手越祐也という男を皆さんは誤解している
西村健(NPO法人日本公共利益研究所代表)
【まとめ】
・手越祐也さんほど理解されていない芸能人は珍しい。
・「ファンのため」「即行動」まるで起業家精神。
・手越さんが手越さんである限り、ファンの期待を超えるだろう。
「てぃ!」(編集部注:手越さん十八番のかけ声)
元ジャニーズ事務所所属、NEWSのメンバーだった手越祐也さんの著書「AVALANCHE ~雪崩」が話題だ。
いや、物議をかもしているといったほうがいいだろう。
過去の週刊誌などで噂になった女性芸能人との関係を「釈明」しているからだ。嘘が嫌いな正直者と自負する手越さん。新たな出発にあたっての自分なりの整理をしたつもりが、逆に世間やファンからの反発があったようだ。それを受けて、手越さんも「やっちまった」と動画で反省するほどである。
▲写真 手越祐也フォトエッセイ「AVALANCHE ~雪崩」(双葉社)
詳しく読んでない人からは「そんなに話題性欲しい?」「独りよがりじゃね」「女性芸能人について勝手に書いて」とのバッシングを受けた。
噂になった女性や所属事務所からしたら「いらんこと言うな」と思われているだろう。
今回はやらかしたのかもしれないが、手越祐也さんほど、彼をよく知らない人から理解されていない芸能人も珍しい。
■ 手越祐也さん、32歳
知らない人のために、手越祐也さんの経歴を紹介しよう。1987年11月11日生まれ、横浜市港北区出身。15歳でジャニーズ事務所入り、NEWSで芸能界にデビュー。NEWSとは今回あるスキャンダルで無期限活動停止になった「山P」こと山下智久さんを中心とする当時は9人組。当時ははじっこのほうにいて、垢ぬけない少年だったのが記憶に残っている。ダウンタウンの浜田雅功さんにテレビ番組の中で、いじられていたことを覚えている人も多いだろう。
しかし、NEWSに数々の不祥事や自主的な脱退者がでて人数が減る中、どんどん存在感を増し、ついには中心人物になった。その要因の1つが歌のうまさ。歌唱力はジャニーズで一番とも言われ、後輩を指導するほど。高校時代、授業後にボイストレーニングを自腹を切って受けていたように、努力によって築き上げた。
日本テレビの「イッテQ」で見せていたように、一生懸命頑張る姿をお茶の間に見せてきた。そして、垣間見られる愛くるしさ。愛嬌がある、とっても明るく、前向きなキャラクターでもあり、You Tubeの謝罪動画で示したように、失敗と思ったことは素直に反省するところも人間らしい。
退所会見でも、一部の人にはかなり身勝手な印象を与えているようだが(参考記事)、「僕はウソをつかない」といったようにまっすぐ向き合う「正直さ」も魅力的だ。
彼を見ていて、元気になる人も多いだろうし、「手越ならしょうがない」と思った人も多いだろう。僕もそんな一人だ。
しかし、彼の世間のイメージ、彼の活動をよく知らない人にとっては「ちゃらい」「遊び人」「軽い」などなどマイナスイメージの多い人間でもあった。人とは連絡先を気軽に交換するため、女性との付き合いも多かったようで、人脈も幅広いため、結果的に悪い筋との付き合いなどもあったようにみえるなど、スキャンダラスに批判されるなどしてきた。
他のジャニーズメンバーがうちうちで交友を深めたり、言い方が悪いが群れているように見えるのとは対照的に、経営者・サッカー選手などと幅広く交流しているなど、普通のジャニーズタレントとは少し違った行動を垣間見せてきた。
自身でも認めているように「スーパーポジティブ」。即行動の行動。記者会見でもメディア相手に何時間も未来を語り、話術や頭の回転の速さを見せている。
明治大学付属中野中に受験で入学し、高校は当初付属高校に進学したものの、堀越高校に転校して、卒業している。高校時代も勉強ができたと言われている。話術も含めて、たんなるジャニーズタレントの枠には収まらない能力の高さを、彼をよく観察すれば見えてくるのだ。
■ ファンをここまで大事にする?、新時代のエンターテイナー
ジャニーズ事務所のタレントの中でも「ファン」を元気にしたいと強調していたタレントの1人でもあった。
「ファンのために~」という割には、ぶっきらぼうに対応するタレント、ビジネスだから、客商売だから、仕方なくファンサービスをするタレントは本当に多い。
しかし、手越さんは違う。彼は「ファンを愛したい」「元気にしたい」とあらゆる場面で宣言するのだ。今回の本でも「ファンには絶対に幸福でいてもらいたい」と強調する。自意識過剰でかっこつけている面はあるが、彼の言動や行動を見ていると、どうやら本心のようなのだ。
そのほか、彼の名言にはこんなのもある。
「アンチは俺のことを叩いてることによってスカッとしてる!それはその人のためになってる。だからアンチは俺に『ありがとう』を言うべき!」
「身の回りに起きた良いことも、悪いことも、すべてに感謝して。だって、どの経験もひとつでも欠けたら、今の俺にはならなかったから。」
「やっぱりチャレンジすることが大事。失敗か得るものはたくさんあるから。どんどんチャレンジして栄養を自分に蓄えてほしい」
「劣等感や能力不足って、結局は努力で埋めていくしかない。逃げられないから」
(【出典】「「日本中のハートを奪いたい」手越祐也名言100選」などから)
正直言うと起業家のようなメンタリティなのだ。
▲画像 出典:YouTube 手越祐也チャンネル
たしかに、独立の記者会見もYouTubeでその裏側も見せているなど、YouTubeの登録者はなんと152万人にまで増えている。そこでは、一般人向けに曲を募集したり、無人島生活「手越島」など様々な企画を実行に移している。
手越祐也が切り拓く新しいエンターテイメントの可能性。手越さんが手越さんである限り、彼の歌唱力やその能力でファンの期待を超えてくれるだろう。
トップ写真:手越裕也氏 出典:@YuyaTegoshi1054
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この記事を書いた人
西村健人材育成コンサルタント/未来学者
経営コンサルタント/政策アナリスト/社会起業家
NPO法人日本公共利益研究所(JIPII:ジピー)代表、株式会社ターンアラウンド研究所代表取締役社長。
慶應義塾大学院修了後、アクセンチュア株式会社入社。その後、株式会社日本能率協会コンサルティング(JMAC)にて地方自治体の行財政改革、行政評価や人事評価の導入・運用、業務改善を支援。独立後、企業の組織改革、人的資本、人事評価、SDGs、新規事業企画の支援を進めている。
専門は、公共政策、人事評価やリーダーシップ、SDGs。