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.社会  投稿日:2020/7/28

小池百合子都知事再選総括 東京都長期ビジョンを読み解く!【特別編】


西村健(NPO法人日本公共利益研究所代表)

【まとめ】

・小池氏、都知事選勝利の一因はコロナ対策の露出と現職時代の評価。

・政策評価や公約遵守度は重視されず。

・注目すべきは東京都下62自治体の所得(年収)と得票率の相関。

366万票。まさに、圧勝である。東京都知事選挙で小池百合子氏が再選された。

改めて分かったことがある。

圧勝、3つの理由

第一に、やっぱり現職は強いことである。

そもそも現職として支持率が高く、さらに専門的に見ても「それなりの」成果を政治的にも政策的にも出していた。しかも、コロナ対策であれだけ露出していれば、イメージ的にも圧倒的だろう。基本、よほど失態があっても、よほど目立った活動しなくても、都道府県知事の現職は落ちないものだが(いい方は悪いが)、いろいろなところに出てアピールできる現職の強みが最大限に発揮された。

第二に、小池さんの4年間はそれなりに評価できること。

そういう合意があったことも確かだろう。豊洲問題など批判されることもたくさんあったが、全体的には、過去の都政よりだいぶ「まし」になった。前言撤回など一部の人は「信用できない」というが、柔軟に対応してきたということともいえる。

第三に、多くの都民にとっては、過去の公約の達成度についての重要性が高くないということがわかったことだ。

個人的には公約検証活動に参画していたので思い入れがあったが、公約の達成度や政策の成果で政治家が問われるべきというのは民主主義社会のあるべき姿ではあるが、多くの都民にとっては理解していないのか、知らないのかわからないが、まだ実感を伴っていないみたいだ。

▲写真 新型コロナウイルス感染症対策などに関する意見交換等 出典:東京都知事 小池百合子の活動レポートFacebook

政治家選択の方程式

以前、「そろそろ政治家の「人事評価」を始めよう」という政治家選択の基準を作ったことがあるが、政治家を人が選択する際には基本ロジックがある。

基本は

□現状の所属・利害:損得勘定

□未来への期待

□主張との親和性

□価値観・自分との親和性

□好き嫌い

がメインになってしまう。それぞれの要素ごとは人によって違うし、重視する要素も違ってくるが、たいていこれらの要素が影響する。

つまり

・政策評価:実績がでたかどうか?

・公約遵守度

はどうしても重視されないことが改めて明確になった。政策評価の専門家としては悲しいがそれは仕方ない。まだまだ日本の民主主義レベルには課題が多い

今回選挙直前に、女帝 小池百合子(石井妙子著)という書籍が発売され話題を呼んだ。一方的な内容であり、選挙前という時期に政治的な匂いを感じてしまった人も多いだろう。メディアもその内容の正しさを評価・吟味するという責任を果たさなかったことは非常に残念ではあった。

選挙結果から見えること

選挙結果を分析されている記事の中、「高所得地域ほど、小池百合子の得票率は低い」という主張をされていた方がいた。東京都下62自治体の所得(年収)と得票率の相関(関係があるか)を明らかにしている。これは注目されることである。

・江戸川区・葛飾区、多摩地域、島しょ部など小池さん得票率は他地域より高い

・港区など高所得地域では小池さん得票率は他地域より低い

・世田谷区・杉並区など、高齢者が多く、リベラル層が根強いところは宇都宮さんの得票率が他地域より高め

・20-30歳代は小野さんが他の年代層より高め

・女性は小池さんが高め

という特徴は明らかに出ていた。どのような支持層に小池指示が多かったのかはなんとなく浮かび上がってくる。

過去と比較して圧倒的に「まし」な小池都政。政治業界の人たちが自分の厳しい基準で「ダメ」とか批判しても、多くの都民は小池都政のそれなりの頑張りを見ていた、実感していたということだろう。次の4年に期待したい。

トップ写真:小池百合子氏 出典:小池百合子Facebook


この記事を書いた人
西村健人材育成コンサルタント/未来学者

経営コンサルタント/政策アナリスト/社会起業家


NPO法人日本公共利益研究所(JIPII:ジピー)代表、株式会社ターンアラウンド研究所代表取締役社長。


慶應義塾大学院修了後、アクセンチュア株式会社入社。その後、株式会社日本能率協会コンサルティング(JMAC)にて地方自治体の行財政改革、行政評価や人事評価の導入・運用、業務改善を支援。独立後、企業の組織改革、人的資本、人事評価、SDGs、新規事業企画の支援を進めている。


専門は、公共政策、人事評価やリーダーシップ、SDGs。

西村健

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