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.政治  投稿日:2020/7/21

「女性の成長に必要な3つの『き』とは」昭和女子大学理事長・総長 坂東眞理子氏 その2


細川珠生(政治ジャーナリスト)

「細川珠生モーニングトーク」2020年7月18日放送

Japan In-depth編集部(油井彩姫)

 

【まとめ】

・女子大の役割は、課題を乗り越えるための考え方を教えること。

・女性を育てるためには、3つの『き』が大切。

・自分はこう言う仕事をやりたい、その為に力をつけたい、と自ら考えることが大事。

 

今回は先週に引き続き、昭和女子大学理事長であり総長である坂東眞理子氏政治ジャーナリストの細川珠生が話を聞いた。

働く女性の草分けとして有名な坂東氏。東大文学部を卒業後、総理府(現・内閣府)に入り、ブリスベン総領事や埼玉県副知事と、グローバルに華々しい経歴を重ねる。現在は教育に携わっているが、ご自身の生きてきた時代、社会を振り返りながら今の若い女性たちをどのように感じるか、細川氏が問うた。

まず、制度が大きく変わった、と坂東氏。雇用機会均等法、育児休業法、女性活躍推進法などを挙げ、「法律ができて女性たちがいろいろな分野で活躍し始めているが、まだまだ一般の女性たち自身が自分の能力や人生に自信を持てないでいる。男性たちも女性にどのような役割を期待するのか、どのような関係になっていくのかが見えないで戸惑っているのではないか」と述べた。

次に細川氏は、若者の人口減少により大学の経営が厳しくなってきており、特に女子大が不利とされていることに触れた。そのうえで、これからの時代を見据えて、女子大にしかできないことをどう考えているのか聞いた。

男性女性に関わらずこれからの時代を見据えて共学でも女子大でも教えることは同じだと話す坂東氏。しかし、今の日本の社会においては女性だから超えていかなければならない壁があるとした上で、「こういう課題があるんだよ、それを乗り越えるためにこういうふうに考えたらいいんだよと言うことが教えられるのは女子大の役割」だと述べた。

次に細川氏は、男性上司は女性をどう扱っていいのか分からないこともあり、甘やかしてしまいがちなことと、男性社員には強く言えるが、女性には言えず、どう指導すればよいのか分からないという意見を男性から聞く、と話した。

これに対し坂東氏は、「3つの『き』が大切だ」と述べた。それは、期待の『き』、機会を与えるの『き』、鍛えるの『き』だ。「ただ機会を与えられれば何でもできるのではない。一度失敗すると、これだから女性は、と諦めたり、もう一度やらせて辞められたら、泣かれたら、と引いてしまう男性が多い。そうではなく、もう一回やってみて、と背中を押してあげる。女性だから、男性だから、ではなく、一人一人に特性がある。その個性を見分けて扱う」ことが大切だとの考えを述べた。

それに対し細川氏が、坂東氏もそういうことに努めてやってきたのか、と問うと、

「私の時代は、部下になってくれる男性の方は生まれて初めて女性の上司と仕事するという方が多かった」と坂東氏は振り返る。最初、感情的な反発を持たれないようにするため、敬語とまではいかなくても丁寧語を使う必要があったという。「女性の上司が男性にカジュアルな言葉で指示すると、頭ではなく感情的に反発されることがあるので、言葉は丁寧にする、礼儀正しくする、できるだけきちんと言葉で表現する、言わなくても分かるは通用しない」と述べ、女性の管理職が稀な時代にどう男性社会で仕事をしてきたのかのエピソードを明かした。

ⒸJapan In-depth編集部

次に細川氏が、女性も、仕事をしながら子育て、家事、介護をこなすことを考えるとそれなりの覚悟や努力が必要だと思うが、どのような覚悟や努力が必要か、聞いた。

坂東氏は、人生が長くなってきている事をあげ、「長期的な視点を持つ」事が重要だと述べた。

また、子どもが生まれる、親の介護をする、など、年齢を重ねるうちにライフイベントも変わっていく中で、「仕事にメリハリをつける」ことが大切だと述べた。

「若い時は全力投球でバリバリ仕事できるが、長距離を走るためには、バッテリーチャージの時が次のエネルギーになる」と述べて、

20代で一生懸命仕事をやってきた女性が、育児休業を経て職場に復帰すると、思うように働けない、期待してもらえない、やりがいのある仕事ができない、等ということが多い。そんなふうに辞めてしまう人がいるのがもったいない、と坂東氏は言う。

「それは人生の一つのステージであり、そういった時が自分を豊かにする。次にまたバリバリ働けるときに働くんだ、というふうに意識することが大事だ」と述べ、仕事を離れることはブランクではない、との考えを示した。

周囲も、「あの人は家庭が大事になったからもう仕事はしないんだ」と考えるのではなく、また戻ってきたのだからもう一度機会を与えるということを意識すべきだという。それは男性にとっても良いことだと、坂東氏は言う。

「別の分野の勉強をしたいから大学院に行く、留学するなど自分自身の人生の責任は自分にある。今までは女性も男性も、仕事のキャリアを設計するのは雇い主だった。そしてそれに文句を言わないのが美徳だったが、これから仕事をする人は、自分はこう言う仕事をやりたいんだ、やれるんだ、そのために力をつけたい、ということを自分で考えなければいけない」と述べ、自分が最後まで責任をもって自分の人生を生きていくんだという覚悟が男性にも女性にも必要だと坂東氏は語った。

(この記事はラジオ日本「細川珠生のモーニングトーク」2020年7月18日放送の要約です)

 

「細川珠生のモーニングトーク」

ラジオ日本 毎週土曜日午前7時05分~7時20分

ラジオ日本HP http://www.jorf.co.jp/index.php

細川珠生公式HP http://hosokawatamao.com/

細川珠生ブログ http://tamao-hosokawa.kireiblog.excite.co.jp/

トップ画像)ⒸJapan In-depth編集部

 

【訂正】2020年7月22日

本記事冒頭に訂正箇所がありましたので、

お詫びして以下のように訂正いたします。

誤: 埼玉県知事

正: 埼玉県副知事


この記事を書いた人
細川珠生政治ジャーナリスト

1991年聖心女子大学卒。米・ペパーダイン大学政治学部留学。1995年「娘のいいぶん~ガンコ親父にうまく育てられる法」で第15回日本文芸大賞女流文学新人賞受賞。「細川珠生のモーニングトーク」(ラジオ日本、毎土7時5分)は現在放送20年目。2004年~2011年まで品川区教育委員。文部科学省、国土交通省、警察庁等の審議会等委員を歴任。星槎大学非常勤講師(現代政治論)。著書「自治体の挑戦」他多数。日本舞踊岩井流師範。熊本藩主・細川家の末裔。カトリック信者で洗礼名はガラシャ。政治評論家・故・細川隆一郎は父、故・細川隆元は大叔父。

細川珠生

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