして、香港と歴史的なつながりがあるイギリスとも連携して、中国に圧力をかける」と述べ、香港国家安全法の制定・施行までは若干の猶予があるので、踏みとどまらせるとことが大事だと述べた。

香港には1400の日本企業があり、輸出では米国に次いで第3位輸入は中国に次いで第2位と、経済的な結びつきが強い。香港の自由が奪われることによる日本企業の撤退を考えれば、中国と香港にとっても痛手となるはず、と佐藤氏は言う。「アメリカがこれほど自国の経済的利益を犠牲にして、香港の自由と人権を守ろうとしている時に、同じ価値観を持つ同盟国の日本が高見の見物というわけにはいかない」と述べた。

 

■ 日中の経済的結びつき

次に、細川氏は日本と中国の経済的結びつきについて触れた。今や日本で欲しいものの多くが中国で製造されており、緊急事態に供給が途絶えてしまうリスクがある。これは日本だけではない。欧米諸国でも製薬会社の工場の7割が中国とインドにあったことで、供給の遮断の不安は大きくなっていた。「日中関係も含めた構造を早急に改善すべきだと思うが、政治ではどのような議論がされているのか」と問うた。

「二つの観点で議論している」と佐藤氏は述べた。一つは生産拠点を中国から日本に戻す、あるいは一部拠点を東南アジア等に移すという観点。いわゆるチャイナプラスワンと言われる戦略である。工場を移転する企業に対する補助などのために、第1補正予算で約2435億円を計上しているという。

二つ目はサプライチェーンの中国依存度を低くするという観点。日米同盟の観点から、中国のサプライチェーンから離脱する企業も増えてくるだろう、と佐藤氏は予測する。

 

■ WHOと日本

次に、アメリカのWHO脱退の話題へと移った。拠出金を減らすなどの対応をアメリカから迫られているという報道もあるが、日本はどうすべきか、聞いた。

佐藤氏は、「日本はWHOにとどまって中から改革をすべきだと思う」と述べ、今は、国際社会が協力をしてコロナ対応に当たる時期だとの考えを示した。

また佐藤氏は、来年、東京オリンピック・パラリンピックについて、「世界的なコロナパンデミックを収束させないとオリンピックの形にはならない。大事なのは治療薬や予防ワクチンだ」と述べ、途上国にワクチン接種などを行うためにWHOの協力は不可欠で、今は国際社会が一体になって改革をすることが必要だとの考えを示した。

(この記事はラジオ日本「細川珠生のモーニングトーク」2020年6月6日放送の要約です)

 

「細川珠生のモーニングトーク」

ラジオ日本 毎週土曜日午前7時05分~7時20分

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トップ画像:ⓒ佐藤正久事務所


この記事を書いた人
細川珠生政治ジャーナリスト

1991年聖心女子大学卒。米・ペパーダイン大学政治学部留学。1995年「娘のいいぶん~ガンコ親父にうまく育てられる法」で第15回日本文芸大賞女流文学新人賞受賞。「細川珠生のモーニングトーク」(ラジオ日本、毎土7時5分)は現在放送20年目。2004年~2011年まで品川区教育委員。文部科学省、国土交通省、警察庁等の審議会等委員を歴任。星槎大学非常勤講師(現代政治論)。著書「自治体の挑戦」他多数。日本舞踊岩井流師範。熊本藩主・細川家の末裔。カトリック信者で洗礼名はガラシャ。政治評論家・故・細川隆一郎は父、故・細川隆元は大叔父。

細川珠生

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